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白蛇様無言になる

2話目です。自分の文才のなさに涙が出ます。

 レポートが終わったのは日付を少しまたいだころで、それまで言われたとおりに静かにしていた白蛇様や毛玉たちが一斉にお菓子!!っと騒ぎ出したのも、レポートの印刷に席を立ってからだった。


「わっ!ちょっとまって、今から印刷もれが無いか確認してくるから」

「むううっ、速く確認せぇ、そして菓子じゃ!」

「……オ…かし……ウマい……タべ…る…イそグ……」

「はいはい、分かってますって」


 煩い外野と軽く会話ししながら、誤字や印刷もれが無いかをしっかり確認してホチキスで左上を二回止めてかばんの中に入れる。

 

 他にも受けている講義のレポートを出す事があるが、なぜかこのレポートを提出する教授は、左上にそろえて二回ホチキスがないと受け取ってはくれないのだ。

 

 友達から聞いた噂では、提出しに来たレポートをその場で破り捨てたとか、鼻で笑って叩きつけたこともあるらしい……その対応は大人としてどうなんだ。だが実際の所、誰も真実は知らないらしいので嘘かも知れないが、怖いのでホチキスは二回押しておくことにした。


「さってと、じゃー何を作りましょうかねー?」

「わしは甘ければ何でもよいぞ!!でもできればこの前食べた味が変わるやつが良いのぅ」

「え、いやですよ、こんな夜中にこの前みたいな何層かに分かれてるような手の込んだの作るの」

「むぅ、ひどいのぅ、ちゃんと言われたとおりにわしらは待っていたのに、ちゃんと静かにしておったのに…のぅ、毛玉よ」


 何故だかわからないけど白蛇様が毛玉たちを転がしながら拗ね始めた……無駄にキラキラした容姿をしているせいで危うくほだされそうになるが、ここで屈しては今日の睡眠時間がかなり短くなってしまうので、ここは厳しくいかせてもらう。


「白蛇様、それはそれ、これはこれです。今度また作りますから、今日は簡単にできるリンゴジュースのゼリーにしましょう」

「りんご…あの赤いのはみずみずしくて好きじゃが、ゼリーにするとそれが飛んでしまうではないか、わしはみずみずしいのが食べたかったのじゃ」

「みずみずしいって、じゃあ何のゼリーがいいんですか?今家にあるジュースってりんごかみかん……と、トマトくらいですよ」

「うむ、ではトマトにしようではないか!!」

「……じゃー、トマトにしますね~」


 そう言いながらキッチンに立ってエプロンを付ける。このエプロンは最近買ったのだが青い水玉がなかなかに気に入っている。


 まず最初に粉のゼラチンを少量のトマトジュースに入れて玉になりにくくしておく。その間に残りのトマトジュースと砂糖を火にかけて沸騰させ、溶かしたゼラチンを投入し、再び沸騰させ器に盛り付けたら、氷水の中で冷やす。氷を変える手間がかかるが、冷蔵庫に直接入れることはできないのでしょうがない。





 冷やすのに少し時間はかかったが、無事にゼリーのプルっト感を出す事が出来たので、その器をもって白蛇様と毛玉がいるリビングに行く。


「白蛇様~、出来ましたよトマトゼリー」

「おおおおお!!待っておったぞ、ではさっそく……むぐむぐ」

「はい、毛玉たちにも、待ってたご褒美」

 ---おおおおおおお---


 流石に夜中なので私は食べることをしなかったが……食べるときに無言になられるとどうしたらいいのか分からなくなるよ、ほんとに。


 白蛇様たちが食べている間、私はやることが無くて暇なので欠伸をしながら食べている姿を見る。

 ……ほんとに黙っていればかっこいいんだよねぇ。光の加減で白銀に輝く長い髪も、女の私よりも長いまつ毛も、着物の上からでもわかる細い腰も……なんか落ち込んできた。


 流石に神様なだけはあり、ズーンとした気分におちいったので考えるのを止める。しかし…考えるのを…やめる…と、眠く……。考えることを止めた私の意識は暗闇の中に溶けて行った。





「む?栞?……寝てしまったのか、やはりこんな時間からつくらせたのは失敗だったか、なぁすすきよ」


 眠ってしまった栞に毛布をかけ、下でまだゼリーを食っている毛玉に声をかけるが。


「いい加減、その姿でここに来るのはやめたらどうだ?栞はちゃんとお前の事も分かっているぞ?だからこそ私と同じようにお前にも菓子を出すのだ」

「………分かっている。だが、人間は好かん、あんな奴ら」

「栞は違うだろ?ちゃんと本質が見えているのさ、まぁ、見えすぎて今では逆に危ういがな、だからこそ私がいるのだ、約束を違えぬ為に」

「…………フンッ」


 鼻を鳴らして煙のように消えた芒を見送り、食べた食器を妖術で綺麗にしてから流しの横に置く。


 栞のそばまで戻り、静かにベッドまで運んでその横に腰をかける。眠っている栞の頬をなでると、人の成長する速さがいかに速いのかを改めて実感させられる。


「………約束は違えてはいないぞ祐美子」


 ほんの少し、私にとってはほんの少し前にいってしまった、初めての人の友人の名をそういって私は繰り返す。


やっと白蛇様の容姿に触れられました~。そして、約束とは何なのか。

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