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うどんよりそばが好き

2時間後。


映画館から杉原と共に出てくる。


「結構面白かったな」


さすがハリウッドというか、無駄に車が爆発したり、建物が崩れたり凄かったな。


「確かに面白かったんだけど、中、クーラー効きすぎだよ……僕、身体冷えちゃった……」


言いながら、杉原は身体を震わせ、抱き締めるように両手で肩を擦った。


「そういえば、そうだな……」


映画も2時間半くらいの長編だったし、映画を観る前にジュースを買ってそれを飲みながら観てたからな。無理もない。


「なんか身体が暖まるものでも食べに行こうか?」


夏に温かいものを食べるというもの変な感じだけどな。

そんなことを思い、つい心の中で苦笑してしまう。


「うん。賛成……」


というわけで、オレと杉原はエスカレーターを下り、一つ下のフロアにあるフードコートへと向かった。


「あー、ほっとする……」


フードコートは昼時を過ぎたからか、そこまで混んでいなく、オレ達は適当な席に着い他。

そして先程運ばれたばかりのどんぶりに両手を添えて、杉原は安堵したような穏やかな笑みを浮かべている。


どんぶりには、杉原の頼んだたぬきうどんが湯気を立てて入っている。


「良かったな」


その笑みを見ながら、オレは頼んだきつねそばをずずっとすする。


オレの身体も冷えていたようで、れんげですくった出汁をごくっと飲むと、それが全身に染み渡るようだった。


「あ~暖まる……」


杉原はうどんをすすりながら、ほにゃ~とだらしない表情をする。


「……」


それを見てオレはこう思う。


やっぱりこいつは、男に見えないな。


なんかもう男とか女とかじゃなく、こいつは杉原だ、うん。

そういうジャンルの人間だと思った方がなんか色んな部分で納得する。


「そういえば、このあとはどうする?」


オレが考え事をしている間に、いつの間にかうどんを平らげていた杉原が頬杖を付きながら、そう聞いてきた。


「あー、そうだな」


その言葉にオレはチラッと遠くの壁にかかっている時計に目をやる。

今は2時を少し過ぎたくらいだった。


「迎えに行くにはまだ時間あるな……」


「じゃあさ、一緒に服見てくれない?」


「服?」


意外な言葉が杉原の口から出てきたのでオレは思わず、聞き返してしまった。


「うん。最近、見れてなくてさぁ。行きたいお店もいっぱいあるんだ~」


「そっか……なら行くか」


特に行きたい場所や、やりたいこともないしな。

それに映画に付き合ってくれたんだから、オレもそれに付き合うというのが筋というものだろう。


「やった~!ありがとう!」


お礼を言いながら、可愛らしい笑顔を

オレに向けてくれる。

その笑顔を見てオレは少しだけ顔が赤くなったような気がした。


頭では男だとわかっていてもやっぱり慣れねぇ……

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