遊ぶ
翌日の昼休み。
すっかり定番となった屋上で杉原、柊と共に昼食を食べる。
「そういや、薫君、部活決まった?」
弁当に入っているプチトマトを口に運びながら、杉原が口を開く。
「いや、まだだな」
言いながら、紙パックのお茶をストローを使ってすする。
うわ、新作だって言うから買ってみたらこれ、まずっ……
口元から離しつつ、紙パックを見つめる。
そもそもお茶でまずいってある意味、奇跡だと思うんだけどな。まずくする仕方がわからんないし。
あーあ、80円、損した気がする。
口の中の味を隠すため、オレはすぐさまご飯をかきこんだ。
「中学の時、バスケ部だったんでしょ?それはやらないの?」
「あー、うん。バスケ部でもいいんだけど、もっと手軽な部活に入りたくてさ。ここ、勉強厳しいし」
口の中に盛大に入ったご飯を飲み込みつつ、そう説明する。
おまけに宿題もほぼ毎日出る。
それを忘れると課題プリントを追加で出されてしまうので、部活をやってる先輩方はハイスペックなんだなと、ついつい感心してしまう。
「あーなるほどね」
「それじゃ、同好会とか?」
オレ達の話を聞いていた柊が会話に加わってきた。
「同好会かー。なんか良いのあるかな……」
「放課後、調べてみたら?」
「そうだな」
そう返事をしたあと、唐揚げを摘まむ。
冷凍物だけど、やっぱり唐揚げは美味かった。
その後は適当に雑談をしながら昼休みを過ごした。
そして今日の授業も無事終わり、今は放課後。
職員室の近くに掲げてある掲示板に今、存在する部活や同好会の一覧が書いてあり、その前に立ってそれを眺める。
似たような考えの人もいたようで、オレ以外にも他に何人かいた。
ちなみに柊と杉原は二人共、用事があるみたいで先に帰っていった。
何となく、寂しい気持ちになってしまう。
さて、なんか目ぼしい部活はあるかな。
運動系はやれそうにないから、入るなら文化部か同好会だな。
気持ちを切り替えつつ、文化系の部活の名前を見ていく。
文芸部、情報簿記部、ファッション部……色々あるんだな。って!!
あそ部なんてのもあるぞ?!
あんなのありか!?
活動内容がすげー気になる……
心の中で激しく突っ込みつつ、気を取り直して他の部活の名前を一つ一つ眺めていくのだった。
だが、どれだけ見ても興味の引かれる部活は見つけられなかった。