美人すぎる
翌朝。
ブブッ。
「ん……?」
テーブルの上に置いている携帯が震える。その振動で気持ちよく眠っていたのに目が覚めてしまう。
小刻みに振動したので、どうやら誰かからLINEが来たらしい。
「朝っぱらから誰だよ……」
悪態を突きつつ、携帯のディスプレイを見る。
時計を見てみると、今はまだ朝の8時過ぎだった。
だが、そんなことより差出人は意外な人物からだった。
「10時に駅前に集合!!」
なんと柏木会長からだった。
そういえば昨日LINE交換したんだっけ。
まさかこんなすぐ連絡が来るとは。
会長からの呼び出し。
一体、何をするんだろうか。
そんなことを考えながら、オレはベッドから起き上がり、支度を始めるのだった。
そして、連絡を受けてから1時間半が過ぎた9時40分。
生徒会長の指示通り、駅前にやってきた。
適当なベンチに腰を下ろし、座る。
今日は特に用事もなかったので、別にそれはいいんだが。
「眠い……」
夜更かししたのに、朝早く起きたので眠気が全然取れず、大きなあくびを一つする。
それにしても周りを見渡すと駅前には、オレと同じような男の人がちらほらといた。
あの人達は今から彼女とデートに行くのだろうか。
そう思ったら、すごく羨ましく思えてくる。
なんてことを考えていると、少し先の方から柏木会長の姿が見えた。
「……!」
その姿を見た途端、オレの心臓はドキンと跳ねた。
めちゃくちゃ綺麗だ……
見惚れるとは、まさにこのことだとオレは思った。
昨日とはまるで別人のような柏木会長の私服。
ネイビーのトップスとカモフラ柄のスカート、少し低めのヒールを履いて肩からショルダーバッグをかけている。
それに遠目だからはっきりとはわからないが、どうやら化粧はしていないようである。化粧なしでもこれほどの綺麗さが出せるのかと思った。
まさに、その姿は大人の女性という感じだった。
「お待たせ~……ってどうしたの?」
ベンチに座ったまま、固まったオレを見て会長が顔を覗きこんでくる。
「い、いえ!別に!!」
慌てて顔をうつむかせる。
ていうか近いよ!
顔が真っ赤になるのが自分でもわかった。
「ふふっ。シャイなのね」
そんなオレの心を見透かしたように生徒会長は微笑んだ。




