=ある女の独白=
ついにっ!ついにヒロイン(乙女ゲーム)が出せたっ!!
はじめましてヒロインよ。いや、別に痛い発言をしてるわけじゃないわ。事実なのよ。
それはさておき、どうやら私は同人系乙女ゲーム『王立学園の貴公子 〜恋は戦争!障害物などぶっとばせ!!〜』の世界に転生しちゃったみたいなのよね。しかも?ヒロインポジ!もう人生KA・CHI・GU・MI☆みたいな!
でもこの乙女ゲームにはエンドが無数に存在しているんだけど(もちろんエンドコンプしたわよ)、なんで逆ハーエンドがないのよっっ!!!
こんだけかわいい()ヒロインに生まれたんだから酒池肉林くらい夢見させなさいよ!!
まあ今更エンドが一つ二つ増えようが関係ないわよね!!
原作知識チートでいい男達を侍らせてやるわ!!
ふっと横に立つ男がこちらをのぞき込む気配がする。
「ミシェリア?どうかしたか?」
「ひぃっ!?な、なんでもないです!」
案の定心配するようにイケメンがこちらをのぞきこんできたっ!つい悲鳴を上げてあしまう。
私のリアルでの恋愛耐性の低さが憎い!!!!(喪女)
なんなの!?せっかく若くてぴちぴちな身体と誰も彼もが振り向く可愛らしさなのに!
中身なの?中身が喪女じゃリアル乙女ゲームは楽しめないの!!?
確かに妖精さんになるような年齢だったけど彼氏のひとりもいなかったけどねっ!!
「ミシェリア。やっぱり調子が悪そうだぞ。俺から伯爵様には話を通しておくから休んだらどうだ?急に環境が変わって疲れているだろ?」
「、、、だ、大丈夫ですよ。ありがとうございます、テオ。」
なんとか悲鳴は気合で飲み込んだ。
さっきから横でチラチラ私を気にしているのはテオドール・バロン。わたしの従者であり、攻略キャラの1人よ。そんなに私を心配しないで、惚れるわよ!!?
今日私は原作の第1歩を踏みしめているところだ。
私ミシェリアはアール伯爵の庶子であり、今日脱平民して貴族になった。テオは私が子供の時から平民街に度々来ては密かに私の護衛をしてくれていたお兄さん系イケメンで、これからは従者として付き従ってくれるそうだ。
そして明日、私は物語の舞台である王立リべクリーク魔術学院の2年に編入する。王立学園なのか王立魔術学院なのかはっきりして欲しい。設定甘すぎない?
まあそれはともかく、長年一緒にいるテオにも未だ緊張するのに初対面のイケメンと恋愛なんて私に出来る訳ないじゃない。
恋愛力たったの5よ?恋愛力53万くらいあるイケメン達と渡り合えるとでも思ってるの?
はぁ……
可愛くなっても頭の中は喪女のままなのよ……すぐには変わらないのよ……。
喪女にヒロインは荷が重すぎませんか?
そのうち喪女ヒロインが主人公の番外編も書きたいです。