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ーコン


「…ん?」


目を開けると、ご神木の上に立っていた。


木の下ではなく。


しかも結構高いところで、周りが見渡せる。


どうやら一回死んだから復活地点のご神木に戻ったようだ。下を見ると、さっきの猪がまだいる。


ただ、なんで上に?


考えても仕方がないので、なんとなく辺りを見渡す。


南の方に海が見え、西の方には砂漠、北と東には山。


地図と見合わせると、山越えルートはここから東だ。


森を抜けるには少なくとも10キロはかかりそうだ。


このご神木以外の復活地点を探さないと、死んだらいちいちここに戻ってくる。


私はレベル1。


装備は初心者。


移動に使える道具もない。


周りにいるのが猪みたいなのばかりなら一撃で死ぬ。


これで森が抜けられるか。いや、できまい。


たとえ抜けたとして、山。


東の山を迂回するか、直進するか。


そしてさらに、山。


こちらは山その1の半分くらいだ。


草原は…始まりの町に近いので、初心者用だと思う。


今の力量では到底辿り着けないだろうし、ここでしばらく鍛えよう。


そんなことを思いながら、サバイバルナイフで周りのキラキラした林檎もどきをとってアイテムボックスに入れていく。葉っぱや枝も少しとる。


その後アイテムボックスから赤い林檎もどきを取り出し、皮をむいて食べる。


「甘い。」


林檎はかなり甘かった。


甘いと言っても、果物の甘みだったし、甘いものが元々嫌いではない私は、かなり嬉しかった。


もしマズかったら、今まで入れた林檎が全部無駄になる。


ちょっと大きめの雀のような鳥が来たので、鳥にもいくつかあげた。



さて、ここからどう降りよう。


林檎もどきをとるのに夢中になりすぎた。辺りはもうすでに暗い。


木の枝や幹に足を引っ掛けて、降りてみる。


5メートル降りたくらいで、足を滑らせる。


落ちていく。


グチャ。


目の前が真っ暗になる。



気がつくと、また木の上まで戻っていた。


仕方ないので、ここで寝ることにする。


「…おやすみなさい」







「…おはよ」


朝が来た。木のてっぺんにいることも災いし、お日様がモノすごく眩しい。


ご神木を見ると、昨日かなりの数採ったはずの林檎もどきが、またいっぱいなっている。


周りの林檎 (仮)や枝、葉をとってアイテムボックスへつっこむ。


そしてアイテムボックスの中からサバイバルナイフと赤い林檎を取り出し、皮をむいて食べる。


「甘い。」


林檎はやはり甘かった。


昨日の雀のような鳥がやってきたので、いくつか林檎をやった。


そしてまた林檎をとる。



今日もまた木から降りる挑戦をする。


集中したいので、通知を表示しないようにし、音もならないようにした。


ゆっくりと降りていくが足を滑らせる。


グチャ。


目の前が真っ暗になる。


また木の上に戻った。


「…もういっかい」



それを何回も繰り返して、すっかり暗くなっていた。


今日も降りられなかった。正直登る方が楽な気がする。


寝る。


「…おやすみなさい」






そんな生活を、一週間くらい続けた。






「…おはよ」


一週間粘った。だが、残り100メートルの壁がどうにも大きい。


なので、別の方法を試そうと思う。


今日も、林檎をアイテムボックスに入れる。


「…ぴーちゃん、はい。」


いつも通り雀もどき…ぴーちゃんに林檎をあげる。


ぴーちゃんとは、ずいぶん仲が良くなって、今では肩に乗ったり、頭に乗ったりする。


かわいい。この世界で初めてできた友達だと思っている。



では、別の方法を試してみることにする。


別の方法とは、魔法だ。


昨日の夜、アイテムボックスを見ると、初心者向けの魔道書が入っていた。キラキラしている。


おそらく運営から全プレイヤーに配布したものだろう。


今までは身体能力だけで勝負していたが、魔法があれば下まで楽に降りられるかもしれない


魔道書を開く。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


初めての魔法


〜用意するもの〜


・杖

・魔力

・魔道書

・根気


〜注意事項〜


・周りの安全を考えてください


・難易度の低いものから挑戦してください。


〜魔法を使う前に〜


自分のステータスを確認してください。

「ステータス、オープン!」と唱えることでステータス画面が現れます。


以上のステップをクリアされた方は、次ページ『魔法ごとの詠唱・魔法陣』へどうぞ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ステータス画面があったらしい。


よく考えればゲームにステータス画面がないことはそうないだろう。うっかりしていた。


「すてーたす、おーぷん」


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酸漿(かがち) 時雨Lv1

エルフ 種族Lv1

職業 未定 (選択可能職業あり)

HP 25/25

MP 50/50

使用可能ボーナスポイント 10


◆ステータス◆

【筋力値 15】

【器用値 30】

【敏捷値 15】

【知力値 30】

【精神力 10】


◇スキル◇

【軽業 X】【ナイフ II】

【召喚 I】【魔力操作 I】【魔眼 X】

【採取 X】【鑑定 I】

【錬金 I】【調合 I】【料理 I】【裁縫 I】【鍛治 I】【細工 I】【道具作成 I】【アイテム作成 I】

【炎耐性 X】


【エルフの心得】【雀王の友】【魔の森の民】【緑の手】【死亡数過多】【テイム】


◆装備◆

【ボロのローブ】

【エルフの腕輪】

【サバイバルナイフ】

【初心者の魔道書】


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


今まで知らなかったが、いろいろスキルがあった。ほとんどOFFになっていたので、ONにしておく。


スキルなどは、通知を表示していなかったから気がつかなかったのだろう。ONにした。


【魔眼】【エルフの心得】は多分初めから持っていたのだろう、ONになっていた。


どうやらキラキラは、辺りに漂う魔素が魔眼で見えていたようだ。


だが、キラキラは初期状態のままの魔眼で見たものだったらしく、


適応し直すと周りのキラキラが色付きになった。


これは、私の意志で切り替えられるようだ。


錬金や調合やといったものは、手紙に書いてあった死亡した際に渡すスキルだったのだろう。


雀王の友は、多分ぴーちゃんだ。思い当たるのがそれしかない。


炎耐性は…もしかしたら赤い林檎を食べたからかもしれない。


だとしたらすごい林檎だ。尊敬。


Tシャツなどが表示されないのは、特に効果はないからなのかもしれない。



私は今、木を削っている。


なぜかというと、魔術書には杖を使った魔法しか載っていなかったからだ。


この森に店なんてないだろう。でも魔法は使いたい。


それなら杖を自分で作ろう。


そう考えるのはごく自然なことだろう。


私は神樹の中で長さ1メートル、太さ5センチくらいの枝と、

長さ30センチ、太さ3センチくらいの枝を切り出した。


大きい方はアイテムボックスに入れておき、小さい方を削る。


杖と言っても持ちやすいように棒を磨くだけだ。すぐにできる。



杖ができた。


杖というより細長い麺棒と言った方が正しい気もする。


ピコン、と音が鳴り、通知ウィンドウが表れる。


『道具作成のレベルが1上昇』


と書いていた。


どうやら、今の作業で上がったようだ。


それはさておき、早速魔法を使ってみることにする。



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