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あの衝撃の出会いから数日、俺は今人生で一番悩んでいる。
余談だが、あの時の俺のプロポーズは何故か俺の家族はもちろんメイドや従者、はたまた出入りの業者に至るまで広く知れ渡っており、あれ以降誰かに会う度やたらと喜ばれる。
これについては理由がわかっている。
俺ことジルベスター・マーキスという少年は周囲に対する興味関心が非常に低く、これまで特に特別好きなものや心惹かれるものがない淡白な性格をしていたらしい。
らしいというのも前世の記憶を思い出した俺からすれば今までなぜそこまで興味がなかったのか自分のことながらわからないのだ。
それはさておき、俺が転生したこの乙女ゲームのことについていくつかまとめてみたのだが、まずこれは同人系乙女ゲーム「王立学園の貴公子 ~恋は戦争!障害物などぶっとばせ!!~」というなんともふざけたサブタイトルのついた名前のゲームだ。
その名の通り、ヒロインは王立学園に通いながら各イケメン貴公子達と恋の障害となる問題を共に解決しながら愛を育むという趣旨のゲームである。
攻略キャラは第二王子、宰相子息、騎士団長子息、次期宮廷魔道士、従者の5人だ。
ちなみに俺は騎士団長子息に当たるのだが、騎士ルートの障害はジルベスターの婚約者にあたるアイリーン・フュルスト。つまり俺の女神だ。
ゲームの中ではわがままでヒステリックな性格のアイリーンがジルベスターの好きなものや興味を持ったものを尽く壊したり否定したりしたため、ジルベスターは心を閉ざしてしまい生来の淡白な性格も相まって無気力になり、言われたことしかしない人形のようになってしまう。女神のわがままとか羨ましい。
問題は無数にエンドは存在するのに、騎士ルートにはヒロインとくっつかず悪役令嬢な婚約者とそのままくっつくエンドがないのだ。
このままでは俺は我が女神アイリーン嬢と結婚できずに終わってしまう!!
いや、無数にエンドがあるんなら一つくらい許嫁とくっつくエンドを増やしたって問題ないんじゃないのか?
いや、問題ない。よし、可愛がろう。
ひとまず最初は、
「ははうえ、アイリーンじょうになにかプレゼントをおくりたいのですが。」
「まあ!すぐに手配いたしましょうね!!」
あと一つ弁明しておくが、乙女ゲームは前世の姉にエンド回収のためにプレイさせられただけで俺の趣味ではない。断じて。