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普通が一番。

「はぁー……」


ため息を吐きつつ、玄関を開け、靴を無造作に脱ぎながら、部屋の中へ入る。


そして、そのままリビングへ移動し、カバンを適当に床に置くと、部屋の端に置いてあるベッドに横になる。


広さ1Kのこの空間がオレの楽園だ。


家賃5万円のわりに部屋がそこそこ広く、風呂もトイレもあり、それぞれ別々に設置されている。


荷ほどきも3日前に終わっており、あとはご飯を食べて明日に備えるだけ。

だが、まずは頭を整理するのが先だった。


「ふぅ……」


息を一つ吐く。

とんだ一日だった。

明日は平和に終わるといいな……


いや、別に今日が平和ではなかったわけではないが、これ以上の驚きはいらないという感じだ。

まぁ今日みたいなこと、早々起きないと思うけど。

苦笑しつつ、ベッドの上で少し休憩した後、晩御飯を作り始めるのため、起き上がり、キッチンへ移動する。


今日の晩御飯は簡単にするか。そこまで動いてないから腹も減ってないし。

焼きうどんでいいか。

ということで冷蔵庫を漁りながら、必要な材料を取り出していくのだった。


翌日。

本日の日程は身体測定のみ。


男女別に自由に二人一組でペアを作り、体操着に着替えてからそれぞれの種目を回っていく。


オレのペアはもちろん、杉原。


杉原が男子側と一緒に着替えているのに気づいたクラスメイトはかなりざわついたが、本人に気にしてる様子はなかった。

きっと中学の時も同じ反応だったんだろうなと思う。


まぁそれはいいとして、問題が一つ浮上した。


それは……

杉原の身体に触らなければいけないということである。


普通なら野郎の身体に触れるなんて別になんてことはないのだが、何故か杉原に至ってはものすごく緊張した。


その上、何故か、やたら良い匂いがして、身体もところどころ、柔らかかった。


特に腹筋の時なんか、足首を持つのだが、男とは思えないくらいスベスベしていて、おまけに毛が一本も生えていない太ももがチラチラ見えて、ありえないくらいドキドキした。


ほんとに男か、こいつ!?

と、思わず、疑ってしまったくらいだ。


そんなハプニングのおかげでオレの胸は常にドキドキと鼓動しながら、それとは裏腹に身体測定は順調に進んでいった。


「はぁ……」


全ての測定が終わって、教室に戻り、制服に着替え終わり、イスに座りながら今日、何度目かわからないため息を吐いてしまう。


なんとか身体測定は終わったのだが、やたら疲れた……

この疲労は絶対に身体測定だけじゃない気がする。


早く帰って家で休みたい。


オレをこんなに色んな意味で悩ませる杉原はというと、用事があるらしく、オレより先に帰った。


あー……

なんか普通の友達がほしい。


いや、杉原が普通じゃないわけではないが。


いや、やっぱ普通じゃないよな。

少し考えたあと、結論に至る。

ほぼ女の子だよ、あんなの。

いちいち、可愛いし。


あれ?

ということは杉原を女の友達と考えれば、良いわけか?

そういう風に気持ちを切り替えればオールオッケーなはず。

しかし、まぁそんな簡単に切り替えれたら苦労はしないよな。

少しの間、一人でうんうんと唸るのだった。


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