集まりました。
今回はアイリーンはお休みです。
ハリネズミ事件から数日。見事に懐かれた。
廊下で会えばマーキス先輩!といいながら駆け寄ってお勧めの参考書をくれるわ、図書館で遭遇すれば勉強を教えてくれるわで結構良好な関係を築いている。
いや、本気で頭いいんだよ、こいつ。説明とかすごいわかりやすいんだ。
そのお返しに将来バイカウント筆頭魔道士の跡を継ぎたいというギデオンにリーンハルトとマティアスを紹介する。
アイリーンに関係ないので偶に忘れそうになるが、マティアスに誘われた生徒会にギデオンを推薦するつもりだ。しばらくは根も葉もない言い伝えのせいで苦労するかもしれないが、将来王宮で働くならこいつにもいい経験になるだろう。
そう思っていたのだが、何故かリーンハルトとマティアス以外にミシェリアとその従者まで生徒会室に集まっている。
そういえば俺、マティアス、リーンハルトのルートにはイベントでもれなくほかの攻略キャラに出会えるイベントがあったはずだ。思わずミシェリアを見ると青ざめた表情でキラキラのジェスチャーをする。
おい待て、お前はリーンハルトと別の講義選択していただろう。なんで攻略出来てるんだ。
思わず入口で固まってしまった俺にリーンハルトが笑いかける。
「ああごめんね、驚いたかい?ジル。」
「あの。お、お久しぶりです。ジルベスター先輩。」
相変わらずキラキラしたオーラを纏ったリーンハルトと対照的に青ざめ若干震えながら挨拶をするミシェリア。あれは全力で逃げたがっている表情だ。イケメンに囲まれて身動きが取れずに助けを求める表情だ。
……悪いが今日はお前よりハリネズミが優先なんだよ。
俺の表情からなにか悟ったらしいミシェリアは絶望的な表情をしている。失礼だろ。
「確かジルベスター、あなたはギデオン・バイカウントを生徒会役員に入れたいんでしたね。」
「ああ。そうだ。」
「そうか、ジルの推薦なら人格も能力も問題ないだろう。私は構わないよ。」
「ジルベスターが推薦するとはよほど素晴らしい人なんでしょう。私も歓迎しますよ。」
おかんもキラキラも何も聞かずにギデオンの生徒会入りを許可した。
いつも思うが俺に対するその謎の信頼はなんなんだ。
「ところでリーンハルト、なぜミシェリア・アールがここにいる。」
やめろ、話を振るな!と言わんばかりの表情で気配を消そうとしているミシェリアをみる。いい加減諦めろ。
「ああ、実は彼女にも生徒会役員になってもらおうと思ってね。」
「私もミシェリアとは友人なのですが、素晴らしい人で特に目立ったも問題ないですよ。」
リーンハルトとマティアスにそう言われミシェリアの目が死んでいく。
「ミシェリア先輩?あんたも生徒会に入るの?」
俺の後ろのギデオンが少し嬉しそうに質問する。
おい待て、なんでギデオンとの親密度も上がってるんだよ!
「従者の俺が言うのもなんですが、お嬢はほんとに人格者だと思う。きっといい生徒会が作れると思いますよ。」
これで俺以外から承認が得られた訳だな。よほど生徒会になんぞなりたくないのか一縷の望みをかけてものすごい形相で俺を見てくる。よしよし、そんなに入りたくないんだな。
「俺も特に異存はない。」
完全に目が死んだミシェリアに自業自得だとジェスチャーを送ってやる。
後日原作の展開を無視して色々やらかしていたことを知りなぜ報告しなかったんだと1発頭を叩いてやった。




