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プールにて

「あ、アタシ、どっか変かな……?」


オレが何も言わずに、しばらく固まっていたので柊は不安になったのか、慌てて自分の身だしなみをチェックし始めた。


「ああ!ごめん!ちょっと考え事してて。全然大丈夫だから!!」


オレは、安心させるため、すぐさまベンチから立ち上がった。


「そう?ならいいけど、変なところあったら言ってね?」


柊は上目遣いになりながら、そう言ってくる。


「……!」


その上目遣いにオレはノックアウト寸前だった。

やべぇ、なんですか、この人。

オレを悶え死にさせる気ですか。

マジで可愛すぎる!!

柊と知り合いたての時に一度デートしたけど、あの時とは比べ物にならないほど今日のデートは嬉しい……!

こんな美少女と今日一日過ごせるのかと思うと、オレは幸福者だと改めて実感するのだった。


「それじゃ、時間ももったいないし、行こうか」


「う、うん……!」


オレがそう言うと、それに促されるように柊はオレの横についてから歩いた。

これで手でも握れたら最高なんだが、付き合ってもいないのにさすがに手は握れないよな。


「今日はありがとう。こんなこと頼めるの井上君くらいしかいなくて……」


駅の改札まで向かっている途中で柊はそう言ってきた。


「柊に誘われなかったら、いつも通り暇してたから、こちらこそありがとうだよ」


「中学の時は水泳なんて無かったから良かったんだけど、授業がある以上、先生にマズイって言われてさ……」


言いながら、柊ははぁと落ち込むようにため息を吐く。

確かに授業の度にずっと見学するわけにもいかないもんな。


「そっか。なら、上手く教えられるようにオレもなるべく努力するよ」


「……ありがとう!」


嬉しそうに、ぱあぁっと輝かせた笑顔をオレに向けてきた。

その笑顔を見て、オレは少しだけドキっとしてしまった。

毎回、ドキドキしてたらキリがないから早くなれないとな……

そんな会話をしつつ、オレ達は目当ての電車が来るとそれに乗り込んだ。

少し前まで、ぎこちなかったのにいつの間にかオレ達の雰囲気は元通りになっていて、そのことにオレは心の中で密かにほっとするのだった。


そして電車に揺られること10分。

2つ先の駅で降りる。

そこから歩くことわずか5分ほど。


「でっけー……」


「おっきい……」


あまりの大きさに二人して建物を見上げながら、そんな感想がこぼれてきた。

噂には聞いてたけど、予想より遥かに大きいな……

オレ達がやってきたのは、全国的にも有名な巨大なレジャー施設だった。

そう。昨夜、柊から泳げるようになりたいからと連絡があり、その練習のためにここにやってきたのだ。

ゲーセンなどで遊べるのはもちろん、プールや温泉などもある複合型施設なので、泳ぐ練習にはもってこいだった。


「と、とりあえず中に入るか」


「そ、そうだね」


未だ建物の大きさに圧巻されながら、オレ達は中へと入っていった。

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