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Tamer's Mythology  作者: 槻影
第一部:Tamer's Mythology

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第二十七話:魔物使いのプライドにかけて

 いつも寝付きの良いアムが中途半端な時間--午前五時頃に目が覚めたのは、前日に色々ありすぎて興奮していたためだろう。

 半分身を起こした時には、既に眠気は綺麗に消えていた。

 部屋は静かだった。上下左右どこからも物音一つしない。痛いまでの静寂。

 外はまだ暗く、月の光のみが窓から静かに差し込んでいる。

 しかし、夜目が利くアムにとってはその僅かな光だけで部屋の中が隅々まで子細に見えた。

 壁際に設置されたまばらに本が置かれた本棚。

 白いボトルが並べられたテーブル。

 綺麗に畳まれた黒い外套。

 音もなく微かに上下に揺れ動く隣のベッド。


 アムの脳内を、ここ数日の出来事がフラッシュバックのように駆け巡る。

 静かに、素足を床にペタリとつけた。木製の床がひんやりと冷たい感覚をアムに伝える。

 レイスの体重はプライマリーヒューマンよりも遥かに軽い。

 軋む音一つ立てず、ゆらりと立ち上がる。


 月水の涙を処方して寝起きを改善したはずのフィルは、全く動く気配はない。

 本来ならば、探求者は睡眠中でも気配を察知できる程度の危機感を備えているものだ。たとえ寝ていても側で生き物が動いたら気づく。それは探求者としての必須技能で、探求者となって一年未満の駆け出しのアムでさえ既に身につけていた。


 聴覚に神経を集中すると、規則正しく、しかしゆっくりと動くマスターの心臓の音が聞こえる。


 ああ……やっぱりか。


 アムは得体の知れない感覚に一度大きく震える。


「フィルさんは……レイスを信用しすぎです……」


 一歩一歩、踏みしめるようにして隣のベッドに近づく。

 元々、距離などあってないようなものだ。僅か五歩で手の届く距離まで近づいていた。

 それでも、目の前のマスターは、気づく気配がない。この距離ならば最弱に弱めている『恐怖』さえ感じるはずなのに、その心臓の音はリラックスしたものだ。それを聞いているだけで、アムも眠くなってくる。安らかな音だった。


 手をそっと近づけ、布団の上から触れる。確かな体温が分厚い掛け布団を通して伝わってくる。

 それはレイスが最も強く求め恋い焦がれ、そして手に入らないものだ。

 アムは眼を閉じて、一度大きく深呼吸した。


 ああ、神様。どうか……お願いします。フィルさんに救いを与えてください。

 例え、嫌われたっていい。だから、お願いしますーー


 祈るような気持ちでスキルを行使した。

 アムの手には確かな手応えが奔る。


「レジスト……ッ……」


 唇を噛んで歯を食いしばる。

 手の平にぽつりと雨のような雫が落ちる。

 それは悲しみではなく怒り、喜びではなく絶望の涙だった。

 精神の乱れに呼応し、『恐怖』が制御を失って暴走する。

 もしも仮に覚悟をしていなければ、自分は鬼に転じていたかもしれない。

 燃え上がるような熱く昏い熱に心を舐められる感覚に一歩後退りながら、アムはまだ冷静な一部の思考で考えた。


 そう。これだ。これが違和感の根源。

 SSS級の探求者だったフィル・ガーデンがシィラ・ブラックロギアに敗北した理由。

 確信すると同時に、それはあまりにも哀しい結果だった。


「ああ、可哀想なフィルさん……でも、何で、どうしてーー」


 ベッドの上に座って宙に視線を泳がせる。

 そうだ。肝心な理由がない。どうしても見つからない。

 すぐそこにあるはずなのに掴めない。掴んだ瞬間に消え失せる。

 靄のような、幽霊のようなそれに、アムは全身全霊の殺意をぶつけた。

 二の腕を掴んだ爪がぎりぎりと柔らかい皮膚を裂き、鮮血が溢れる。


「させない……フィルさんは……私が、守ります……だからーー」


 誰も聞くもののいない静寂の中、すすり泣くような音だけが響いた。





*****




 無造作に伸ばした腕から、黒い靄が立ち上がる。

 本人を強化するバフである悪夢の祝福ブレス・オブ・ダークネスとは異なる悍ましい気配が堰を切ったように膨れ上がる。

 ゆっくりと眼を閉じる。集中力が針のように研ぎ澄まされるのを感じた。

 部屋が一回り狭くなったかのようにすら感じられる圧迫感。まるで夢の中にいるかのような足元がおぼつかない。


 種族スキルとは、単純に言うと本能だ。

 鳥が飛ぶように、魚が泳ぐように、人が二本の足で歩くように、ナイトメアの本能には夢魔の一族にしか認識できない隣の世界の法則を扱う本能がある。だからもし僕がアムと契約しなかったとしても、アムはいずれソレを操る術を身につけていただろう。それまで生き延びられれば、の話だが。


