白蛇様うるさいです!
連載開始しました、頑張ります。
ふと気が付くと、私の瞳にはいろいろなものが映る。
自分の部屋、家族と暮らす家、通学する道、学校、家族、友達、動物、植物・・・そしてヒトではない何か。
小さなころ体が弱かった私は、よく祖父母の家に預けられていた。共働きだった両親は、私の弱い体にかまうことが出来ず、小学生の半分くらいまではその家で過ごした。
祖父母の家は都会から少し離れた程よく自然が残っている町にあった。一般的に田舎と呼ばれるところだが、そう呼ぶと祖母に怒られる、祖母は有名な旧家の出らしく、なぜ祖父と結婚したのかわからないほど良家の御嬢さんだったらしい。
そんな元お嬢様な祖母は昔から勘が鋭く、人でないものをよく見ていたらしい。
らしいというのも、なぜが子供を産んだら『見る』ことが出来なくなったと言っていたので、真偽はどうだかわ分からない。
だが私はそんな祖母の話を聞くことが大好きだった。
大きな蜘蛛が襲ってきた話や突然暗闇から現れる生首の女の話、可愛いまりもの様なふわふわした生き物を助けた話。
その話を聞いていると、私が見ている世界には色々なモノがいるんだとワクワクした。そんなワクワクを見つける冒険が早くしたくて、強い体にしないとねっという祖母の口車に乗せられ、嫌いなピーマンも食べられるようになった。
感謝はしている、今思うと釈然としないことが多くあるが・・・。
だが、そんな祖母の話も小学生の高学年に上がるころには、なんとなく嘘っぽいなぁ感じるようになってしまった。
ある意味大人になったというべきなのか、現実を知ってしまったというべきなのか、はっきりしたことは覚えていないが、多分クラスの男子にからかわれたことが原因だった気がする。
そんな今思うと些細なことが原因で祖母とは疎遠になってしまった。
でも、今思うと祖母の言っていたことが真実なのだと理解できた。
「そう、そうよ、いい加減にしろーーーー!!」
その叫び声に私のベットの上で遊んでいた小っちゃい毛玉たちがわらわらと逃げていく。
「もういい加減に静かにしてよ、私のレポートの提出が明日ってさっきも言ったでしょ!」
「・・・デも・・イイ・・テいった・・」
「そりゃ確かに言ったけど、そんなに騒いでいいとは言ってないでしょ」
そういうと毛玉たちは意地悪、横暴だと騒ぎだす。さらにうるさくなり、こっちの頭も痛くなる。
溜息を吐きながらそいつらを外に追い出そうとすると、後ろから良いではないかと艶のある声で言われる。
「あのね良いではないかって言われても私は困るの。レポートの提出は明日なんだし、さっさと終わらせないと寝る時間もなくなるし、何より・・・早く終わらせないとお菓子作ってあげられなくなるよ」
「な!!なんじゃと!わしはそなたの菓子が目当てで来たというのに」
「無いもんは無いんだからしょうがないじゃん、諦めて今日はもう帰ったら?」
「いやじゃーーーーー!!おーーかーーしーー」
声と見た目が良くても、性格がすべてを台無しにすることがあるのだなっと実感した。本当に白蛇様は残念すぎる。今はやりの残念なイケメンというやつなのだろう。
「うるさいです、白蛇様静かにしてください」
「けちくさいのぅ、あぁ、あの可愛かった栞はどこに行ってしまったのかのぅ、わしの後を追いかけて、待ってーと言っていたあの可愛かった子は」
「そんな昔のことを思い出さないでください!!」
「わしにとっては少し前のことだのでな」
「うっ!!・・・・・分かりましたよ、終わったらゼリーとか作りますんで、今は静かにしていてください」
「うむっ、早く終わらせるのだぞ」
めちゃくちゃ上機嫌になるのがなんかむかつく。だが静かになったので、さっさとすませてしまうために手を動かす。
片隅ではこれが終わったらどんなゼリーを作ろうかと考えながら。
お菓子が好きでよく作るので、それをネタに書いてみました。