表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
92/114

彼氏とか彼女とか

廻り始めてから早2時間。


休憩をとるのも、そっちのけでオレは様々なゲームの試遊や開発者の話などを聞き廻っていた。


その間、三枝は文句も言わずに付いてきてくれた。

てっきり軽口の一つでも言われると思っていたので、それには少し驚いたが、もっと驚いたのは三枝のゲーマーとしての知名度の高さだ。


行き先々で企業のお偉いさんから挨拶をされる。

聞けば、三枝が面白いと言えばそのゲームは確実にヒットするらしい。

なので、企業側としては三枝の開発の段階から助言をもらったり、テスターとしてプレイしてもらってから開発する企業も少なくないそうだ。


彼女の発言で会社が潰れるか成長するか、簡単に左右されるなんて冗談っぽく言っていた人もいたが、オレはそれがあながち冗談ではないと感じた。


普通の女の子に見えるけど、何気にすごい人物だったんだな……


と、感心するのと同時に一つの疑問が浮上した。


おそらく、企業側から依頼されているのならそれなりのお金が支払われるはず。

なのに、なんでこの前三枝はショッピングモールでアルバイトなんてしてたんだ……?


「三枝さん!この前はお世話になりました!」


そんなことを考えながら、とあるブースに近づいた瞬間、遠くからスーツをびしっと着た若干、髪に白髪が混じっている男性が駆け寄ってきて、三枝に挨拶をする。


そのやり取りを見てどうやら、三枝はこの会社にもアドバイスをしていたのだと分かった。


「もしかして例のものを見に来てくれたんですか?」


「そうそう。新しい情報あるかなと思ってさ」


明らか年上の大人に対してタメ語を使って怒られないとは……


「では、こちらへ。それからそちらにいらっしゃるのは彼氏さんですか?」


「「ぶっ!!」」


その言葉に二人とも吹いた。


「だ、誰がこいつなんかと……!」


三枝は顔を赤くしながらそう叫ぶ。


「あれ?違うんですか?お似合いだと思ったんですがねぇ」


はっはっはと高笑いしながら男性は奥に戻っていった。


その後ろ姿を見つつ、横に目をやると同じようにこちらを見ていた三枝と目があってしまう。


「……!」


目があった瞬間、三枝は慌てて目を背け、足早に奥へと進んでいった。


「意識しすぎだっての……」


彼氏なのかと言われ、オレも少しは恥ずかしかったが、三枝の反応が大袈裟すぎたので反って落ち着いてしまった。


いや、むしろ三枝があれだけ反応することに驚いた。


え?ありえないから、こんなやつと。くらいに言われると思っていたのだが……


まぁ三枝も女子だ。彼氏欲しいとか思うときだってあるのだろう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