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ツンデレ属性!?

「……」


何度も腕時計を見て時間を確認しながら、まだかまだかとそわそわとしてしまう。


まさか、三枝からお出掛けのお誘いがくるとは思ってもみなかった。

あれ以来、会話もしてないのに今日一日、一体何を話せばいいんだ……


「ぐおお……!」


たまらず、頭を抱えてしまう。


「何してんの……?」


するとそんなとき、聞いたことのある声が聞こえてきたので、恐る恐るその声に顔をあげると、ジーパンにTシャツというラフな格好で怪訝な顔をした三枝が目の前に立っていた。


「ああ、いやこれは……」


咄嗟に頭を働かせるが、上手い言い訳が都合よく思い付くはずもなく、すぐに言葉に詰まる。


最悪だ!なんてタイミングで現れるんだ、こいつは!

こんな所を見られたら、このあとますますやりにくくなるじゃないか……!


一気にどん底に落ちたような気分になる。


「はぁ、まぁどうせアンタのことだからどうせ今日何話そうとか考えて、悩んでたとかでしょ……」


だが、オレの反応とは裏腹に呆れたようにため息を吐きながら、やれやれといった様子で首を横に振った。


「あ、ああ……よく……お分かりで……」


ズバリ思ってることを簡単に言い当てられてしまったので、オレは情けない声でそう言うしかなかった。


「それより、あー、なんていうかさ、アンタのこと、ちょっと誤解してた。だから……この前はありがとう……」


そして続けざまにそんなことを言ってきたもんだから、思わず面食らってしまい、その時のオレの顔といったらもうとてつもなく、まぬけな表情をしていたことだろう。


「何よ、その顔……」


恥ずかしそうに後頭部をかきながら、ジロッとオレの顔を見てくる。


「ああ、いや、まさかお礼言われるとは思ってなくてだな……」


「勘違いしないでよ?か、貸しを作りたくないだけなんだから……!」


言葉は強気だがどもっており、その上三枝の頬はどことなくうっすら赤くなっており、オレは吹いてしまいそうになったが、三枝を刺激させるのはマズイと必死にそれを堪えるのだった。


「えーと、それで今日はどこにいくんだ?」


改札に向かう途中、そんなことを尋ねる。


というのも昨日、三枝からお誘いがあったがどこに行くかまでは知らされていなかったのだ。


「ふふ……感謝しなさいよ……」


言って、三枝は口角を怪しく吊り上げると肩に下げているトートバッグから何かを取り出した。


「ここよ、ここ!」


自信満々に取り出したそれをオレに見せる。それは何かのチケットだった。


「ん、これって……」


チケットに記載されている文面を読んだ瞬間、オレはたまらず、目を見開いた。


それは世界的にも有名なゲームのイベントで新作のゲームの発表はもちろん、自社で開発、あるいは他社と共同開発したゲーム機やそれに関する製作をプレゼンするというゲーマーには参加必須のイベントである。


「よく手に入れたな、これ……」


それをまじまじと見つめながら、そう呟く。


このイベントには整理券と呼ばれるチケットがないと参加できないのだが、有料販売にも関わらず、チケットは売り出した瞬間、即時完売、そのチケットがオークションサイトなどで高値で転売されるほどなのだ。


しかも、その数わずか5000枚。


それを三枝が2枚も手に入れてるというのは、奇跡にも近いものだった。。


「この前、優勝した大会の副賞がこれでさ、高値になるし、売っても良かったんだけど、なんかそれじゃ悪い気がしてね……」


言って、段々と語尾の方が小さくなっていく。


「……」


要はこの前のお礼にオレを誘ったってところか。

一方的に嫌われてると思ったけど、なんだかんだで仲良くしてくれるってことかな……

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