表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/50

7:震撼……強いショックで震え動くこと

「雑魚がぁッ。調子に乗るな」

大剣を構えた男が、床を蹴る音と共に突っ込んでくる。


 Cランク相応の速度と、体重を乗せた一撃。まともに食らえば一般人なら両断だろう。


周囲の冒険者が、あーあと顔を背ける。だがゼルは動かない。剣が振り下ろされるその瞬間まで、ポケットに手を入れたまま、目をつぶっていた。


「遅い」


 男の大剣が、ゼルの頭蓋を割る軌道で振り下ろされた。剣はゼルの頭に触れる寸前、空中の紫の穴に吸い込まれた。


「あ?」

男が間抜けな声を上げた瞬間。


「ヒッ!?」


男の動きが凍りついた。大剣の刃先が、男自身の背後の空間から飛び出した。男の首筋にピタリと押し当てられ、血が出てくる。


「な、なんだこれ」


「どうした? 続けろよ」

ゼルは涼しい顔だった。


「移動魔法の応用だ。お前の剣のベクトルを、そのままお前の首へ繋げた」


「何だよ。聞いたことねえよそんなの」

男はパニックになり、剣を引き抜こうとする。


ゼルはパチン、と指を鳴らした。


硬質な金属音が響き渡る。空間の門が閉じた瞬間、ゼルから斬撃が発射される。鋼鉄製の大剣が真っ二つに切断された。男が尻餅をつき、そ床には刃先がカランカランと音を立てて転がった。


静まり返る。誰も言葉を発せない。


「ま、魔剣グレイブが……金貨10枚が……」

男は腰を抜かし、折れた剣を見て涙目になっている。


ゼルは呆れたように肩をすくめ、試験官の方へと歩き出した。試験官は口をポカンと開けたまま、ペンを取り落としている。


「おい、試験官」

「は、はいッ!?」

「こういう時、次からはしっかり止めろよ」


先ほどまで嘲笑していた冒険者たちが、一斉に視線を逸らして縮こまった。移動魔法使い? 逃げ専門?  誰もが理解した。


こいつは化物だと。


「は、はい」

試験官が裏返った声で叫ぶ。


「ランクは?」


「え、えっと、規定によりFからのスタートになりますが、ギルド長の判断次第ではすぐに昇格も……」


「Fでいい。目立つのは得意じゃない」


「流石です、主! あの剣をいとも簡単に!」

「いや、精度がだめだ。……やはり肆虐態じゃないと門がバグる」


肆虐態だと、全身に門を貼っているため、簡単に門の取り外しが可能。体に引っ付いている門を剥がして、"門を出す"という行為を省き、正確な位置の狂いがなくなる。


ギルドカードを受け取り、外に出ようとするゼルとバラルガ。


「おい、あいつ何者だ?」

「名前、ゼルって言ったか」

「聞いたことねぇな」


しかしギルドの喧騒を背に歩き出した彼らの背後から、軽やかだが芯の通った足音が近づいてきた。


「ちょっと、そこのアンタ」


凛とした声にゼルが足を止めると、そこには一人の少女が立っていた。 短めの黒髪、意志の強そうな瞳。冷ややかな視線をゼルに向けている。


「何の用だ。さっきの仲間か?」


少女は鼻で笑った。

「あんなCランクと一緒にしないで。私はこれでも最年少でBランクまで上がったのよ」


彼女の名は、この街で天才と謳われる冒険者、リナ・フォルトーゼ。 若くして上位ランカーに名を連ねる彼女は、先ほどの修練場での一部始終を影から見ていた。


「ていうか、テレポートは本来、移動するだけの非実体。それを物体に? しかも物質を断裂させるほどの精度で操る?」


リナはゼルに詰め寄った。その瞳が、鋭くゼルの顔を覗き込む。


「あんた、ただの人間じゃないわね? もしかして、魔王の部下なんじゃないの?」


「魔王の部下、か」

ゼルは思わず自嘲気味に口角を上げた。


 部下どころか本人なのだがな……。その実力だと思われてるとは。


「笑い事じゃないわ。最近、この付近で不自然な魔力の乱れがあるの。ちょうどそこに現れた、得体の知れない『移動魔法』の使い手。疑うには十分すぎる材料よ」


リナは腰に下げた魔導短剣にそっと手をかけ、警戒を強めている。


「他人の素性を決めつけるのは、若さゆえの欠点か? Bランク小娘」


「……っ! 次に怪しい動きを見せたら、ギルドに報告して徹底的に洗わせてもらうから。覚えておいて」

リナは雑踏の中へと消えていった。


「主。あなたを相当疑っているようですが、立ち振る舞いからして、今後強くなりそうですよ。今のうちに消しておくのが良いかと」


「放っておけ。今はあんな小娘に構っている暇はない」


しかし、ゼルは知らなかった。魔力の乱れ。()魔王がこの街に接近していることに。

下の☆☆☆☆☆から評価をお願いします! 面白いと感じたなら5つ、つまらなかったな〜と思ったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です! ブックマークもしていただけると、めっちゃうれしいです!


よろしくおねがいします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