玄武の加護(4)
俺は跳ね起きた。心臓が早鐘のように打っている。
『まずは自分の身を護るのだ。その後のことは改めて話そうぞ。』
俺は玄武の言葉に答えなかった。
「案内してくれ。」
俺はコンナムの後ろに控えている人物を見て目を円くした。銀の髪と瞳が褐色の肌に映える。鍛え抜かれた肉体と高い身長が武人としての威圧感を放っている。
「カリ、お前…生きていたのか。」
「どうして…?」
俺は笑った。
「よかった。カリ、お前が生きていてくれて、本当によかった…。」
カリは複雑な表情を浮かべている。カリが生きていたこと、コンナムと共にいたことの意味が分からないほど愚かではない。
「まずは礼を言っておこう、イスル。貴様のおかげで我が国は滅亡の危機を脱した。しかし、それと私を殺そうとしたことは話しが別だ。覚悟はできているのだろうな、イスル?」
「それは俺に勝てると思っての発言でしょうか。」
俺はコンナムを睨みつけた。胸が苦しい。
「もう勝っている。そうでもなければ、貴様の前に姿を現すと思うか?」
「毒…ですか。」
木師は回復術で有名だが、その逆も得意だ。水の浄化力なら、或いは助かるかもしれないし、まだコンナムを道連れにできるかもしれない。
「なりません、陛下。玄武様の加護を受けた方を殺してしまっては、今後に差し障ります。何のためにイスル殿下の母君を治療したのですか。」
俺はカリの言葉にハッとした。
「母上が…生きているのか?」
「私も木師としては名を馳せた人物だ。もう峠は越えた。」
俺は涙腺が緩むのを感じた。コンナムに向かって頭を下げる。
「ありがとうございます。俺は何でもしますから、どうか母上だけは…。」
俺は体内の血を操り、毒を涙と共に体外に出してしまった。まだ苦しいが、死にはしないように思う。
「今後私に手出しをしないことを誓えるか?」
「誓います。俺はたとえ貴方に殺されるとしても、甘んじて受け入れます。」
コンナムは眉をひそめた。何やら白い花を出して俺に差し出してきた。俺が受け取ると、コンナムは花弁を一枚むしって食んだ。食べろということか。
「これからもこの国のために尽くしてくれよ、玄武の寵児。」
「…貴方に言われずともそのつもりです。失礼いたします。」
俺は花弁を一枚噛んだ。かなり呼吸が楽になった。俺は足早にその場を後にした。




