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1-18.海竜

 やはり、ソナーに反応していたようだ。ハヤブサに確認したところ1レンジは500mのオーダーなので、海竜は2,000m以上先にいることになる。

 このままならいいが・・・相手が海中では手も足も出ない。刺激するのはやめておこう。


「ハヤブサ、オートモードのままでいいが継続して監視を頼む。ソナーが使えん、暗礁に気をつけろ。」

「イエス、マスター。」 

 

 しばらくして問題がなさそうだと分ると、みな食事の続きを始めた。俺はストア(倉庫)に向かうと両手いっぱいのクラムを抱えて戻ってきた。

「あきれたー、それ全部食べるの?」

「おまえは食わんのか?」

「・・・」

 

「フレイもニーも遠慮するな。」

「いただきます。」

「誰が遠慮などするか!」


12個あったクラムがどこかに消えると、ニーがつぶやいた。

「しかしお前は変わったやつだな、ハヤト。」

「今頃どうした?」


「初めのうち、俺はお前のことを戦士だと思っていた。剣も使うようだが、無手の戦士というのもいるんだと思うようになった。だが、今のお前を見ていると将のようにも見える。指示を出し、人を使うことに慣れた人間に・・・お前は元の世界で何だったんだ?」

「俺は無手の戦士さ、間違ってねえよ。」


「しかしハヤブサへの命令など聞いていると、ひどく手馴れているようにも思う。我々の知らない・・・おそらく神代の言葉を語っているお前を見ていると、ここに自分たちがいるのがひどく場違いのような気がしてくる。」

「神代文字が分るんだから、神代の言葉を知っていてもおかしくあるまい?ハヤブサに命令するのは、俺がマスターとなってしまったからだ。これも仕方あるまい。」


『警告事項。レンジ2に海竜が接近。』

 議論は途中のまま、俺は再び操舵室に向かった。

「同一方向へ向かう場合、監視対象の速度が本船を上回っているため必然的に間を縮められます。」 

「沖に迂回路をとれ!」

「イエス、マスター。」


「海竜の種別は分るか?」

「イエス、データバンク照合・・・0.9秒お待ちください・・・97%の確度でリオプレウロドンと推定されます。」

「リオプレウロドン?」

「海中生態系のなかでも食物連鎖の頂点に立つ、いわば王者。」


「王者?え~それでもレベル8なの?じゃあレベル10は何なのさ?」

「海にはレベル10相当はいないんじゃないですか?」

「自分もそう認識していた。あるいはまだ発見されていない。」

 なるほど一理あるな。しかしこんなの狩れる冒険者いるのか、おれなら全力で逃げる!


「でも害獣手配書と名前がちがうね、ハヤブサの方が正確そう。」

 それはそうだと思うぞ。だが、みんなが認識している名があるならそれでいいだろ。


「ハヤブサ、この船があいつに襲われるとどうなる?」

「本船はスペースオリハルコンにより建造されており、この世界のいかなる生物の牙も爪も通さない。」

「体当たりをくらったり、海中に引きずり込まれても?」

「1 キログラムの物質の理論上の総質量エネルギーまでは対処可能。また、本船は短時間であれば潜水航行可能。ただし完全縮帆が必要。」

「短時間とは?」

「90%の確度で72時間。」

 ハヤブサが優秀なことはよく分った。しかし、それでも喧嘩はしたくない。


「ハヤブサ、何かやつらの忌避物質はないか?音波でも超音波でも磁気でもいい。」

「毒液の様なものを使用すれば可能と推定、現状で保有していない。また、音波・超音波については正確なデータがない。磁気については機密事項。」

 なに、磁気が機密事項に触れる?俺の仮説がまた1つ強固になった。


「現状を打破する有効な手段はないか?」

「戦闘モードもしくは緊急モードへ移行してからの『緊急離脱プログラム』が有効。ただし今回のミッションでは出力50%で十分であると、確度85%で推定。」

「よく分らんが、ハヤブサが十分と思うならやってくれ。許可する。」

「イエス、マスター。」


 すると縦帆が収納され、なんとマストが3分の1、さらに3分の1と縮小した。いま船上に残っているのは全体の3分の1の長さのマストだけである。

『ウォータジェット推進 ・・・フルブースト・・・出力0.5にて60分間連続運転開始します。』

 船体が小刻みに震えだした。


「ハヤト~、なんかいってるよ?」

「これは・・・どうなるんですかね?」

「嫌な予感がするな・・・」

「うん、とりあえず手近なものにしがみつこうか。」


 俺はすかさずキャプテンシートに座った。と同時に後ろから蹴っ飛ばされたような加速が始まった。デジタルメーターを見ると70ノット(約180キロ)となっていたのは、何かの見間違いだろう。

 これはもう、海を行く船の速さではない。船底にあたる魚らしき音や、マストにあたる鳥、腰が抜けているらしいレイメイや、ゲーゲーいっているフレイ。ただ1人無事に見えたニーは失神していた。


 結局、冗談のようなスピードは60分続いたところで打ち切りとなった。

「ハヤブサ、エムトへの最短航路再設定。オートモードへ変更!」

「イエス、マスター。」

「船嫌い、ハヤブサ嫌い・・・」

「得難い体験でした・・・」

「凄まじいものだな・・・」


 このまま何もなければ問題ないな。食生活以外は・・・

 そして3日の後、つまり俺たちがトリスを出てから6日目にエムトの港が見えてきた。

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