いよいよ夏休み
今日は終業式とホームルームのみで学校は終わり。
つまり明日から夏休みである。
「えー、であるからして……」
体育館に全校生徒が集められ、一番前に置かれている少し大きめの教卓の前で校長が長ったらしい話を延々と繰り返している。
「……」
あー、なが。
あまりの話の長さにたまらず、だらけてしまう。
要は犯罪などに手を染めず、ハメを外しすぎず、学生として休みを過ごしなさいってことだろ?
なのに、なんでこんな長くする必要があるんだ。
「ふぁ……」
たまらず、出たあくびを手で隠しつつ、周りを見回す。
やはり、ほとんどの生徒が早くおわんねぇかな。と言った表情で話を聞いていた。
オレも全くの同意見だ。
「えー、では最後に生徒会から文化祭について……」
やや経ってから皆の願いが通じたのか、ようやく校長の話が終わり、入れ替わるように今度は会長が前に立った。
「えー、皆さんご存じだとは思いますが、夏休みが終わり、2学期が始まるとすぐに文化祭が行われます。出し物によっては夏休み中から活動してもらうと思いますので、クラスでよく話し合って下さい。また決まり事などは後ほど担任の先生から伝えてもらいますので……」
文化祭か。
夏休み終わるともうそんな時期か。
会長の話を聞きつつ、ぼんやりとそんなことを考える。
そして会長の話が終わると終業式も終わったのだった。
「生徒会長の話にもあったように2学期初頭に文化祭がある。というわけで今日中に出し物を決めて、今後どうするか話し合っておきたい」
教室へ戻ってきて、全員が席に着いてから担任からそう話される。
「文化祭といえばお化け屋敷だろ!」
クラスメイトの男子の一人がイスから立ち上がりながら、大きく声を上げる。
「ええー、それは男子の意見でしょ?文化祭といえば喫茶店が定番よ」
その声に反論するように、今度は少し離れた所にいる女子が声を上げた。
「そういえば、あんたの家って喫茶店だったわよね?」
そこから連鎖するようにあっという間にクラス中のあちこちで話し声が聞こえ始める。
「みんな、盛り上がってるね」
そんな様子を横目で見つつ、隣にいる杉原が声をかけてきた。
「まぁ文化祭だからなぁ。盛り上がってこそって気もするし」
中学の時は部活、部活をやめてからも勉強の毎日だったからあまり参加した記憶がない。
だからこそ、高校は楽しい文化祭を送りたいと思っている。
まぁ、この白熱した会話の中に飛び込もうとも思わないが。何より、下手に喋るだけで反感買いそうだし……
「おーし、わかったから全員静かにしろー。キリがないからいくつか案を出して多数決にするぞー」
結局、担任のこの一言でアンケートの集計を取り、ウチのクラスの文化祭の出し物は喫茶店に決定した。