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持つべきものは友。

作業開始から20分ほど経った。


「結構ゴミあるな……」


屈みながら集めていくゴミを前に呟く。

今は学校のちょうど裏手側のゴミ拾いをしている。

雑草や木などが生い茂っているので、ポイ捨てをしても目立ちにくいのだろう。よく見てみると沢山のゴミがあった。


それにしても絶対通行人のゴミとかも捨ててある。

タバコとか、ビールの空き缶とか、もし生徒の捨てたものだったとしたら、警察沙汰だよ。

なんて心の中で悪態をつきながら、次から次へとゴミを拾い集めていく。


すると。


「あ、手伝います」


一人の生徒が声をかけてきた。


「あ、お願いします」


その声に反射的にそう返すが、次の瞬間、違和感を感じる。

なんか聞いたことある声だな……


「ん?」


顔をしかめながら、顔を上げると。


「やっほー」


目の前に軍手を着けた杉原がいた。


「あれ?なんでここに!?」


突然の登場にオレはかなり驚いた。

教室から出ていった時も、生徒会室にいたときも現れなかったのにどうして……?


「いやー、なんか薫君が珍しく早く教室から出ていったから、なんかあるのかな~って綾香と話しててさ。で、こっそり後をつけたらこれのことを知ってさ、アタシ達も手伝おうってなったわけ」


「そうなのか……ってことは、まさか柊も?」


「うん。あそこにいるよ」


杉原の指差す方向に視線を向けると、オレ達から少し離れたところで一人もくもくとゴミ拾いをしている柊がいた。綺麗な顔が少し黒ずんでいるように見えた。


「綺麗な顔がもったいないネー」


オレと同じことを思ったのか、杉原がそう口を開いた。


「そうだな。あの、その、ありがとうな……」


言った途端に少し照れくさくなり、オレは顔を隠すようにゴミ拾いに戻った。


「友達だからね。どういたしまして」


杉原がそう言ってくれて、オレは妙にその言葉が嬉しかった。

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