表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
93/114

分岐点

夜の7時を少し過ぎた頃。


オレと三枝は駅に向かって歩いていた。

イベントは先程終了し、後は帰るだけだった。


「いやぁ、すごかったな……」


「さっきからそればっかじゃん」


苦笑しながら三枝はそう言った。


「なんていうか……他の言葉が見つからないんだよ。ただただ圧巻されたっていうか」


「そんなに興奮してくれたならあんたを連れてきて正解だったみたいね」


「ああ、ほんとありがとうな。貴重な時間を過ごせて良かったよ」


言って、オレは右手を差し出した。


「え、なに……?」


オレの顔と手を交互に見比べながら、三枝は怪訝な顔をした。


「いや、何って握手だよ、握手」


「握手って……普通やる?」


「いいじゃねぇか。オレなりの感謝の印なんだから」


「まぁ別にいいけどさ……」


言って、三枝はゆっくりと左手を差し出し、オレと握手をした。


三枝の手はオレなんかの手より柔らかくて、夏だというのに少しひんやりとしていた。


「あ!そういえばアタシこのあと予定があるんだった!」


握手をしたあと、三枝は慌てて携帯を取り出して、時間を確認した。


「間に合いそうか?」


オレが夢中になって三枝を連れて廻ったばっかりに……と少し反省する。


「次の電車に乗れば何とか!悪いけど、先にいくわね!じゃ!」


素早く手を上げてから三枝は駅まで駆け出していった。


「あ」


夢中になったばっかりになんでバイトしてたのか聞くの忘れた。

ま、また今度でいいか。

三枝の後ろ姿を見ながら、オレはそんなことを考えていた。


そして、この日の出来事が後のオレの運命を大きく変えることをこのときはまだ知らなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