 僕はただ静かに、一言も発さずに、その様子を見ていた。


 アムの二の腕から這い上がった黒い靄ーー夢の欠片が静かに形を収束し、静かに形を取り始める。

 ナイフのような鋭利な形状、針のように尖った体毛と頭部らしき箇所でたった一つだけ輝く巨大な紅い瞳が発現する。


 十分に集中力が高まった瞬間、眼をゆっくりと開いてアムが声高らかに叫んだ。


「『侵食する悪夢(サモン・ナイトメア)』!!」


 実体のなかった黒い煙が、その言葉と同時に確かな実体を得、発現した。

 悪夢が咆哮をあげた。心の臓が凍りつくような奇声に身体が一瞬硬直する。

 毛むくじゃらの肉体に、四肢、体幹、ところ構わず突き出す滑らかな漆黒の刃。

 獣のようであり、悪魔のようでもある。身の丈はおよそ二メートル弱。

 何より恐ろしい事に、その身姿はーー人の型をしていた。


 ギョロリと紅眼が僕を睨みつける。


 僕は必死になってペンを動かし、目の前の光景のメモを取った。

 発現した瞬間の奇声による硬直は獣系種族の高ランクが保有する『威圧する咆哮波(ハウリング・ウェイブ)』のスキルだろう。肉質は見たところレイスと同様に魂質だが、ある程度の物的要素も持っている。

 四肢は鍛えられ上げた戦士のように筋肉で膨れ上がっているが、レイスと言うのは基本的に物理法則から相反しているため、アムが細腕で僕の数倍数十倍の膂力を発揮するように、半人半鬼の広谷とは異なり、肉質に意味などない。ならば何故そのような豪腕を持っているのか? 興味が尽きない。


 『召喚(サモン)』のスキルは幾つか、召喚対象をどこから引っ張ってくるかによって分類されるが、ナイトメアの固有スキルである『侵食する悪夢(サモン・ナイトメア)』はこの世界とは異なる世界から対象を召喚するパターンのスキルに見える。

 しかし、本来ならばある程度の依代ーーこの世界の物質を基点として行う本来の正当な召喚とは異なり、アムは魔力こそ大幅に消費しているものの、特に何か依代を使用した気配がない。まさに、奇想天外摩訶不思議な種族特有のスキルと言えるだろう。


「はぁはぁはぁ……や、やりまし、た」



 全力を費やしたアムがその場にペタリと座り込む。

 召喚した対象がギョロリと未だかつて見たことのない無機質な視線をこちらに向ける。

 

 意志があるのか……


 一歩踏み出すと、怪物が腹に生えた一メートル程の刃を眼にも止まらぬ速さで引きぬいた。

 尺が一メートル程の幅広の刃だ。刺さっていた分が紅蓮に濡れていた。血……ではないだろう、怪物の身体からは血の一滴も流れていない。

 反射的に数歩後退る。全身を激しく揺さぶる鼓動。脳が焼けるかのような錯覚に喉の奥から何かがこみ上げてくる。

 すぐに悟る。これは殺意だ。精神だけでなく身体に影響を及ぼす程に濃密な殺意。散々修羅場をくぐり抜け今ここに立っている精神力だけは自信があるこの僕にすら膝をつかせる途方も無い巨大な意志。


 それを我慢しながら、ペンを動かす。瞬きをする間も惜しい。



 そう、その怪物はーー魔物使いであるこの僕が見たことのない形をしていた。



 これこそが、これこそがユニークスキル。命を掛けてさえ知る価値のあるスキルだ。


 立ち上がる力すら残っていないのか、アムがずるずるとナメクジのように這いよって僕の肩にちょんちょんと触れた。


「フィルさん、フィルさん」


 頭を差し出してくるアムの髪をくしゃくしゃっと撫でてやる。それだけで緩む表情。思い切り抱きしめてやった。

 素晴らしい。素晴らしい才能だった。

 まさか、たった一晩で、マスターである僕のサポートもなしに、種族スキルを開花させるとは。


 マスターとしての立場が危ぶまれる程に優秀だった。正直、立つ瀬がない。僕がやったことはせいぜいがアルファトンを仕込んだくらいだ。アルファトンにはスキルを開花させる効果はない。

 一体アムにどんな心境の変化があったのか、人ならざるものの心は、いくら一線級の魔物使いであっても、ただの人である僕にはわからない。一体何があったのか気になるが、それを聞くのは野暮ってものだろう。


