表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

白蛇様ケーキを食べる

ケーキが食べたい。

 結局白蛇様と話し合った結果、白蛇様も一緒に連れて行くことにした。というか連れて行かないと、ずっと喚き続けると言われたため私がおれるかたちで話は終息した。



「絶対に静かにしていてくださいよね、白蛇様」

「わかっておる、わかっておる、わしは偉大なる神であるからな、少しの間くらい静かにしておくくらいたやすわ」

「…その言葉忘れないで下さいよ、騒いだらケーキなしですからね」

「うぐっ、わかっておる。じゃがどれにするかくらい選べせてくれるじゃろう、のう、頼むのじゃ栞よ~」


 カフェに向かう道の途中で白蛇様と小声で会話をする。一応紗彩には白蛇様の存在を知らせてはいるが、怪しまれないためにも目立つことはしないほうがよい。


「ねえ、紗彩これから行くカフェって、どんなケーキが有名なの?」

「なんかね~、季節のおすすめっていうのかおいしいらしいよ。その季節にとれる新鮮なフルーツをふんだんに使ったケーキで若い女性に人気で、味の割に値段も手ごろで手が出しやすいんだって」

「それすべてあたしの情報。レビューとか感想とか見た」

「なんだ、じゃあ紗彩が説明しなくてもよかったじゃん」

「えへへっ、まーまーいいじゃない、細かいことは気にしない気にしない」

「さーやは少し気にするべき」

「…ははは、確かに」

「もう!何よ二人してー」



 二人とくだらない話をしていると、噂のカフェにいつの間にかついていた。少し大きな一軒家という感じの外観だが、一階がガラス張りになっていて、光が入ってきやすい作りになっていたので中はとても明るくきれいだった。しかも、お店の裏にはきれいな花の庭園があり、そこにはテラスもあり、結構な数のお客さんがそこでケーキを食べていた。

 私たちも外で食べようとしたのだが、あいにく席に空きがなかったため、室内で庭園がきれいに見えるところに座らせてもらった。

 そしてその交渉をしたのは好奇心スイッチがオンになった紗彩。店員さんが少し苦笑いをしていたよ。心の中で店員さんにごめんなさいと謝ってから、メニューを見る。


 メニューには、三層の生地の間にイチゴとイチゴクリームがたっぷり入ったショートケーキやラズベリーやブラックベリーのソースを使ったチョコレートケーキ、イチゴやグレープフルーツなどの季節の果物をふんだんに使ったフルーツタルト、和栗を使ったクリームがたっぷりかかったモンブランなどどれもおいしそうなケーキが10種類ほど写真付きで載っていた。


 もちろん私とともにそのメニューを見ていた白蛇様は、顔をパァッと輝かせてから、真剣にメニューを見ている。 あらかじめ一つしか買いませんからねとくぎを刺しておいたので余計真剣に見える。



「ホントおいしそう、何にしようかまよちゃうよ」

「コウコク」

「私はね~、じゃあクリームたっぷりのショートケーキにしようかぁ」

「紗彩はやっ!!え~…私はどうしよう、チョコレートケーキもいいけど、かといってフルーツタルトも捨てがたい。うむぅ」

「…あたしはモンブランにする」

「あう~、ちょっと待って、今決めるから」

「じゃあ、店員さん呼ぶね~」

「いや、速いから、まだ私決めてないからっ!ってもう来ちゃう…うー、じゃあ私はフルーツタルトで」



 長々と決めるよりも直感で決める派の紗彩はうだうだと決めていると早くせいっ!と無言の圧力を加えてくるのである。そして、店員さんに今決めたケーキを頼む。ついでに私はアイスティー、紗彩と莉都はアイスコーヒーを頼み、ケーキを待った。

 

 少し待つと先に飲み物が来た。私はストレートで紗彩はミルクをアイスコーヒーに少し、莉都は甘党なのでガムシロップとミルクをクラスがギリギリになるまでいれていた。そんなにいっぱい入れるならコーヒーではなくジュースを頼めばいいのにというと、コーヒーが甘いのが好きといわれた。コーヒーが苦くて飲めない私にとっては良くわからない理論だ。


 それからすこししてケーキが来ると3人で談笑しながら時間を過ごした。話していると日が沈んできたので、今日のお茶会はお開きとなった。会計を済ませてから、お土産を買っていくので少し残ることを2人に告げて別れてから、はやくせいと急かす白蛇様に小声で話しかける。



「さて、お待たせしました。なんのケーキにするか決めましたか?」

「うむ、わしはこの店に入った時から何にしようかとずっと考えていたのじゃが、実物を見たことによりあのフルーツがたっぷり乗っておったケーキにすることにするぞい」

「はいはい、じゃあフルーツタルトですね。すいません!フルーツタルト1つ持ち帰りでお願いします。………ごめんなさいもい、もう1つ追加お願いできますか」








 ただいまーと今は1人で住んでいる家に向かって帰りを告げる。

 共働きをしている両親は、最近二人して海外へ仕事の都合で転勤してしまったため、今家にいるのは私一人だけなのだ。

 小さいころはなかなか会えない両親に、さびしい思いをしたが、両親の代わりに祖父母がいてくれたので、そこまで不満は感じていなかった。逆にたまに帰ってきたときに仕事の話をする両親の、生き生きとした顔を見るのが当時の私は好きだった。

 だから、今回の転勤についても、祖父母がなくなってから少し過保護になった両親にはいい機会だと思い、もう大学生になったのだから大丈夫、と言ってごり押しをして、空港まで見送ったのはまだ記憶に新しい。


 リビングに明かりをつけ、手洗い、うがいを済ませると「ケーキーーー!!」と騒ぎ立てる白蛇様に急かされながら、お皿にケーキを盛り付けて机の上に置く。ついでに飲み物の麦茶を横に置くと、悪いのぅと感謝をされる。本当にそう思っているなら騒がないでほしい。


 ふと、リビングのソファに大きな丸い毛玉がいることに気が付く。毛玉ちゃんと言うと耳が少し反応したが、顔を上げることはなかった。

 仕方がないので今日ついでに買ってきたイチゴクリーム入りのシュークリームをお皿に乗せてソファーの前に置く。


「今日友達と一緒においしいケーキのお店に行ったので、おすそわけです。中に入っているの、イチゴクリームなんで食べられると思います。よかったらどうぞ」


 そう毛玉に告げて、その場を離れて夕飯の準備をする。夕飯の準備が終わったころにはケーキを食べ終わっていた白蛇様は、満足じゃっといって自分のおうちに帰って行った。まったくはた迷惑な神様である。



 食器を片づけ、お風呂に入ってあとは寝るだけとなり、水を飲もうとリビングに入ると、ソファーの上で寝ていた毛玉がのそりと起き上って近づいてきた。


 ずっと丸まっていたため茶色い毛玉にしか見えなかったそれは、とてもプリチーなフォルムをした狸だった。そして足に擦りより、少し甘えてからキューンと一鳴きして、異界の門を開いて帰って行った。


 ソファーの前に置いてあったお皿の上のシュークリームが消えていたので、あの甘えた声はお礼だったのかなと思いながら布団に入り眠りについた。


これで一応一区切りです。次はどんなお話になることやら…。

それにしても私もこんなケーキが食べたいです。


誤字脱字をお見かけしましたら、ご連絡お願いします。

そして感想なんかをいただけると、なお嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