部活
「それじゃ、1週間以内に提出するように」
ホームルームの最後にそれだけ言って、担任教師は教室から出ていった。
それと同時に放課後になり、クラス中がざわざわとしだし、クラスメイトの半分ほどがカバンを掴むと続々と教室から出ていった。
高校生活も始まって早1週間。そんなオレ達に入部届が配られたのだ。
「どうすっかなぁ……」
一方、当のオレは先程配られた紙を見つめ、席に座ったままだった。
「あれ?帰んないの?」
その声にあてられ、横を向くと杉原と柊がカバンを持って並んで立っていた。
「ああ、なんて書くか悩んでてさ……」
言ってチラッと紙を見せる。
余談だがオレの予想した通り、杉原と柊はすぐに仲良くなった。
最近は二人でネイルを研究しているらしい。
趣味があって何よりだと、ほっとした。
まぁ、ネイルは男の趣味じゃないと思うがこの際、気にしないことにした。
「二人は何かに入るのか?」
「僕はどこにも興味ないかなぁ……それに、何かに入ってもこの格好だから、敬遠されそうだしね」
杉原は自分の姿を見ながら自虐的な笑みを浮かべる。
「私は入りたい部活とかないし、そもそも入っても仲良い人いないからな……」
ははっと笑いながら、明後日の方向を見つめつつ、柊は遠い目をする。
「そ、そっか……」
二人の返事を聞いて、オレはそれしか言えなかった。
なんか二人とも暗いよ!
たまらず、心の中で突っ込む。
いつもは明るい杉原ですら、なんかネガティブだし、柊に至ってはどこ見てんだよ!
はぁ、それにしても部活かぁ……
どこに入ろうかな。
「ま、期間は1週間あるし、のんびり考えるか」
言って、カバンの中に入部届を入れる。
「あ、そういえば、今日スーパーで特売日らしいよ」
杉原がネットのチラシをオレに見せてきた。
「なに!?そりゃ、行かなきゃな!!」
オレは慌ててカバンを掴むと、杉原と共に急いで教室を出ようとした。
それを見ていた柊が後ろから一言。
「なんか夫婦みたい……」
「「!!?」」
その言葉に二人同時に振り向いたのは言うまでもない。