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プロローグ
男は一生に一度、起こるかもわからないハプニングに襲われていた。
学校帰りの自転車帰宅中、後ろから来たトラックに轢かれずに、引きずられていた。
どうやらトラックの一部がリュックの一部を釣り上げてしまったらしい。
一瞬空中に浮き、男は地面に叩きつけられたが、トラックはそれでは飽きたらず、もの凄い勢いで男とアスファルトを摩擦させる。
男の服を簡単に破き、肌を真皮の奥深く見えるくらいまで削り、トラックがカーブしたところで男は家の塀にぶつかり血痕はそこで止まった。
引きずった跡には乾いていない赤インクを擦ったような跡が残る。
かくして男は死んだのだ。