妹は正義
「これでいいかな」
テーブルに広げたノートを前に一人ごちをつく。
今は夜の7時過ぎ。
掲示板で部活の一覧を見たが、めぼしい部活は特になかったので、アパートに帰り、晩御飯を食べたあと、忘れないうちに今日出された宿題を今、片付けたところだ。
そして、ノートをカバンに閉まったあと、テーブルに置いていた携帯を手に取り、ディスプレイを点灯させ、時間を確かめる。
寝るにはまだ早すぎるな。
特にやることもないしらゲームの続きでもするかな。
そう思い、携帯を再びテーブルの上に置こうとした時、バイブが鳴り響く。連続で震えているからどうやら電話みたいだ。
「げっ…」
バイブと同時にディスプレイが点灯し、発信者の名前を表示するのだが、オレはその名前を見た瞬間、思わず、顔をひきつらせた。
「はぁ……」
ため息を一つ吐き、一種の覚悟を決めたあと、携帯を耳に当てる。
「もしも…」
そこまで言ったところでオレの声は見事にかき消された。
「お兄ちゃーーーん!!!!!!」
受話器越しにでも耳をつんざく、とてつもない大声がオレの耳を襲う。
「うるさいわ、バカ!!」
携帯に向かって怒鳴りながら、受話器を当てていた耳をさする。
あー、いってー……
「だって、だってぇ、お兄ちゃんが何の連絡もしてくれないからぁー……」
言って、受話器越しでも分かるくらいに、ぶわぁっと泣き出す。
「そんなことで泣くな!お前もいい歳だろ!!GWには帰るからそれまで待ってろ!」
「待てないよー……うえーん」
「あー、もう……!!」
たまらず、頭を抱える。
なんでウチの妹はこう他と違い、ブラコンなんだ!!
普通なら兄貴なんて大嫌い。みたいな感じなのに!
中学の時はそれが原因で散々、いじられた。
羨ましいとも言われたが、全然良くねぇぞ、こんなん!!
結局、そのあと、陽愛をなだめるのに30分以上、かかってしまった。
あー、疲れる妹だ……全く……