 僕にできる事はただ抱きしめてあげることくらいだった。


「私……頑張りました」


「よくやった。アム、よくやったよ……」


 あんなに興味深いものを召喚できるなんて……ただの駄ナイトメアだとか思ってごめん。

 アリスはとことんまでに強かったが、種族スキルはたった一つだった。

 アムは突き詰めた強さこそないものの、種族スキルは豊富にあるようだ。是非とも全てこの眼で見てみたい。

 そして、それだけの潜在能力がこの子にはある。


「よし、アム! 次は『行軍する災厄レギオンズ・ディザイアー』だ!」


「……無理ですよぅ……ほら、もっと撫でて! 抱きしめて!」


 アムが腕の中で情けない声をあげる。

 本気で無理そうだったので、それ以上言うのを止めた。


 一度に多くの事を求めてはならない。それが、本人のやる気を削ぐパターンも多々ある。

 大丈夫、この子のポテンシャルなら使えるようになる日もそう遠くない。今は我慢の時だ。

 抱きしめたまま右手で髪を梳く。

 ひしひしと沸き上がってくる恐怖を感じながら、考える。


 今はせいぜい、データを取るくらいが丁度いいだろう。ナイトメアのスキルについて、僕にはほとんど知識がない。このままでは、アムの強化に支障がでる。できるだけ早く情報を集めなくてはならない。


 アムが召喚した怪物は、本体が気を抜いているせいか特に動く気配はない。

 なるほど……ある程度召喚者の意志に従うのか……完全な自由意志を持っているわけではないらしい。だが、それでいてなおも感じるこの悍ましい殺意の正体は何だ?


 変な所で鋭いアムがこちらを恨みがましげな眼で見る。


「……私の事だけ考えて欲しいです……」


 レイスは嫉妬深い。

 怪物の正体についての考察は後にしよう。また後でゆっくり考えよう。それだけのことを、アムは成し遂げたのだから。

 アムの頬に頬を密着させる。


 密着した皮膚と皮膚。肉体と魂素の混合体から昏い力を感じる。レイスの総合力とは魂の力であり、意志の力であり、魔力である。

 アムの召喚したこの怪物のスペックは相当高い。討伐ランクで言う、A級までは行かないが、それに近い力がある。まだ未熟なアムが召喚する対象としては破格だ。当然それ程の存在を召喚し、制御するには甚大な力が必要なはずだが、感じる体温、密着した身体から感じる力はそこまで大きく目減りしていない。何故なのか、どうしてなのか、これこそがーー種族スキルの神秘なのか。

