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1-13.今後の方針

 俺はシルバーリンクを使って船を呼び寄せた。 

「何やってんの?」

「ああ、船を呼んだんだ。」

「呼んだ?船を?」

 そこで俺は3人に、ハヤブサの話をした。案の定レイメイは怒り出した。

  

「アンタなに勝手にマスターって、船があたしたちのいうこと聞かない?船は私らが動かすもんでしょ?」

「おまえ、縦帆船の操作方法を知っているのか、これから船乗りになるのか?」


「うっ、そーゆーわけじゃないけど。あんたらも何かいってよ。」

「話を聞くかぎり、ハヤトさんに落ち度はありませんねぇ。」

「いずれにしろ、過ぎてしまったことだ。今後を考えよう。」

 そういいつつ、みなハヤブサを見ている。まあ人型インターフェイスなんていってもなあ。

 俺もハヤブサを見ながら、ポニテもいいかなと考えてみる。

 

「とりあえず、ハヤブサを俺たちの拠点としてはどうだ?宿代がかからないし、食事は自分たちで作るか食べに行けばいい。」

「それはいいけど・・・やっぱり売れないの、この船?」

 ハヤブサを売るくらいなら残念女を売るからな・・・この船の価値、分ってんのか?


「ハヤトさんのいうことしか聞かないのであれば、無理でしょうねぇ。」

「そもそも縦帆船、だったか?そんな船のこと誰も知らないぞ。取引になるまい。」

「でも一応、神代のお宝なんだから・・・」

 レイメイが粘っている。ハヤブサ相手にむきになってないか?


「剣や槍と同様、ハヤブサは一目で船と分りますからね。あまりありがたく感じないかも。」

「安全な拠点を手に入れたと思うのが合理的だ。」

「これで俺も神代の武具が手に入ったわけだ。」


「「「ハヤトの神代の武具?」」」

「おかしいことはあるまい?4人の安全を保障してくれるんだ、剣や槍より役に立つ。」

 おそらくハヤブサに籠城すれば、この世界のやつらでは歯が立つまい。


 最後はハヤブサの

「私はマスターの最強の矛であり、無敵の盾です。」

 の一言で決着がついた。


 後は航海の準備だ。俺たちは弁当の黒パンのサンドイッチを食べ終えると、食糧の備蓄を始めた。航海で一番問題になるのは飲料水なのだが、今回は考えなくてもよいわけだ。それどころかシャワーにまで飲料水を使うのかと3人組は驚いていた。

 

 この世界の常識では少々傷んだ水を飲むのは当たり前の事であり、清水を求めようとすればエールの方が安くついた。また食料を冷やして保存するという発想はなかったようで、冷蔵施設や冷凍施設に驚いていた。


「この冷蔵庫をつかって、水やエールを冷やして売れば一稼ぎできるんじゃない?」

「いやいや、アの国の胡椒や丁字をクの国へ運べば同じ目方の砂金に・・・」

「水だけでも、売り物になるなぁ・・・」

 みんな悪い顔になってきたなぁ・・・いつから商売人にジョブチェンジしたんだ?


「もしかして、ハヤブサってすごいんじゃないの?」

 もしかしなくても、すごいんだよ。

「これは一攫千金も夢ではないですね。」

「こんな船がいくつもあったらすごいだろうな。」


「「「それだ!」」」


 ・・・というわけで、俺たちはまた戻って来た。HP-830CTの眠るあの遺跡に・・・スリープモードだかに移行するといっていた、寝てるんだよな?

