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ご馳走様です。

「なんかごめんね……勝手に勘違いさせて……」


「いや、別に……綺麗なお母さんだったね」


嵐のような一時が過ぎてから、オレ達はゲームをやめた。

なんと言うか、どうにも続ける気分にはなれなかったのだ。


今は先程のことを思い出しながら、柊が持ってきてくれた皿に入ったクッキーを頬張り、その後に同じように持ってきてくれた紅茶を飲む。

紅茶の程よい苦みとクッキーの甘さがマッチして、とても美味しかった。


「あはは……それよりこれからどうする?」


言って、柊はチラッと壁にかかっている時計に目をやる。

それに吊られてオレも時計に目を向けると午後の5時を少し過ぎたくらいだった。


「あー、そうだな。そろそろ帰るよ。あんまり長居するわけにもいかないし」


そう言って、腰を上げて床から立ち上がる。


そして、柊に見送られながら、そのまま柊の部屋から出ていき、玄関に着いたところでおばさんに出くわす。


「あら?もうお帰り?」


どうやら、夕飯の買い物にいっていたようで、左右の手からそれぞれスーパーの袋がぶら下がっている。


「ええ。お邪魔しました」


ペコリと頭を下げる。


「せっかくだからお夕飯一緒にいかが?」


すると、予想外の一言がおばさんの口から飛び出てきた。


「え、いや。悪いので……」


「遠慮しなくていいのよ~。それにあなたがいた方が彩佳もきっと喜ぶから」


「ちょ!?お母さん?!」


その言葉に反応し、慌てたようにオレの後ろから顔を覗かせる柊。


「ささ、早く作っちゃうから待ってて」


しかし、柊は言葉を無視して、おばさんはぐいぐいっとオレ達を部屋に押し戻すと足早にキッチンへと入っていった。


「じゃああそこまで言ってくれてるから、ご馳走になるよ」


再び柊の部屋に戻ったオレは先程と同じ場所に座り直しながら、苦笑を浮かべつつ、そう言った。


「ごめんね。お母さん、妙に頑固なところあるから……」


少し恥ずかしそうにしながら、オレの向かい側に座った柊は淹れてあった紅茶が入ったカップを掴み、それを飲む。


さてと、それじゃ陽愛に連絡入れとかないとな。

しかし、柊の家だと言ったら確実にめんどくさいことになるだろうな……

何ていって誤魔化すか。


暫し悩んだあと、オレは友達の家で夕飯をご馳走になる。と陽愛にLINEを送るのだった。


嘘ついてない……よな?

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