 アムが身動ぎする。


「……フィルさん?」


 顔を顰めてアムが僕を至近距離で見る。

 アムの薄い胸からどくんどくんという鼓動ーーレイスの心臓である、魂核が脈動する音が伝わってくる。

 わかった。ごめんごめん。

 唇を舐めて湿らせる。音を出さずに喉を整え、丹田に力を込めて声を出す。脳に染みわたるような、他者を安心させるような声に。


「アム、アムが頑張ってくれたから……僕もスキルを見せてあげよう」


「え……? スキル!?」


 アムが頑張ってくれたのだ。僕だって……苦労しなければならない。いや、苦労させてくれ。そうじゃないと僕に価値などない。


 頭の中で一つのスイッチを入れる。

 一晩ぐっすり寝たことですっかり回復した魔力が大きく抜ける。その消費幅はここ最近使ったスキルの中で最大級だ。

 朝起きたばかりだけど今日は依頼は無理だな。


「『堕落する淫魔の杖(クリーピーズ・ハンド)』」


 魔物使いのスキル。その上級。

 指先に小さく熱が宿った。

 自己の能力の強化は他者への強化に比べて難易度が低い。

 難易度が低いということは--消費魔力が低いということ。

 ましてや、純粋な攻撃力を高めるものでも、強力なエネルギーを制御するためのものでもない。

 それは、かつての師、仲間の探求者、学生時代の同級生、ギルドの職員、その全てから魔術師失格の烙印を押された僕でさえ行使できる程度の他愛もない技だ。


「ひゃ……ぁあああああああああああん!」


 アムの皮膚に触れた瞬間にスイッチを切った。

 抱きしめていた肢体がガクガクと大きく痙攣する。

 水の匂いに近いアムの体臭を知っていなければ気づかない程度の僅かに甘い匂いが混じる。

 耳元で艷の混じったひんやりとした吐息が耳朶を掠める。

 魂核の脈動が早鐘のように鳴っている。


「……はっ……あ…………な……に……今、の……」


「アムに……ご褒美だよ」


 スイッチを再度いれ、裾の下から差し込みアムの肌に直接這わせた指で、背中を撫でる。

 濁ったような熱を灯した指先がアムの背中で一本の線を描く。

 その度に身体の底から抜けていく感触、魔力総量が少ない事が歯痒い。

 僕にもう少し魔力があればーーずっとスイッチを入れっぱなしにできるのに。


「やっ……」


 魔力を節約するためにスイッチを再び切る。

 アムの身体が一瞬硬直する。口からは僅かな声しか漏れてこない。

 しっとりと濡れた肌、指から感じる魂質は昨日よりも研ぎ澄まされていた。具体的に言えば、一・五倍近く昨日よりも強い。

 彼女の中にいかなる感情の推移があったのか。それは専門家が見ればはっきりと分かる成長だった。後で記録にまとめておこう。


「やめ……フィルさ……あ、ダ、め……それ……あ……ああ……」


「気持ちいいだろ? アム。淫魔の身体も蕩かせる魅惑の指先だ。面白いものを見せてくれたから……特別だよ?」


 スキルの切れた状態で背中を撫で擦る。

 たった三日で素肌への身体的接触。コミュニケーションを進めるペースとしては異常だ。温もりに飢えるレイスだからこその速度。急いては事を仕損じるとの言葉もある。他の種族だったらこうはいかない。

 再びスイッチを入れる。魔力の枯渇で目の前が真っ暗になりかける。指先に触れる瞬間だけ。たった三秒、三秒使うだけで僕の魔力は八割削られていた。うん、やっぱり、今日は依頼は無理だ。

 アムの身体がくたんと力を失って、もたれ掛かった。


 同時に、刃を無造作に掴んだ状態で顕現していた怪物の姿が薄れ始める。

 殺意と、満たされない怨念を現れた独眼が無念そうに僕を睨みつける。怪物は空気中に溶けるかのように消えていった。


 なるほど……召喚主が気を失うと消えるのか……いや、還るのか……


 召喚士(サモナー)のクラスの召喚(サモン)はスキルの種類にもよるが基本的には死ぬかマスターが返還するまでは消えないものだ。でなければ召喚士は自身が気絶した瞬間に命運尽きる事になる。やはり性質には大きな差異があるのだろう。スキル専門家でもなんでもない僕には理屈はさっぱりわからないが。


 アムを抱き上げる。弛緩した表情で静かな寝息を立てていた。唇の端から垂れている涎をハンカチで拭い、ベッドの上に寝かせてあげた。

 髪をかきあげ、額に手を当てる。熱などはないようだが、汗で少ししっとりしている。

 そして、僕は実際にアムの魂に触れて確信していた。


「アムは……成長が早いね……正直、予想以上だよ」


 種族のランクが高いという理由もあるだろう。

 今まで何も知らなかったという理由もあるだろう。


 だが、それにしたってこの成長速度は僕が今まで見てきた優秀な探求者達と比べても際立って高い。

 レイスの強さの基準である魂質、濁っていたその強さは本来あるべき強さに戻りつつある。


 その速度はまさに天稟と呼ぶに相応しい。

 嫉妬してしまう程度に。僕が必要なくなってしまう程度に。


 間違いない。今のアムならば放っておいても数年で探求者の上位まで駆け上がれる。むしろ、今の僕に依存している状態は完全に悪影響だ。能力を上げる自信はあるが、それで上がった能力は別れてからどうなるのか?


 スレイブにメリットを提供できない魔物使いは魔物使い以前の存在だとさえ言える。


 本来だったら、しっかり話し合って手放した方がいいだろう。永遠に面倒を見るつもりでもないのだ。

 僕しか知り合いがいないならまだ考えるが、今のアムには小夜もいるしリンもいる。明けの戦鎚の前でパフォーマンスも行ったので顔見知りならもっとできているはずだ。


 だが、その論理的な考えを僕の『欲』が邪魔をする。

 もっと見たい。アムの力が。ナイトメアの力が。もっと触れたい。もっと識りたい。誰の手でもなく自分の手で……アムを強くしたい。


 --そう、アム(スレイブ)の人生を台無しにしてでも……


「……何てね」


 ため息が漏れた。アムの額から手を離す。

 この世で最も恐ろしい敵はいつも自分の中にいるものだ。そして僕のそれは、他者のそれよりも遥かに大きい。


 大丈夫、二度とこのような考えは浮かべない。

 僕が全て何もかもうまくやってみせる。魔物使いのプライドにかけて。


 可能だ。可能なはずだ。フィル・ガーデン。

 魔物使い系系統樹の到達者。

 グラエルグラベール最強の魔物使い。

 自分の強さを疑うな。


「アム、悪いけど、もう少しだけ付き合ってもらうよ……」 


「フィル……さん……」


 すうすうと寝息を立てる口から僅かに漏れるのは僕の名前だ。

 カードの残金はおよそ三百二十万キリ。三十億の目標金額までは遥かに遠いが、僕は状況の終わりを予感していた。

結末まで考えてあって三十話くらいで終わる予定だったのに、まだ書き終わらない……今しばらくお付き合いください。

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嘆きの亡霊は引退したい。

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