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4-9.火星へ行けなかった男 その3

1,000ユニーク及び4,000PV突破いたしました。

すべて読者様のおかげです。

こんな偏った小説にお付き合い戴いてありがとうございます。

今後ともよろしくお願いします。

マニアックなご意見等随時募集中です。

「よう、遅かったな。」

「お帰りなさいませ、みなさま。」


「今回は早かったじゃないさ!」

「あれ、待たせちゃいました?」

「あいつが早すぎるんだ。」


 冒険者パーティー『つばさ』全員集合だ。(8時ではない。)

「早かったってことは、上手くいったのか?」

「逆だ。どうにも手に負えないんで、優秀な相棒に後を任せて戻ってきたんだ。」

「優秀な相棒って・・・ハヤブサ?」

「ハヤブサさんはそこにいるでしょ・・・たぶん僕達を火星まで運んでくれた遺跡のことですよ。」


「そうそう、一つだけ伝えとく。神代の人間が1人だけこの時代に甦った。理由も目的も不明だ。」

神代人かみよびとが!」

「ほう、生きている人がいたんですね。しかし1人きりとは寂しいですね。」

「うむ。目的が気になるところだの。」


神代人かみよびとがその気になればこの時代では嫌でも目立つ。接触はそれからで遅くあるまい?」

「そうねー、ニーじゃないけど目的が気になるわね。」

「1人ではそう派手なことはできないと思いますけど。」

「フレイ、目の前に規格外の常識外がいることを忘れてないか?こいつも1人だったぞ?」


「そいつは褒められてるってことでいいんだよな?」

「もちろんよハヤトちゃん、一緒に胡椒を売りに行った仲じゃない?年に一度ぐらいいいわよね?」

「10年で老後の備えは十分ですね、僕も連れて行ってくださいよ。」

「そういえば香辛料取引でケチをつけてきたやつがいてな・・・」


「ランキャスター伯爵か?」

「もうこっちにも来たのか。商業ギルドは敵に回せないと追い払ったのだが・・・何か言われたか?」


「いや。さすがリーダーだ、いいことを言う。」

「茶化すな。どうせ一枚噛ませろとか言ってきたんだろうが。」


「その通り。後につくから表の汚れ役をやれと言ってきた。断ったら手違いで矢が1本飛んできたよ。」

「なに?」


「心配ない。手違いが2度あった時はそいつがこの湾に浮かぶことになってる。」

「ならいい。」


「ならいい、ですって~。これが我らのリーダーと神代人かみよびとよ?」

「ニーはともかく、ハヤトは厳密には神代人かみよびとではないのではありませんか?」


「そうだ、俺は神代の昔のさらに昔・・・西暦、という時代からやって来た。」

「お伽噺の時代じゃないの?」

「でも彼は現実にこうしているわけですし・・・」

「どうでもいい。ハヤトはハヤト、既に仲間だ。」


 というわけで、久しぶりに全員で牛鍋パーティーだ。珍しくハヤブサが食べている。

「ここでみんなと食うのも、なんか久しぶりだな。」

「一番の原因は主にアンタだけどね。」

「牛鍋にすると胡椒も丁子も合いませんね?」

「この醤油にとき卵が一番だ。騙されたつもりで食ってみろ。」


「ハヤブサ、美味いか?」

「美味。」


「ねえねえ、さっきの西暦って教えてよ?」

「たった2,000年しか歴史が無いぞ。その西暦元年に始祖が生まれて我が流派の基礎が出来あがった。元の流派名は何だったかなあ?・・・俺の国に入った時に名が変わったんだ。」

「ハヤトってばそんな話しばっかり!」

「いまさらこの人に何を期待してるんですか?」

「始祖というのはどんな人物なのだ?」


「ああ・・・始祖は謎の多い人でなあ。海を割って歩いてみせたり、手をふれずに病を治したり・・・」

「手が触れてないように見えるだけじゃないの?ハヤトなんて動きが見えないじゃない。」

「それが本当なら人間じゃありませんね・・・でも、ハヤトも海の上を走りまよね。」

「武術というのは表裏一体。手をふれず病を治せるなら、その逆も然り。」


 いつのまにか葡萄酒の瓶が転がっている。

 もちろん今は真昼間であるがハッキリ言ってできあがっている。


『伝達事項。捜索圏内に巨大隕石の衝突痕を発見。推定直径約100㎞。突入速度は不明。』

「アマツカサからの連絡です。」


「分かった・・・海底探査は打ち切りだ。アマツカサ、ご苦労。地球周回軌道に戻ってくれ。」

『イエス、マスター。』


「どういう意味?」

「海底施設の捜索は不要ってことですねぇ。」

「巨大隕石の衝突痕ってやつが問題なんだな?」


「ああ。おそらく地球は一度滅びかけ、巻き戻しをしたのかもしれん。いずれにしろ100㎞規模の巨大隕石が堕ちたとなれば海底施設などひとたまりもあるまい。それで火星に逃げたか・・・」

