どんな映画を観るのか
「あー涼しい……!」
猛暑の中、歩くこと15分。
ようやくショッピングモールへとたどり着き、オレ達はようやく快適な場所に入ることができた。
明日から夏休みということもあってか、ショッピングモールにはちらほらと学生服を着てる人がいるのが見えた。
「先にご飯食べる?」
さて、どうするかなと思いながら、ゆっくりとフロアの中を歩いていると、隣にいる杉原がそう声をかけてきた。
「そうだな、暑いところにいたから食欲があまりないし、昼飯は後でいいかな。先に映画観ながらゆったり涼もうぜ」
「りょうか~い」
というわけでオレ達は先に映画を観ることにした。
エスカレーターで上へ上がっている途中、ズボンのポケットに入れていた携帯が震えた。
「ん?」
それに気づき、ポケットから携帯を取り出す。
LINEが届いていた。差出人は陽愛。
「夕方には駅に着くから迎えに来てほしいな……」
珍しく、しおらしくて陽愛にしては短い文面だったのでそれを見てオレは少し驚いた。
「……」
まぁ断る理由は特にないしな。
オレは手早く了解と返信の文字を打って送信し、再び携帯をポケットに戻した。
「どうしたの?」
するとしばらくの間、オレが無言だったので前に立っている杉原が声をかけてきた。
「ああ、いや、実は夏休みの間だけ陽愛がウチに住むことになってな。それで今日の夕方には駅に着くから迎えに来てほしいって」
はは。っと苦笑を交えながらわけを説明をする。
「そうなんだ。相変わらず仲良いね~。僕は兄妹いないから羨ましいや」
「いや、居たら居たで結構めんどくさいこともあるもんだぞ?」
特に陽愛はオレ(兄)にべったりだし。
「いやいや、それが贅沢な悩みなんだよ~」
そんな杉原の指摘を受けながら、映画館のあるフロアに到着した。
そして、運良く30分後に始まる映画のチケットと、ついでに中で食べるポップコーンとジュースを買い、中へと入っていくのだった。




