夏はイベント盛りだくさん
夏。といえば。
「海だーーー!!!」
大声を上げながら、ダッシュで海までかけていく陽愛。
「元気だな……」
こっちは燦々と輝く太陽の下にいるだけで体力が奪われていく。そもそも、移動だけで既に疲れてしまったというのに。
「それだけ楽しみにしてたってことなんだよ」
横でふふっと穏やかな笑みを浮かべる杉原。
ちなみに杉原はいつかの時と同じ、セパレートタイプの水着を着ている。
「それはよくわかってるんだけどな……」
オレ達が何故、海へ来ているのか。それは1週間前へさかのぼる。
ちょうど1週間前の土曜日。
「お兄ちゃん、海に行きたい」
陽愛の作ってくれた昼食の焼きそばを食べている最中、陽愛が突然そんなことを言い出した。
「どうしたんだ、いきなり」
「いやさ、夏といえば海じゃない?」
「あーうん、そうかもなぁ」
海かぁ。小学生の時に家族で行ったっきりだな。
「せっかくの夏休みなんだからさ!行こうよ!」
陽愛は身体を乗り出して、そう言ってくる。
「近くに海なんかあったっけ?」
そう言うのと同時に焼きそばを完食する。
ご馳走さま。美味かった。
「ふっふっふ。そこに関しては抜かりないよ。携帯で調べたら、電車で1時間くらいのところにあるんだって!!」
言って、携帯の画面を見せてくる。
その画面を見ると確かに最寄りの駅から乗り継ぎをすれば、1時間ほどで海まで行けるらしい。
「じゃあ、来週ならバイトもないし、来週いくか」
「ほんと!?やったー!」
ものすごいテンションで部屋の中をはしゃぎ回る陽愛。どうやら、めちゃくちゃ行きたかったようだ。
その姿を見てついつい、笑みがこぼれる。
「じゃあ、せっかくだし、杉原と三枝、柊も誘ってみるか」
手早く携帯のLINEで文章を作成し、送る。
すると、5分も立たずに全員から返事があった。
結果、杉原と柊は参加、三枝はバイトがあるので不参加ということだった。