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8-3.名案

「彼等だって事故や寿命で死ぬこともあるだろう?」

「第5階梯の強化措置は疑似的な不老不死をもたらします。特別なことが無い限り死に至りません。」


「不老不死などありえん!!エネルギー保存の法則はどうなる?」

「ですから疑似的な、と申し上げました。生物である以上、死を免れることはできません。」


「驚かすな、どんなメルヘンかと思ったぞ。」

「私のデータバンクには不死を希望される方のファイルが多数存在しますが・・・」


「勿論そんな奴等はいるだろう。だが俺は人が死ぬところばかり見て生き続けるのが嫌なんだよ。」

「しかし第5階梯の強化措置となりますと首を切落とすか、心臓を抉りだすかしませんと・・・」


「自然死できんのか?前の連中はどうした、まだ生きてるのか?」

「大半は生に飽いて自殺されております。自然死の報告は1件もありません。」


「どれだけ生きれば生に飽きるんだ?脳細胞そのものの衰弱までは止めることが出来ないだろう?」

「仰る通り、それが一般的に生きた場合の寿命となります。」


「そうだろ、それは何年だ?」

「固体差が激しい上にデータ不足です。100年後かもしれないし、3,000年後かもしれません。なので人知れず死んでおられる方がいるかもしれません。」


「個体差が激しいってレベルじゃないだろ!3,000年を1人で暮らすのか?実家に帰らしてもらおう!」

「マスター落ち着いて、帰る家あるのか?心配いらないハヤブサがいる。」


「3,000年を、人の死を看取りながら暮らせと・・・レイメイもカミーユも先に逝ってしまうんだな?」

「・・・・・・大丈夫、ハヤブサがいる。マスターが私に飽きるまでずっと一緒にいてあげる。」


「ありがとうハヤブサ・・・ヤーンの奴が人の末を見とどけろ、とか言うわけだな・・・舐めやがって。」

「ご質問は以上でしょうか?」


「まだだ!地上の人類と融和した奴等は、洪水とかどう凌いだんだ?」

「高山地方か中原の山よりに住んでいれば問題なかったかと思われます。」


「リセットは必ず洪水と言う形で行われるのか?」

「そうです。文明を断絶させるには一番良いと。それも極地の氷を溶かし期間を長引かせるのが良いと。」


「成程・・・少しわかってきたぞ。今回、妖精はおらず、極地の村の結界は破れた。洪水はどうする?」

「最終プログラム発動条件ですので、非常手段として4人の枢機卿達の非常発動キーを用い、宇宙船から極地に向けてミサイルを発射することになると思います。」


「枢機卿達の宇宙船とやらはどこにあるんだ?」

「彼等の住居の地下です。」


(と言う事は、『火』でミサイルを撃ち落としてやれば洪水は起きない?)


「そのミサイルも撃墜されたら?」

「・・・軽度のシンタックスエラーを確認しました。問題ありません、そのような文明は存在しません。」


「それはつまりとるべき手段が無い、と言う事か?」

「ありえない事実を語る愚をおかしたくないだけです。」


「事実などない、あるのは解釈だけさ。」

「・・・軽度のシンタックスエラーを確認しました。」


「ところでここには持って帰れるような財宝は無いもんかね?」

「ここは新人類ネオヒューマン創造のためのDNAを始めとした成長及び教育施設、食料などが保管されています。」


「そうだったな・・・しかしここまで来て手ぶらで戻ったら、誰も納得しないだろうな。」

「金銀財宝の類は一切ありません。鉄器でしたらございますが。」


「鉄器?」

「簡単な剣、槍、盾等です。」


「それでいい、1つづつ寄こせ。」

「了解しました。」


「マスター、鉄器なんて持って帰ってどうする?」

「下にいる連中への言い訳さ。」


「天井のガイドに従ってお進み下さい。・・・扉にてのひらを当てて下さい。」


 そこは武器庫だった。ただし剣、槍、盾といった物だけである。成程、鉄器だ。

 俺はそこから剣と槍、盾を1本とると部屋を後にした。


「最後に聞いておきたいんだが、火星で人々が死んでしまった原因は分かったのか?」

「その解答がでていれば、本施設はあるいは無かったかもしれません。」


「分からないって素直に言えよ。」

「現在でも当施設の量子演算機が解答を模索しておりますが、未だ不明です。」


「そうか、帰ろうハヤブサ・・・」

「イエス、マスター。」


「ああ、1つ言い忘れた。この場所は人の知るところとなった、俺達が出て行ったら場所を移動しろ。」

「了解しました。」


                      ★            ★             ★  

 

