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少女が目を開くと、金髪美女が目の前にいた。


『World free lifeの世界へようこそ!

私は、案内人のアイリスと申します。』


『まずは、この世界でのあなたの分身を作成してください。』


近年メキメキと発展してきたVR(バーチャルリアリティ)技術。


車の教習所で練習や事故の再現に使われたり、セラピーに使われたり、不登校の子どものために授業を受けられるようにしたりと、その使い道は様々だ。


そんな中VRに関する技術が最も高いと言われ、すでにヒット商品をいくつも生み出している会社が、VRMMOに手を出した。

VRMMOとは、Virtual Reality Massively Multiplayer Onlineの略称である。

仮想世界で様々なことができ、人と交流でき、感覚も再現されている、というもので、まあ簡単に言えば、異世界で異世界の常識の元(・・・・・・・・)リアルな生活ができる、というようなものだ。


そして今は、キャラメイクのお時間である。




《ようこそ、【魔の森】へ》



視界に文字が現れ、消えて行く。


樹齢千年はゆうに超えていそうな神々しい大木の元に、私は降り立った。


高くて、見上げると首が痛い。あとまわりがキラキラしてる。


右を見る、森。左を見る、森。上を見る、鳥。下を見る、土。


木や土のいい匂いが私を包む。風がヒューっと吹いて森の木がざわざわと揺れる。


木々の隙間から太陽の光が差し込む。


森だ。


こういうゲームは普通始まりの町とかそういうところに着くんではなかろうか。


しかも今日は正式スタート1日目。掃いて捨てるほどにプレイヤーがいるんではなかろうか。


いない。


人っ子ひとりいない。


なぜだ。


取り敢えず、少し歩いてみることにする。


だがその前に、ご神木(私命名)に実っている木の実を取れるだけ取る。


林檎みたいな木の実で、色は赤や青や黄や緑やはたまた虹色に黒に金色に…とにかくたくさんある。


林檎もどきは、キラキラしてるのが周りに集まっている。


そしてご神木にはもっと集まっている。キラキラスパイラル。


なんとなくご神木に触ってみる。


《神樹を復帰地点に設定しますか?

ーーーーーーーーーーーーーーーーYES/NO》


復帰地点…は、多分死んだ時に復活する場所だろう。


YESを選んでおく。いくら人がいないとはいえ、初心者のゲーム開始地点。安全だろう。



そしてなんだかんだで100個くらいとった。多分。


こんなに持ち運べるのかって?心配ご無用。


金髪美女…アイリスさんが教えてくれた。


「アイテムボックス」


私がそう呟くと、右腕についている腕輪についている石がちょっとキラキラをまとって、中に入っているものが表示されると思われるウィンドウが出てくる。


その中に、一枚の手紙と、コッペパン10個、多分1リットルの水筒、サバイバルナイフが入っていた。


林檎もどきを全部アイテムボックスにつっこんだあと、手紙を取り出して読んでみる。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


この度はWorld free life online、通称WFLをプレイしていただきありがとうございます。


この度こちらの不手際により、あなた様のアバターが予定とは違うところへ飛んでしまいました。


こちらからあなた様をお戻しさせていただくことは、残念ながらできません。


一回死亡していただければ、死亡復帰で始まりの町で復帰できます。


私共も、マップと、死亡の際にいくつかの心ばかりのスキルを送らせていただきます。


このゲームでは設定上、死亡の際にペナルティは発生いたしません。


誠に迷惑をおかけいたしますが、どうかよろしくお願いいたします。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



どうしよう。


死亡復帰はさっきご神木に設定たやつだ。


運営のミスでここに送られたってことは、人がいないのも納得☆


オーノー。


で、でも町がそこまで離れていないかもしれない。


マップを見ると、魔の森と始まりの町は山を二つ超えていくか、海を渡って小さめの山を一つ超えていくかだ。


どうしよう。


今の私のは、短パンにTシャツ、長いローブ、運動靴に腕輪。


レベルは多分1。


海超え山超え行くことが果たして可能か。


無理だ。


できるわけがない。



海を越えるのは、この森をでて少し行ったところに海がある。海を越えると小さめの山がある。そこを越え少し歩くと始まりの町。


山を二つ越えるのは、この森を抜けてすぐ山が二続きになっていて、山を過ぎると草原に出て、草原を抜けると始まりの町。


海を越えるには船がいるが、船が手に入るかもわからない。


やはり山越えルートにしよう。


そんなことを考えていると、いつの間にか近くに大きな角の生えた猪もどきが踏み寄ってきていて、私に向かい突進する。


腹に激痛が走り、見ると腹に角が突き刺さっている。


思わず目を瞑る。


「あ"」


死んだ。


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