 ハヤブサのために残りのエネルギーを使うといっていたので、今さら無駄であろうがそれを知るのは俺のみである。少なくとも冒険者たる者、自分の目で確かめなくては納得しないだろう。


 山の岩肌が割れていてる場所まで戻ってきた。そこから奥に入り岩の裂け目を分け入ってゆくのだが、前方に人だかりができていた。どうやらみな冒険者らしい。


「・・・だから何度もいってるだろう、俺が来た時からこうなんだ。」

「ここが一番簡単な遺跡だというから来たのだ、全然入れんじゃないか!」

「俺が聞いた話では山の上の入口も、岬の先の入口も、みな同じらしいぞ。」

「剣で切っても槍で突いても、傷一つつかないらしい。」

「俺も先ほどから試しているが・・・こいつは手におえん。ドラゴンの鱗の方がまだましだ。」

 ドラゴンというのはレベル9のことらしい。まあ恐竜だし、ドラゴンには違いないか・・・


「ああ!俺の剣も折れたぞ!もう付き合ってはおれぬ、俺は帰る!」

「この遺跡もとうとう、死んだ遺跡になちまったのかなあ?」

「分らんが、いつまでこうしていても仕方あるまいよ。俺は別の遺跡に向かう。」

 どうやらHP-830CTはハッチというハッチ、隔壁という隔壁を全て閉ざしてスリープしたらしい。

 外宇宙航行を可能ならしめる船のハッチや隔壁が相手では、この世界の文明レベルではどうにもなるまい。聞いた話では、こうした『死んだ遺跡』というのは多くあるらしい。


 スリープ解除はどうするのか、聞いておけばよかったと後悔した。

 眠り姫をおこすには妖精とか歌姫が必要だろうか?


 冒険者たちの会話を聞きながら、俺たちも別の遺跡へ向かうこととなった。ただし、所持金が少なくなってきたので一度ギルドに戻り、適当な依頼を受けようという話になった。


「理想は隣町トリスまでの護衛依頼よねー。」

「そうですね、遺跡地へ行けるしお金ももらえるし。」

「最悪ハヤブサでトリスの港まで行くことも考えておこう。」


 結論から言うと依頼はあった。樽いっぱいの香辛料をクの国へ運ぼうとしている商人たちだ。Bランク以上で3名を希望していた。

 トリスまで3日の行程で1人1日銀貨1枚とのこと。こちらは4人だが、3人料金で請け負うことになったのだ。


 出発は明日。俺たちが入ってきた門と反対側の北門に、朝六ツの鐘までに集合とのことだった。その夜、早めの夕食をとりながら3人と話をした。ちなみに献立は焼き魚と麦飯、それとエールだった。


「冒険者って、いつどんな訓練をしてるんだ?」

「急にどうしたのよ、ハヤト?」

 

「いや、俺はこれまでアンタらが訓練らしい訓練をしているところを見たことがない。それで技量が維持できるものなのか?」

「なるほど、そういう話ですか・・・」

「初心者のうちはともかく、すぐに本番が訓練になる。」


「本番が訓練?本番てのは依頼のことか?」

「そうよ、まずは依頼をこなすのが一番ね。」

「そうですね、実践に勝る訓練はありませんよ。」

「だから実力のない冒険者はいなくなる、って仕組みだ。」

 それでは脱落者続出ではないだろうか?


「大丈夫よ、最初のうちは近所の雑務を手伝うだけだし。」

「採取系になると少し大変ですね、動植物の知識も必要になりますし。」

「そうだな、獲物を狩るようになると『血抜き』や『運び』が問題になってくる。」

 なるほど、現場で血抜きはをすれば他の獣を呼び寄せる。運び手がいなければ全て自己責任だ。


「そう、だから血抜きのしてある肉は高値で買い取ってもらえる。実際、美味いしな。」

「だからみんなパーティを組むんだよ、1人で狩りは大変だからね。」

「最小で3人ですね、僕らのように。まあ、今はハヤトさんが入って4人組ですが。」


「狩りにでても狩れない時があるしね・・・そんな時はこまめに雑務をやったりで、訓練の暇がないね。」

 訓練の暇がないって、自慢するトコじゃないぞ。いや、それだけ仕事をしているということか・・・


「明日の護衛はどうなんだ?」

「どう、ってなにがさ?」

「運び荷が香辛料なら、出るのは獣だろ・・・2本足の。」

「ああ、そういうことね。」

「僕らの対人戦闘能力に疑問があると?」

「害獣を狩れるんだぞ、俺たちは。」

 害獣は落とし穴を掘らないし、風上からしびれ薬を撒いたりしないからな。本当に大丈夫か・・・?

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