プールだよ!
そしてあっという間に月日は流れ、いよいよテストが始まった。
柊と杉原に教えてもらったおかげで苦手な数学と科学もなんとか平均点ギリギリの点数を取ることに成功し、追試の危機も回避した。
杉原もそこそこの点数だったらしく、柊はさすがと言うべきか全教科がクラスでトップの成績、そして学年でもトップの成績だった。
それより意外なのは三枝。
オレの家でほとんどゲームしかやっていなかったのに、何故か現国と古典以外は90点代。
現国と古典だけは平均点以下だったらしいが、それでもまずまずの点数で追試を受けることにはならなかった。
三枝に何故、そんなに高得点を取れたのか聞くと、柊に理系に共通する点の取り方を教えてもらったそうだ。
ゲーマーだからこそ、気づく方法らしく、そんな二人が少しだけ羨ましいと思うのだった。
そしてテストも無事に乗り切り、6月も下旬に入り、夏の日差しが差し始め、暑い日が続くようになってきた。
そしていよいよあの授業が始まる時期にも入った。
「室内でプールなんて楽だよな」
水着に着替えるため、更衣室に移動する最中、隣を歩く杉原に声をかける。
「そうだね。でも少し恥ずかしいよ……」
そう言いながら、恥ずかしそうにもじもじと身体をくねらせる。
「……」
それを聞いて、オレはごくっと喉を鳴らした。
クラス内で密かに騒がれていたこの件。
杉原は一体どんな水着を着るのか!?
というもの。
女子の制服を着ることは出来ても、さすがにスク水は無理だから、海パンなんじゃないかとか、なんとかしてスク水を着るんじゃないかとか、色々と憶測が飛び交い、男子の間で騒がれていた。
オレも思いきって聞いてみようと思ったのだが、いざ、本人を目の前にすると聞けずに結局そのまま、水泳の授業に入ってしまった。