「それでよく地上で1人だけ助かったねえ?」

「運がよかったんですかねぇ?」

「全くの僥倖ぎょうこう、でなければ悪運であろう。下手をすれば世界で1人ぼっちだ。」


「これで宇宙、陸、海の探索は終わりだ。今分かっている神代人かみよびとは1人だけだ。ニーよ。」

「何だ?」


「恨んでいるだろうか?」

「難しいところだな。」


「難しいか。」

「難しいさ。仲間は全て死んだのであろう?残った己を幸ととるか不幸ととるか。」


「仲間と共に逝きたかったと?」

「さて、な。普通生き残れば嬉しいものだ、特別な事情さえなければな。」


 いにしえの決着の相手というのはこの男なのか?

 しかし宇宙の避難施設にいたのもこいつの仲間であるはずだ。

 ならば今地上に生きる人々も仲間だ。

 問題は火星から戻ったオリジナルの神代人かみよびとだ。

 地球で生きている可能性が高いが、地球で世代を重ねていれば特定不可能だ。


 DNA検査とかで分かるのか?そんな都合よく施設や遺跡が現存するか?

 現存するとして、全ての人々をチェックするわけにもいくまい。

 直接恨むべき相手はもういないんだ、それを知らせたい。


 俺の立場はどうなるだろう?

 オリジナルの神代人かみよびとの更にオリジナルだ。

 ややこしくなりそうだから黙っていた方がよさそうだな

 ・・・リクオのことも含めて。俺はこいつとりたくない。


 俺は1人の巫女にこの話を聞かせに行った。


「結局生き残った神代人かみよびとはただ1人。宇宙、火星に行った奴らを恨んでるかもしれん。」

「恨んでいますか?」


「地上施設の仲間は全て死んだ。残った己を幸ととるか不幸ととるか。事情にもよるだろう・・・」

「しかし、地上や海底の施設にさえ入れなかった人が多いと、貴方あなたから聞ききました。」


「その通りだ。だがその理屈は奴には通じまい。それに他の避難施設のことを知っているとは限らん。」

「・・・」


「火星に逃げた奴、あるいはその子孫に対して復讐するかもしれん。その時対象となるのは・・・今を生きる人々だ。もっとも何か特別な事情でもない限りそんなことにはならん、と思ってはいる。」

「・・・」


「奴はクの国の「胡椒の道」に現われたようだ。何か新しい情報は無いか?」

「残念ですが。」


「そうか・・・」

「もう行ってしまうのですか?」


「何かあるのか?」

「いつになったら「巫女」と「冒険者」の関係でなくなるのでしょう?」


「そいつは俺が一番知りたいことなんだ。新メンバーを1人勧誘しなくちゃいけないんでね。」

「ああ・・・ハヤト・・・」


「・・・」

「・・・」

          ★            ★             ★  

                            

「リクオ様、今日はもう十分なのでは?」

「稼げるときに稼いでおけ、と言ったのはお前だぞ。」


 リクオの前には男たちが列をなしている。

 というのはリクオの横に立つ女が手にした旗。


「このおとこ ふれれば きんか1 さんか は しろ5 ぶき じゆう 1かいのみ」


 リクオの前の籠には剣、槍、弓、鞭、棒などが詰まっていた。

 要は金を払って1撃だけ自身を的に攻撃させるのである。

 リクオの周りに輪が描いてあるのは、そこからは出ないという印であろう。

 1回白の5で20人相手にすれば金貨1枚である。

 今日までにリクオの稼いだ金貨は20枚を越えていた。薄利多売である。

 もちろん相手に支払ったことは無い。

 シズの国からアの国を目指す旅の途中のことである。


「よし、本日は今ならんでいる者たちで終わりとする。」

「バカヤロー!今日こそは金貨だ、もう白を30枚もいかれてるからな。」


「よし、今日の得物は何でいく?」

「今日は素手だ。」


「なに?」

「無手で行くんだよ!」


 リクオは思わず破顔した。この世界に来たこと、今は素直に感謝している。

 もっと別の変な世界だったらと思えば・・・

 ハヤトはどうかしらんが己は充実した日々を送っていると思う。

 だからリクオはこの世界のことがとても好きになっていた。

 シズ王国では神代人かみよびととやらの研究につき合わされされたが、

 あれは一宿一飯の恩義であり仕方のないことだった。

 なにしろ知り合いが誰もいなかったのだから・・・今はこの女、

 俺の御留め役といったかな・・・シズカと2人でアの国を通じてクの国へ向かう。

「胡椒の道」とやらには盗賊が多いらしいからな、今から楽しみだ。

予防検診に行ってひどい目にあいました。

麻酔による抗ショック症状で35万分の1の確率で死ぬところでした・・・

そうしたらこの作品は未結か、などと考えてしまいました。

次回更新日は日曜零時。9月20日です。

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