「何だ、その鉄器は?」

「「しほうのたから」を探しに行ったのよね?」

「まさかそれが宝ですかぁ?」

「くくっ(笑)。」


「ハヤブサ、何とか言ってやれ。大昔の海賊達の棲み家だったのだろう・・・青銅時代のな。」

「青銅時代、鉄器は宝だった。だから隠した、製法と共に。」


「だが遺跡に隠したため行方不明の宝となった。そして名だけが残った・・・「紫峰しほうの宝」と。」

「今回はお宝よりも、その隠し場所こそが『お宝』だった・・・誰もついてこなかったけど。」


「ま、まあ、あれだな、たまにはそんなこともある。」

「そ、そうよ、アタイはハヤトが好きだけど高い所は嫌いなのよ!」

「さすがにあの気球はねぇ・・・『ハイネス』の連中もぼんやり見ていたよ。もっともお宝が無くて憎さ半分、悔しさ半分といったところだろうねぇ。随分長い事追っていたお宝みたいだったから。」


「そうだな『ハイネス』の奴等、自分達で行く気なんじゃないか?」 

「そうね、コバルトなんて鉄器を見て目を剥いていたものね。」

「あいつは自分の目で見ないと納得しないだろうねぇ。」

 

 ツバイはそんな俺達のやりとりを1人ニヤニヤして聞いていた。


「お疲れさん。」

「何か言いたそうだな?」


「俺の方の答えが見つかったようだな?」

「何故分かる?」


「顔に書いてあるさ、ハッキリな。」

「・・・あんたが奴等をってもらなくても答えは同じだった。早いか遅いかの差だ。」


「どういう意味だ?」

「そのままさ、人は老いて死ぬものだ。」


「おい、まさか俺に奴等が死ぬまで待てという気ではあるまいな?これは仇討なんだぞ。」

「分かっているさ、だが奴等は滅多なことでは死なんぞ。」


「そうだろうな、初めに毒千本を1人に30本はくれてやったのにぴんぴんしてやがる。」

「毒はまず効かないと思った方がいい。」


「どうすりゃいいんだ?首でも落とすのか?」

「その通りだ。」


「なに?」

「奴等を殺したいなら首を落とすか心臓を抉りだせ!」


「そこまでかよ、化物め!」

「・・・・・・」


 ツバイとのやりとりをぼんやり聞きながら、俺はふと気付いてしまった。APCアンチ・パウダー・クラウドのおかげで、この世界は火薬の脅威から守られた。石油も石炭もない時代だ、内燃機関は・・・蒸気機関は造れるのか?当分の間、人類の脅威になりえないのだ・・・蒸気で動き、空気銃を備えた戦車?いや、燃料効率が悪すぎだろう。それとも俺の予想の斜め上をいくのだろうか?

 

俺が心配しているのは、当面の脅威が去ったことで彼等が再度眠りについてしまうのではないかということである。俺も長生きするようだがコールドスリープには及ばない。かと言って俺がコールドスリープして追いかけるのもご免だ。ならいっそ宇宙船を破壊してやろうか?これが一番無難な選択ではなかろうか。枢機卿達が死んでも死ななくとも7回目の洪水は起きない、そこでゆっくりツバイが本懐を遂げればいい。奴等にしてみたら全く迷惑な話だろうがな。


                       ★            ★             ★  

 

「出来ないって、どういうことだハヤブサ!」

「出来ないなんて言ってません。無理です、と言ったんです。」


「同じことじゃないか!リッカトーンの時のようにやればいいんだ。」

「落ち着いてくださいマスター、彼らは大内裏の傍の屋敷に住んでおります。こんなところで大声を・・・」


「だから事前に逃げてもらうんだよ、前みたく・・・」

「ヤーン神教に言われて皇帝が逃げるわけありません!ましてここは「光の神」教団の御膝元なんですよ!変なことを言って人死にでも出た日には全てヤーン神教のせいにされますよ?」


「だからそうならないように・・・」

「事前の観測でも地下宇宙船は判別できません。紫峰しほうといい、「活きて」いる遺跡のステルス性能には驚嘆すべきものがあります。そのため彼らの屋敷を中心に戦艦クラスの規模を想定して攻撃などしたら・・・王都は消滅します!だから出来ないのではなく、無理なんです。」


「せっかくの名案だったのに・・・」

「名案だったかどうか、今度私がカミーユ様に訊いて差し上げます!」

一か月ぶりでございます、最近少し鬱ってる七味唐辛子です。

不定期更新にならぬよう頑張ります。

と云うわけで次回の更新予定は4月11日となります。

このお話で喜んで頂ければ幸いです。

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