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2-13.街道の盗賊

「俺は一度ハヤブサに戻らねばならなくなった。」

「また戻ってくる?」


「そのつもりだが?まだ、あの遺跡は惜しい。」

「あんたたちは、どうするの?」

「なら、その間に適当な依頼でも受けときますかね。」

「うむ、そうするか。」


「アタイ、ハヤトについて行くから!」

「「「えっ?」」」


「何か問題ある?」

「いや。」

「特にありませんね。」

「問題ない。」


「なら、すぐ出るぞ。」

「分った!」


 2人はリロイ行きの馬車を探しに外へ出た。宿は5日分を前払いしてある。


「どう思います、ニー。」

「自分が聞こうと思ってた。」


「ハヤトがカミーユに会ったころから、なんか妙な感じでしたけれどね。」

「この間の話で、余計にこじれた感じがするな・・・」


「良くも悪くも直情型の女性ですからね。心配しないんですか?」

「何故心配するのだ?ハヤトの傍なら一番安心だろう。」


「そういう意味ではないんですがね。」

「・・・」


「黙ったままじゃ気持ちは通じませんよ?」

「・・・」


「知りませんよ、ハヤトさんに盗られてしまっても。」

「その時は、その時だ。」


「はぁ、難儀な人がここにもいましたか・・・」


 一方、ハヤトとレイメイはリロイの港町までの空馬車に乗っていた。この時期、リヨンからリロイに向かう客は少ないのだ。御者は空気を運ぶよりましだと言って喜んでくれた。


「実際、何でついてきたんだ?」

「迷惑?」


「そうじゃない、ただ意外だったからさ。」

「アタイはきっと役に立つ、そんな気がしたんだ。結構当たるのよ、アタイのカン。」


「・・・・・・」

「どうしたのさ?」


「早速カンが当たったようだぞ。」

「えっ!」


 戻りの馬車は空馬車で、カロンの村まであと少しというハイピッチであったが、前方で行きの辻馬車が一台倒れて道を塞いでいる。そして見るからに盗賊らしい男が鉈を持ってこちらを睨んでいる。


 御者は慌てて馬車を方向転換させようとしたが、馬に矢を射かけられてしまった。男はそれを見ると悠々とこちらに歩いてくる。よく見ると、返り血であちこち汚れている。


「レイメイ、弓矢の男とあの男を一撃で頼めるか?」

「目をつむってもいけるわ。」


 言葉通り音もなく一撃で沈めた。一弓に2矢をつがえて放ったのである。

「俺はこれから討って出る。レイメイは御者とここで待て。もし、飛び出してくるやつがいたら射ろ。」

「分ったわ。」


 俺は気配を消して辻馬車に近づいた。2名の盗賊が馬車の中で乗客を殺していた。俺に気づいた乗客が視線を向けたので盗賊にも気づかれた。この足場で飛天は無理だ、普通に走るしかない。相手は俺が無手と分かると安心したのかこちらに向き直った。相手の剣の間合いに入る瞬間、俺は左右の指弾を剣を持つ右手と、右目に放った。剣を落とし顔をおさえる相手の水月に、十分加減した正拳中段突きをみまった。これで2時間は夢の中だろう。俺の中段突きは太陽神経叢たいようしんけいそうを刺激、若しくは破壊する技だ。


 もう1人は逃げることを選択したらしく、レイメイの的になっていた。俺が手を振るといい笑顔で手を振り返してくる。


「賊は全部で4人らしい。1人は生かしてあるからいろいろ教えてくれるだろう。もしかしたら、俺達が石牢に入る原因を作ってくれたやつらかもしれん。」

 俺の怨みの念波が届いたのだろう。


「なんですってぇ~!」


 盗賊の馬車から馬を拝借する。まだ生きているヤーンの教徒達を俺達の馬車に乗せ、カロンの村に向かう。盗賊のお宝は頂戴したが、ヤーン教徒のものだと思うと心中は複雑である。


 カロンの村に着くとまた大騒ぎになったが、取り急ぎリヨン伯へ鳩を飛ばしてもらった。そしてやって来たのが兵隊長スコットである。見知った顔であり、2度目でもあり、今度の手際は素晴らしかった。なにしろ今回は加害者側と被害者側の証人がいるのである。これで以前の犯行を認めてくれれば万々歳なのだが。


 これだけ材料がそろっていればと、リロイに行く俺達は引き留められなかった。念のため、リヨンでの宿屋を教えておく。こうしてカロンの村に冒険者パーティー『つばさ』の名が広まるのに時間はかからなかったが、それはまた別のお話。


 途中にアクシデントはあったが、なんとか明るいうち―――冬なら危うかった―――に港町に戻ってこれた。俺とレイメイは海鮮焼きと串焼き肉を買い込むとハヤブサに乗船した。


「お帰りなさいませ、マスター。レイメイ様」

「ハヤブサ、状況は分かっているか?『地』は盗られてしまった。」


「ですがマスターは『水』『火』『風』の妖精の王を従えられました。これは称賛に値します。」

「ありがとう、でもこいつらは1人だけでも地球に破滅と混乱をもたらすんだ。すぐ『地』が動き出す。」


「妖精の王はそれぞれに独立し、互いにその位置を知りません。また、当然探査にもかかりません。」

「やはり事前の破壊は困難か・・・」


「火山の噴火を促すというのでしたら、『地』の構造上火山の上空高度2,000㎞以上に存在するはずです。」

「そこから地上へ何らかのエネルギーが発射されたとして、それを捉えることは可能か?」


「イエス。」

「では、それをもとにして『地』の位置を特定できるか?」


「イエス。」

「では今現在より、あさまの山上空を監視しろ!あさまの山の位置は分かるか?」


「イエス。これより第一級監視体制にはいります。」

「よろしく頼む。」


 後は待つだけだある。俺とレイメイは串焼きを食べ、シャワーを浴びて眠った。久しぶりに熟睡してしまったようだ。もう正午だがレイメイもまだ寝ている。


 冷凍肉で間に合わせの食事をつくる。固パンしかなかったので肉でダシをとったスープもつくった。できあがるころ、レイメイが起きて来たので2人で遅い朝食兼昼食を食べる。

 

 食後、今後のことを話し合う。俺はハヤブサを離れるわけにはいかないので、食料の調達はレイメイに任せることにした。新鮮な野菜やクラムとキャフェイン豆の予備も頼んでおく。こちらの準備は整った。


 レイメイには地元の依頼でも受けてくれば、と言ったのだが1人で待つのは退屈だろうと付き合ってくれた。これは正直ありがたかった。2人して馬鹿話をしてみたり、昔の話を聞いてみたり・・・俺の中にあった、残念女のイメージはかなり修正されていった。そんな生活が3日も続いたころだった。


『伝達事項。あさま山上空に高エネルギー反応を確認しました。』

「ついにきたか、エネルギー射出ポイントの特定を急いでくれ。」

「イエス、マスター・・・応答来ます・・・確認終了、対象をマーキングします。」


「ハヤブサ、『火』を使って対象を消去することは可能か?」

「制御角の設定上、地表以外を対象とすることは不可能です。」


「やはり、そうか・・・なら、手段は一つしかないな。」

「まさかとは思いますがマスター・・・」


「ハヤブサのEML砲(電磁加速砲)で撃ち落とす!」

昨昨日(11日)無事に手術が終わりました。昨日の今日で何してんだろ・・・

前回、更新予定日を10日と書いてしまいました。ごめんなさい、誤りです。

さすがに手術前日に更新はできませんでした。代わりに本日UPです。

楽しんで頂ければ幸いです。次回更新予定日は明日です。

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