表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
98/114

クフフフ……

「それじゃ、お茶持ってくるからちょっと待っててね」


バタンとドアを閉めて出ていく柊の後ろ姿を正座をしながら見送る。


「……」


やばい……

どうしよ……


クーラーがついているはずなのに、汗がだらだらと絶えず、流れ出てくる。


まさか柊の家に招待されるとは思っても見なかった……


柊の家はオレの家の反対側にある住宅街にあるマンションの一室だった。


駅前から5分ほどで着く距離なのだが、家に着くまでの間、何を話したか覚えていない。


それに柊の部屋はなんか良い匂いもするし、全体的に少しピンクっぽいし、部屋も小綺麗でまさに女子って感じの部屋だった。


女子の部屋に入るなんて初めてだ……


陽愛の部屋に入ったことはあるが、陽愛は妹だ。そんな目では見ていない。


これからどうするんだろ……


考えれば考えるほど汗は止まらず、拭いて出て、拭いては出てを繰り返していた。


「おまたせ~……」


それを何回か繰り返した頃、柊が戻ってきた。


「冷えた麦茶があったよ~」


「あ、ああ、ありがとう」


柊から渡されたコップを受け取り、そのまま口につけ、ごくごくと飲む。


暑さの影響か、それとも緊張のせいかわからないが、あっという間に麦茶を飲み干してしまった。


「喉乾いてたんだね」


「そうみたいだな……」


はははと乾いた笑みを浮かべつつ、オレはこれからどうするか再び頭を悩ませ始めた。


「そういえば、なんで制服着てるんだ?部活とかしてたっけ?」


コップをテーブルに置きつつ、とりあえず、ずっと気になっていたことを聞いてみた。


「ああ、違うよ。夏期講習に行ってただけ」


「夏期講習って確か自由参加のやつだよな?さすが優等生だな」


「やめてよ、もう。好きで行ってる訳じゃないんだけどさ、先生に薦められたし、それに夏休みも暇だしね……」


自虐っぽく、ふふっと暗い笑みを浮かべる柊。


「オレも一緒だよ、夏休みって案外、暇だよな……」


そう言ってからオレも柊と一緒に怪しく笑いだした。


そしてしばらく、二人でクフフフと笑い合うのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