告白
「はっ……!?」
たまらず、二度見する。
特徴的な髪の色に腰まであるツインテ。
間違いない、オレがゲーセンで会った女の子だ。
まさかこんなところで再会するとは……
っていうかなんで??!
頭の周りにハテナマークが何個も浮かび上がる。
「両親の都合で引っ越してきました。よろしくお願いします」
オレの疑問はよそにツインテ少女は教卓の前でクラス中を見渡しながら、ペコリと頭を下げる。
なるほど、転校生なのか。
担任の話を一切聞いていなかったのでその言葉で何故ここにいるのか、ようやく気づく。
その後ろにある黒板には担任が書いたであろう彼女のフルネームが。
そこには三枝美香と書かれていた。
「三枝……」
珍しい名字だなと思う。
軽い自己紹介が終わるとツインテ少女、もとい三枝は担任に言われ、オレから斜め右上の席に座る。
まさかの至近距離に何故かびくっと反応してしまう。
そのあとは適当な連絡事項を話してから、ホームルームが終了した。
そして昼休み。
クラスメイトがガヤガヤと騒ぎながら三枝の周りに集まる。
「すごい人気だねー」
昼飯を終え、教室へ入ると中がそんな状況だったので、先に中に入っていた杉原は驚いたように口を開く。
「まぁ転校生だしな。聞きたいことも沢山あるんだろ」
かくいうオレも聞きたいことが一つあったが、別に今すぐ話すことではないので、とりあえずしばらくは平常通りに過ごすことに決めた。
そしてそのまま柊、杉原と共に三枝の様子を横目に見ながら、自分の席へ着こうとした時。
「あの……」
三枝がくるっとこちらを向き、オレに声をかけてきたのだ。
「えっ……?」
突然の声かけに戸惑う。
もちろん、それを見ていた柊、杉原を含めたクラスメイト全員も驚く。
「あの、実は話したいことがあって……」
そんな状況にも関わらず、三枝は周りに構わずそう言ってきた。
「は、話したいこと……って……?」
周りからの視線が気になりつつ、そう問い返してみる。
すると。
「ここじゃ、その言いにくくて……」
三枝が頬を染めて、俯くもんだからその瞬間、クラス中が一斉にどよめく。
「ちょっと井上君、どういうこと!?」
普段からは想像もつかないような大声で柊が凄い勢いでオレの肩を掴み、ガクガクと揺さぶってきた。
「いや、オレにも何がなんだか……」
そんなことより、あんまり振るな……
昼飯食べたばっかだから、何か出そうになる……
「いやいや、なんにもないわけないでしょ!?っていうか、人前じゃ出来ない話ってことは、つまり……!」
その先の言葉を柊が言う前に三枝は席から立ち上がり。
「早く……」
ぼそっと、そう言ってから教室を出ていった。
「あ、うん……」
言われるがまま、オレも柊の拘束が緩まった隙を見て、足早に教室から出ていった。




