グラマラス!
「……」
水着に着替えた後、オレはプールサイドで柊が来るのをそわそわとしながら、待っていた。
それもそのはず。
なぜなら、柊の水着。それも学校指定のスク水ではなく、プライベート仕様の水着……
それを思うと緊張しないはずがなかった。
それにしても人が多い。
オレは緊張をほぐすように周りを見回した。
カップルや友達同士、家族連れなど様々な人達がこの大きなプールを楽しんでいた。
しかし、かなりの広さを誇っているからか、人の多さのわりには所々、多少のスペースが空いていた。
これなら、練習もできそうだな。
「お、お待たせ……」
と、そんなことを思っていた時、後ろから声をかけられた。
その声の主が柊と分かり、オレは後ろに振り向いた。
「……」
振り向いた瞬間、オレは言葉に詰まった。
「変じゃない?」
「あ、ああ、大丈夫。似合ってる」
「そ、そっか……」
オレからそんな言葉を言われると思ってなかったのか、柊は恥ずかしそうに俯いた。無理もないだろう。オレ自身、そんな言葉を言うとは思ってなかった。
予想はしていたとはいえ、こうして柊の水着姿を目の当たりにすると反応に困ってしまう。
誉める誉めない以前にまともに直視すらできない。
控えめな水着を着てくるのかと思ったら、なんと予想を大幅に良い意味で裏切るビキニ姿で柊は現れた。
おかげで、そのグラマラスなボディがやけに強調されてて、腰から上がほとんど見れていない。
かといって、腰回りもやたらきゅっと絞まっていて、もはやそれは生き地獄に近かった。
思春期の男子にとって眼福ともいえるシチュエーションだが、実際、そういう場面に遭遇したら戸惑ってしまうのが現実だった。
「と、とりあえず準備運動してからプールに入るか」
オレは恥ずかしさを隠すようにそそくさとプールサイドに移動した。
「う、うん」
柊も恥ずかしいのかどことなく、動きがぎこちない。
こうして、やけにぎこちない二人で水泳の練習が始めるのだった。




