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7-1.帰路。その1

10,000PVありがとうございます。

稚作にお付き合いいただけること感謝に堪えません。

これからもよろしくお願いします。

俺達は帰り道、ハヤブサを投錨してあるオーホックの村に向かった。

来る時にはゆっくりしていられなかったので、随分と久しぶりの感がある。

「銀の砦」と言う宿をとると、ニーは以前世話になった「セイロンの武器工房」に顔を出すという。

遺跡から持って来た金属で造った武器ならば砥ぎは要らないのだが、

鋼で造った物はそうはいかない。定期的な砥ぎが欠かせないのだ。

俺の小太刀も砥いでもらおうか・・・


「久しぶりに砥いでもらいに来た。」

「ふんっ、大事に使っておるじゃろうな?」


「剣を見れば分かるだろう?」

「生意気なことを・・・うんっ?」


「どうした、親父さん?」

「刃毀れはともかく、お主この剣を人に貸したな?」


「あ、ああ。」

「・・・そ奴は只人ただびとではない、決して事を構えるな。」


「そんだけ強え奴ってことか・・・100人いたら100人斬っちまうような?」

「100人、いや・・・そこにおるものはみなごろしじゃろ・・・」


「・・・この剣を貸したのは後にも先にも一人だけだ、せいぜい用心するよ。」

「それがいい。儂も詳しくは知らんがその男、恐らく「万物の刃筋」を体得しておるよ。」


「何だ、その「万物の刃筋」ってのは?」

「この世のあらゆる物には必ず刃を通すことが可能な刃筋が存在しているという。その刃筋に見合った角度で剣をふるうことが出来れば、この世に切れぬものは無いと言う・・・例えそれが金剛石でも。」


「それが「万物の刃筋」か。いいことを教えてもらった、砥代は弾むぞ?」

「ふんっ、砥ぎならタダだと前に言ったはずだ。」


「そうだったか?小太刀の砥ぎも頼みたいんだよ。」

「ふんっ。アンタらが行った後、何故か刀剣を買い叩いていた役人の所業が上にバレてな。今では適切な価格で商売ができておるよ。」


「あぁ、なるほど。」 そういえば、ハヤトに借りを作ったっのはここか・・・


「ふんっ、やはり何かしておったか・・・ギルドに代わり礼を言う。奴らには何も分からんだろうからな。」


          ★            ★             ★  

 

 そのころレイメイは、とある武器屋で話をしていた。


「矢を従来の3倍持ちにしたいだと、正気か?」

「正気よ。矢根羽を収納式にして、やじりと同じ太さにして金属で重さを変えるのよ。」


「無茶苦茶を言う・・・だがそれが出来れば確かに収納量は3倍にはなるだろうが、高いぞ?」

「白金貨なら持ってるわ。ハイネスのいる街の武器屋だもの、がっかりさせないでね?銀の砦にいるわ。」


「アンタは?」

(シルバー)ランクパーティー『つばさ』の、レイメイよ。」


「「ハイネスの親友」か、なるほど無茶を言う。」

「できたら使いをよこして、一週間はいるわ。」


          ★            ★             ★  

 

 一方、フレイは槍専門店にいた。


「どう、できそう?」

「大陸の武器で、棍なら同じようなものがあるが?」


「それをこの槍でやって欲しいんだよねぇ。」

「しかしこれは遺跡武具だろう?」


「この店ならやれると聞いたんだけどねぇ。」

「余程扱いに精通しなければ、取り回しの悪さが災いして足を引っ張るぞ?棍の方が・・・」


「大丈夫、もう精通しているからねぇ。」

「?」


「銀の砦にいる、できたら使いをよこして。」

「仮にできたとして、高いぞ?」


「白金貨ぐらいは持ってるよ。ハイネスのいる街の武器屋だもの、期待していいんだよねぇ?」

「アンタは?」


(シルバー)ランクパーティー『つばさ』の、フレイ。」

「「ハイネスの親友」か、なるほど・・・無茶を言う。」


          ★            ★             ★  

 

