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真相

「んん、うまい!!」


勢いよくスプーンで口の中にかきいれつつ、飲み込んだところで声高らかに感想を漏らす。


「ふふっ。よかった~」


そんなオレを見て杉原は優しい笑みを浮かべる。


杉原が作ってくれたのはカレーだったのだが、これが異常なほど旨いのである。

料理上手な母さんですら、ここまでの味のものは作れないのではと思う。


「ほんと、これ美味しいね……」


じっくりと味わうように食べ進めながら、陽愛もぽつりと感想をこぼす。


「毎日こんな料理が食えたら最高だな……」


「お兄ちゃん、それプロポーズ……?」


ぞくりと急に寒気が身体中に走ったので食べる手を止め、恐る恐る、その視線を辿ると陽愛が絶対零度のまなざしでオレを見ていた。


「そ、そんなわけないだろ……」


「だよねー。安心した~」


ほっとした様子で笑う陽愛。


「ははっ、ははっ……」


対してオレはいくら笑おうとしても苦笑いしか出てこなかった。

こ、怖かった……!

さっき、陽愛の後ろに阿修羅の化身が見えた気がした……


スプーンを持つ手をガタガタと震えさせながら、賑やかな(?)夕食は過ぎていった。


夕食後。


「すー……」


ベッドの上で寝息を立てながら、穏やかな寝顔を浮かべる陽愛。


「疲れてたのかな」


「終業式とはいえ、朝は学校に行ってたしな」


二人揃って陽愛の寝顔を鑑賞しながら、そんな会話をする。

久しぶりに見る陽愛の寝顔。

昔と変わらず、あどけない表情だった。


「それじゃ、僕はそろそろ帰ろうかな」


言って、杉原はカバンを持って立ち上がった。


「晩御飯ありがとうな。すげーうまかった」


玄関先で杉原を見送る。


「気に入ってくれてよかったよ。また機会があったら作るね」


「期待してる」


オレのその一言に杉原は笑いながら、去っていった。


そうして杉原の姿が見えなくなったところでオレは家へと戻っていった。


「さて……」


とりあえず洗い物をやっておくか。


足早に台所の前に立つと、オレはジャーと水を出しながら食器を洗い始めた。


あとは風呂を洗って、陽愛が寝てる間は起こしちゃ悪いからテレビもゲームもつけられないし、宿題を少しだけでも片付けておくか。


カレーの残りが食器にこびりつかないよう、念入りに洗いながら、このあとのことを考える。


そして食器を洗い終え、洗面所へ向かおうとしたちょうどそのとき、テーブルの上に置いていた携帯がブーッと音を立ててなった。


LINEかな?


そんなことを思いながら、携帯を手に取る。


案の定、携帯にはLINEが届いていた。

だが、差出人を見た瞬間、オレは目を疑った。


「どうすっかな……」


送られてきた内容を黙読した瞬間、オレは頭をガシガシとかきむしりながら、どうするか躊躇った。

何故なら、LINEを送ってきたのは三枝からだったからだ。


「明日、空いてる?」


という文を添えて。

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