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灼熱

ホームルームも終わり、今は放課後。


部活へ向かうもの、遊びに行くもの、自宅へ帰るものなどクラスメイトの動きも様々だった。


「どうする?せっかく早く終わったし、どっかに寄って帰る?」


隣にいた杉原がカバンを持って、オレの前に立っていた。


「そうだなぁ……」


この後の予定が完全にノープランだったので、オレは少し頭を悩ませた。


このまま帰るのはなんかもったいないし、ゲーセンでも行くかな。

そういえば、観たい映画が今やってたはずだっけ。

せっかく時間もあるし、観に行くか。


「観たい映画があったんだけど、付き合ってもらっていいか?」


「うん。もちろん。じゃあ映画館なら駅前だね」


「そうだな」


二つ返事で杉原が頷いてくれたのでオレはほっとしつつ、カバンを掴んでイスから立ち上がった。


そして杉原のあとに続いて教室から出ようとしたとき、三枝も同じように教室から出ようとしていたのが見えた。


「三枝さんも誘ってみよっか?」


「ああ、うーん……」


杉原はそう提案したが、オレは少し難色を示した。


というのも、雑貨屋でのアルバイト以来、三枝とは全く口を聞いていないのだ。

そもそも、あれだけ邪険にされているのがわかったので、今更近寄れるわけがなかった。


「なんかあったの?」


すると、オレの反応に疑問を抱いた杉原がオレの顔を覗き込むように聞いてくる。


「まぁ色々な……」


色んな女の子に手を出していると思われているから、嫌われてます。なんて自分の口からはとてもじゃないが、言えなかった。

まぁ確かに女の子の友達が多いことは認めるが。

とはいえ、杉原も一応男だ。


だが、三枝の中で杉原が男としてカウントされているのかは、甚だ疑問である。


オレですら、よくわからない感じなのだ。


「なんか気まずそうだし、やめとこうか」


オレの心の内を察してくれたのか、杉原はそう言ってくれた。


「悪いな……」


ばつが悪くなり、つい頬をかいてしまう。

こういう杉原のすぐに気の効くところは、素直に有り難いと思える。


「いいって、いいって。それじゃ、二人だけで行こうか」


そして、三枝がこちらに気づかずに教室を出ていってから、オレ達も教室を出た。


「あっという間に夏休みだね~」


下駄箱で靴に履き替えながら、杉原がそんなことを言ってきた。


「そうだな。結構早かったな」


学校が始まったときは周りの面子にびっくりして、どうなるかと思ったがなんだかんだで楽しかったな。

まぁ結局男子の友達はほとんどできなかったけど……

それでも今の学校生活は何だかんだで楽しいと思える。


「あー、あっつい……」


学校を出てから灼熱の太陽が容赦なく、オレ達を照らし、杉原がカバンからミニタオルを取り出し、顔全体から吹き出てくる汗を拭う。


「ああ、あっついな……早くクーラーの効いたところに行きたい……」


フライパンや網で焼かれる魚達はこんないつもこんな気持ちなのかと、つい同情したくなる。


「スーツ着てる人は大変だよね。僕達はまだ制服だから風通しは良い方だし、半袖の服も着れるし」


「ほんとだよな」


すれ違うサラリーマンを横目に見ながら、オレ達は暑い暑いとわかりきったことを連呼しながら、ショッピングモールへと向かうのだった。

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