アイスは一気に食べるとお腹を壊す
その後、ゲーセンで約2時間ほど楽しいひとときを過ごした。
その中で分かったのだが、柊はどの分野のゲームにも精通していた。
音ゲーでは、ミスはなくパーフェクトで1位とは行かずとも、必ずランキングにはランクイン。
射撃では百発百中。柊が開拓時台の西部に生まれていたら絶対にガンマンになっていたことだろう。
途中、気分転換にとメダルゲームで遊ぶことにし、これに関してはほぼ運ゲーと思いきや、柊の指示を通り動かすと、何故か大当たりが連発でわずか50枚だったメダルが500枚近くにまで増える結果となった。
そんな様子を垣間見て、これがゲーマーなのかとオレは実感するのだった。
「あー、うまい」
「ほんと、甘くて美味しいね」
ゲーセンから出たところにあるベンチで先程、自販機で買った棒付きのアイスを二人並んで頬張る。
オレはソーダ、柊はチョコミントを食べている。
「いやー、久々にゲーセンで思いっきり遊んだかも」
「そうなんだ?アタシはほぼ毎日行ってるから、むしろ行かない日の方が珍しいくらい」
そう言ってから、柊はアイスにばくっと食らいついた。
それを見て、意外に大口開けるんだなと思った。
「毎日!?だからあんなに上手いのか。納得……」
「あ、そういえばプールどうしよっか……」
言いながら、柊は携帯のディスプレイをオレにも見えるように点灯させた。
そこには18:02と表示されていた。
「ああ、そういえばすっかり忘れてたな……」
夏に近づいてる影響で陽が暮れるのが遅くて、だいぶ時間が経っていることを忘れていた。
「これ食べたら戻るか?明日も休みだから遅くなって大丈夫だけど」
「そうだね……」
そこまで言ったところで柊の携帯がブルブルと音を立てて震えだした。
「あ、ごめん。電話かかってきちゃった……」
柊はベンチから立ち上がると少し離れたところにそそくさと移動した。
オレはそれに特に気にせず、アイスを食べ続けていた。
「もしもし。うん……うん……え?遅くなる?わかった」
程無くして電話を終えた柊がベンチに戻ってくる。
「どうした?」
「うん、今日お母さん達、出掛けてたんだけど少し遅くなるって言われてさ」
言いながら、柊は少し溶けた残っていたアイスを一口で頬張った。
「そっか。じゃあギリギリまで遊ぶか」
「ごめんね。なんか付き合わせちゃって」
「気にすんなって。オレも家に帰っても暇だし」
そう言ってからオレも残っていたアイスを食べ終えるとベンチから立ち上がり、柊と再びプールに向かうことにした。




