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アブノーマルその1

やたら長ったらしい入学式が終わり、そのあと各学年のクラス分けが体育館の片隅に張り出される。


クラス分けの前は人だかりで中々前に進めなかったが、身長が182cmと他の男子よりも高いので、遠目からでも確認することができた。


えーっと、オレは1-Cか……

知り合いいるかな。

確認ついでに知っている名前がないか、確認してみる。


「誰もいねぇ……」


その言葉と同時にため息がごほれ出てしまう。


元々、オレの通ってた中学からこの高校に進学するやつは、ほとんどいなかったが、それでもまさかいきなりぼっちになるとは夢にも思っていなかった。


「いやいや!」


ブンブンと頭を左右に振り、ネガティブな考えを払拭する。

素晴らしい青春を送るために、わざわざ猛勉強してここにきたんだ。

知り合いがいなければ、ここで作ればいいんだ!


「よし!」


パン!と両手で頬を叩き、気合いをいれてから、体育館を出ていった。

そして校内の案内板と周りの流れに従い、教室へ向かう。

そんな中、周りをチラッと見渡すとみんな、楽しそうに友達と話しながら、移動している。


周りの様子を見ながら羨ましく思う。

オレも早く、ここでの友達作らねぇと……!

心の中でそう固く決意しながら、階段を上った先にお目当ての教室があった。


中へ入ると黒板に席順が張り出されており、そこにまた人だかりができていた。

案の定、前には中々進めないので体育館の時と同じように遠目から確認すると、窓側の一番下のところに名前があった。


ついでに周りの席の名前を見てみるとどうやら、名前順で席を決めているようではないらしい。


気の合うやつが周りにいれば良いな。

そう祈りながら席につく。


「あれ……」


すると、隣から不思議そうな声が聞こえてきた。

その声に反応し、ふと横を見てみると。


「…………」


可愛らしい女の子がオレを見ていた。


「…………」


数秒間、お互い顔を見つめ続ける。


……って恋人か!オレ達は!!

たまらず、顔を背け、心の中で突っ込む。

っていうか、なんで、この子はずっとオレを見てるんだ?

わけもわからず、とりあえず再び、顔を元の位置に戻す。


「……」


すると、女の子はいつの間にか目の前に来ていた。


「あの……えーっと……」


どうしよ……

なんて話しかければいいんだ……?


こんにちは?

いや、このタイミングでこの挨拶はかなり変だな……

ていうか、改めて見ると可愛い女の子だな。


髪はショートで色は少し茶髪で、でもそれが妙によく似合っている。

スタイルも細くて腰回りなんかきゅっと絞まってて、まさに理想の体型だ。


こんな子と付き合えたら、高校3年間は薔薇色だな。

なんて少し妄想に近いことを考えていると、女の子の方から口を開いた。


「薫君……だよね……」


やけに真剣な顔で呟く。


え……?


なんでオレの名前を知って…

ってそれは黒板の紙を見れば名前くらいわかるか。

それにしては妙に親しみが籠ってるというか……


でも、こんな可愛い子と知り合いだったら絶対に覚えてるはず……


「悪いんだけど、どっかで会ったことある?」


「あ、そっか。この姿では初めてだよね……僕だよ、ほら。小学校の時、友達だった杉原美南」


「……」


その言葉に座ったまま、固まる。


おい……

ウソだろ……

驚きのあまり、言葉が上手く出てこない。

名前を聞いてオレはすぐに思い出した。


確かに杉原とは小学生の時、友達だった。


しかし、オレの記憶が正しければ、杉原は男だったはず。


だが目の前にいる彼女……いや、彼(?)は女子の制服を着ている……


これは一体どういうことなんだ?

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