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気のせいってよくある

すっかり陽も暮れ、夜の8時を回ったくらい。


昨日と同じように陽愛と銭湯に行き、その帰り、火照った身体を冷ますため、寄ったコンビニでアイスを買い、近くの公園のベンチに座り、食べる。


「んー、美味しい!」


横にいる陽愛が声を上げる。ちなみに陽愛はカップに入ったアイスを食べている。


「そりゃよかった」


言いながら、オレもアイスをかじる。

オレは棒つきのソーダ味のアイスを買った。当たりが出れば、もう一本もらえるというお得なやつだ。


「そういや、陽愛の学校はどうなんだ?楽しいか?」


たまには兄らしいことも聞いてやろうと思い、そう聞いてみる。


「中学校の友達が沢山いるから楽しいよ。でも、なんか新鮮味がないというか……」


「部活とかはやらないのか?」


陽愛は運動神経が良く、中学校の時はよく色んな部活から助っ人を頼まれるくらいだった。

中学の時はそのこともあり、常に帰宅部だったが、高校でもそうなのだろうか。


「んー、なんか入りたい部活もなくてさ。無理に入る必要ないかなって思ってて」


「そっか。オレと同じだな」


そう言いつつ、ほどよい具合に溶けたアイスをシャリシャリと食べていく。


「バスケはやらないの?お兄ちゃん、中学の時は背が高くてエース的な存在だったじゃん」


「やりたいんだけどな。学校の課題やら宿題が毎日出るからやってる暇なさそうでさ。どうしてもやりたくなったらストリートバスケでもやるよ」


「そっかぁ。またお兄ちゃんの試合観たいなぁ」


どこか寂しそうに呟く陽愛の言葉にオレは少し罪悪感を覚えながら、残っていたアイスを食べきった。


中学の頃は試合の度に陽愛は応援に来てくれた。その上、マネージャーでもないのに熱心にサポートもしてくれて、チームメイトもそれが嬉しいと言っていたのを覚えている。まぁ、実際は男だらけの部活の中に女の子がいるのが、嬉しいだけなんだけど。


「さて、じゃあ、そろそろ帰るか」


近くにあったゴミ箱に棒を投げ入れ、ベンチから立ち上がる。

ちなみに棒はハズレだった。残念。


「そうだね。そういえば観たいドラマあったんだぁ!」


「なら、早く帰らないとな」


オレに続き、陽愛も食べ終えたカップをゴミ箱に投げ入れ、二人並んで家まで歩き始めた時、通行人とすれ違った。


「ん?」


突然、感じた違和感に不意に足を止める。

今の人、どこかで会ったような。

そんな疑問が頭をよぎった。


「どうしたの?」


オレがいきなり立ち止まったので、横にいた陽愛が慌ててオレの隣に駆け寄ってくる。


「いや、さっきの人、知り合いかと思ったんだけど、多分人違いだと思う」


そう言って、特に気にせず、再び歩き出した。

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