男子高校生はよくカフェオレを飲む
待ちに待った昼休み。のはずなのだが。
普段なら杉原と二人で教室でご飯を食べるのだが、昼休みになってもクラスメイト達(主に男子)から放たれる空気が悪すぎて、教室でご飯を食べる気分にはなれず、誰もいないであろう屋上までやってきた次第だ。
「大変だね、薫君も……」
屋上へ出るドアを開けながら、わざわざ、オレに付き合ってくれた杉原がおもむろに口を開く。
「ほんとだよ…柊と仲良くするだけでなんでこんな目に。もうこれで当分、男子の友達できねーよ……」
大きなため息を吐きつつ、杉原のあとに続き、屋上へ出る。
屋上には春の心地よい日差しが差し込んでおり、気分を変えて昼御飯を食べるにはうってつけだった。
奥まで進み、杉原と一緒に適当な場所に腰掛ける。
「「いただきます」」
そして、二人揃って手を合わせ、食べ始める。
杉原は一人暮らしということもあり、いつも自分で弁当を作って持ってきている。
オレも家計を抑えるためになるべく、弁当は作るようにしてるのだが、今日は寝不足でおまけに寝坊したので、仕方なく、登校途中にコンビニでパンを買うことにした。
「はぁー……」
パンをかじり、紙パックのカフェオレをすすりながら、ため息を吐く。
「ため息吐くと幸せ逃げるよー」
卵焼きをつまみながら、杉原がぼそっと言ってくる。
「わかってるけどさー。なんかまだ学校始まったばっかなのに、色々ありすぎて早くも疲れた……」
二度目となるため息を吐いたとき、屋上のドアがガチャっと開いた音がした。
「誰かきたね」
「みたいだな」
クラスの連中じゃなきゃいいけど……
と願いながら、パンを再びかじったが、その願いは脆くも崩れ去った。
「あ……」
「あ……」
お互い、相手の顔を見合わせてしまう。
屋上にやってきたのは、なんと柊であった。