「んっーーーーー。」

「ふう。」


「マスター?」

「なんだ?」


「みなさんが真面目に冒険者をしているのに、こんなことしてていいんですか?」

「すまんな、大勢をった後は大抵こうなんだ・・・」


「別にマスターを責めてるつもりはありません、むしろ嬉しいのです。が、レイメイさんに知られたら100回殺されそうな気がします。」

「・・・それは怖いな。よくシャワーを浴びておこう。」


「そうして下さい。」


 そう言うとハヤブサは、脚の間を気にしながらシャワーを浴びに行った。


          ★            ★             ★  

 

 やがて夕飯の時間になり、みな銀の砦に集まった。港の近くの宿であったので、俺が一番先に着くことになった。だから豆と肉の煮込みを肴に、先にエールをっていた。ハヤブサは留守番に置いてきた。


「美味しそうですねぇ、僕もエールを。」

「アタイはフライドポテトとエールを。」

「お勧め焼き魚とエールを。」


「それじゃ、みんな揃ったところで。」

「「「「乾杯!」」」」


「この揚げたジャガイモって、最初に作った人は天才よね!」

「レイメイは本当にそれが好きですねぇ。」


「フレイは何か頼まんのか?」

「じゃあ、木の実のオムレツとエールのお代わりを。」


「それにしても今回は・・・」

「よく生き残れましたねぇ?」

「アタイは全く死ぬつもりなんか無かったわよ?」


「俺だとて死ぬ気はないが、全ての武器に恐らく毒が使われていたからな。」

「僕だって死ぬ気はありませんでしたよ。でも確かに体がすくみましたねぇ。」

「まあ、一撃貰えば死んじゃうわけだからね・・・」

 

「ハヤトみたく毒の効かない体になれないものかな?」

「ハヤブサに訊いたことがあるが、素体・・・元の体が神代人でないと駄目らしい。」

「都合よくはいかないものですねぇ。」

「まあ、普通はそれが当たり前だからね。」


「こ奴とおると当たり前とか、常識とか言った言葉がなぜか空虚に聞こえてしまってな・・・」

「俺のせいじゃない。」

「あー。でも分かりますねぇ、その気持ち。」

「海の上走ってたし・・・」


「神代文字読んでたし・・・」

「1人で1,000人斬ろうとしてたし・・・」

「左手を、付けてくれた・・・」


 気が付くと周りのテーブルが静かになっているのが分かる。

 どうやら俺達のテーブルは最初から注目されていたらしいい。


「海の上を走った。」

「神代文字を読んだ。」

「1人で1,000人斬った。」

「左手を付けた。」


 あちこちから、ヒソヒソ声が聞こえてきた。一瞬の静寂の後大歓声に沸いてしまった。


「海の上を走ったですって!」

「どこの一座の人かしら?」


「神代文字が読めるんですって!」

「それが本当なら王都から迎えのコーチ(4頭立ての4輪大型馬車)が来てるよ。」


「 1人で1,000人斬った?どこのどいつだよ、笑わせてくれるぜ。そんな話聞いたことないぜ!?」

「すぐに王都の衛士隊長になれるぜ~。」


「左手を付けたってな、どういう意味だ?」

「義手を付けたんじゃないの、お医者様かしら?」


そんなような会話があちこちで交わされ、自分達がすっかり肴にされてしまっている。

こんな時は反論せずに嵐が通り過ぎるのをひたすら待つのが賢い。

レイメイでさえ歯を食いしばって我慢している。

俺など顔を知る者がいると困るので、酔ったふりをしてテーブルに顔を埋めてしまった。


「へい!!エールと木の実のオムレツお待ちどう!」

 フレイは他人事のようにオムレツをつつき、エールを飲みだした。

初投稿から1年が過ぎました、皆様のおかげで続けていられます。

次回更新日は26(日)となります。

このお話が気に入って頂けますように・・・

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