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デートだな

「これも可愛いな~。どうしようかな。買っちゃおうかな……」


フードコートから更に1つ下のフロアに下り、普段杉原が買い物をしているという店にやってきた。


そして先程から似たような服を何着も手に取り、店の中にある姿見の前で何度も自分に合わせている。


「……」


かれこれ、20分はあの調子だ。

どれも似たような服に見えるが、杉原にとっては違うんだろうか。


しかしまぁ、傍目から見てだが、どれを合わせても似合っていると思う。

全部女性ものの服だけど……


「ねぇ、薫君はどれがいいと思う?」


オレも少しだけ服を見てみたが、服にそこまで興味もなく、待ってる間の暇潰しにと携帯のアプリゲームを開こうとしたとき、オレの横までやってきていた杉原にそう聞かれる。


「え、そうだな……」


携帯をポケットに戻しつつ、杉原が両手に持っている服を交互に見比べる。


どっちもTシャツか……

右手に持っているのはシンプルなデザインで、どちらかと言えば男性が着そうなTシャツだった。


反対に左手に持っているTシャツは所々に装飾があり、女性が着るようなデザインだった。


これまた両極端なTシャツを持ってきたな……

杉原は男性であるから、本来なら右手のものが似合うと言うべきなんだろうが、杉原の好みを考えると左手を勧めるのが当たり前なのか……?


それにもし、オレが左手に持っているが似合ってると言えば杉原はどう捉えるんだろう……


素直に喜ぶ?それともへこむ?それともそれとも……


「ぐおお……!!」


たかが、服を選ぶだけで頭を抱え、物凄く葛藤してしまう。


自分の服を選ぶときですら、こんなに悩んだことはないのに何故友達の服を選ぶだけでこんなに悩む必要があるんだ……!


「な、何か物凄く悩んでるね……そんなに難しいかな……?」


オレの余りの悩みように杉原は自分の手に持っているTシャツを見ながら、苦笑いを浮かべた。


「ああ、数学界最大の難問、フェルマーの定理に挑んだ数学者の気持ちが一遍ほど分かったよ……」


こんなこと言うと数学者に失礼かも知れないが、要はそれだけ悩んだということが言いたいのだ。


「と、とりあえず気になるなら着てみたらどうだ?」


「あ、そうだね。じゃあ試着してこようかな」


杉原はとてとてと試着室の方に向かい、その中へと入っていった。

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