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ワンパン!

「久しぶりだね~、陽愛ちゃん」


「あ、杉原君も一緒だったんだー!制服似合ってるし、相変わらず可愛いね」


「あはは。ありがとう。陽愛ちゃんの服も可愛いね~」


陽愛と合流した途端、二人はキャピキャピと女子らしい空間を作り出す。


「完全にオレのことを無視してるな……」


そんな独り言がポツッと口から飛び出た。


まぁしかし、杉原の言う通り陽愛の服装は確かに可愛かった。


オレが言うのもなんだが、陽愛の服のセンスはかなり良い方だと思う。


「……」


じっと陽愛の服を見ていると、陽愛はオレの視線に気づき、急に顔を赤らめた。


「やだ……お兄ちゃん、そんなに情熱的な目で見ないで……」


「いや、別にそんな目で見てないんだが」


大体、情熱的な目ってなんだ。


「それにしてもすごい大荷物だな……」


「だって2ヵ月近く泊まるんだもん。当たり前だよ」


「それにしたって……」


陽愛が私物を入れて持ってきたのは、大型のキャリーケースとパンパンに膨れ上がったリュックサックだった。


服とおそらく、夏休みの宿題に使うノートやら教科書、配布されたプリント以外に何が入っているのか、すごく気になるんだが。


「女の子は何かと荷物が多いから仕方ないよ」


オレ達、兄妹のやりとりを微笑ましそうに見ながら、杉原は言った。


「そうそう。それより、重いんだけどなぁ……」


そう言って、陽愛はオレをチラッと見てきた。


「ああ、気の効かない兄貴で悪かったな……」


渋々、オレは陽愛のリュックサックを受け取った。


「お、おもっ!?」


受け取った瞬間、想像以上の重量がオレの腕に襲いかかってきたので一瞬、

よろけてしまった。


「あー……肩が楽……」


ふぅ~……と法悦の笑みを浮かべながら、陽愛は肩をグルグル回した。


「……」


こいつ、絶対オレより力強いな。この前、ここで抱き締められた時といい、女子の力じゃなかった。


陽愛に言ったら絶対にワンパン食らうであろう、そんなことを思いながら、勢いよくリュックサックを背負うと陽愛と杉原と共に家に向かった。

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