真夏の夜の夢
夏休み最終日。
辺りも暗くなり、通常ならば閉店時間を迎えているこくり家ですが、本日はまだ営業中でございます。
さて間もなく「予定の時刻」と相成ります。
ご注文はお済みですか? 始まってからはお受けできませんのであしからず。
最終イベントに備えて二人の奥様が別の場所で待機しているため、通常メニューは終了しておりますが、今夜のみの特別簡易メニューがございます。
大きな紙皿に盛った枝豆はゆでた後に粗塩を乗せるスタイル。枝豆は採ってから置いておくと自分で自分の中にある栄養を食べてしまいますから、採れたてがゆでたて一番。ぷんと食欲誘う豆の香りが漂い、味も強くて、振りかけた粗塩にも負けません。
トウモロコシももぎたてが一番。実はもいでからなんと秒単位で味が落ちていくのです。わあ大変。
でもご安心ください。こくり家ではご注文が入ってからもぎに行きます。昔のコントにありがちな「今採りに行ってます」をリアルでやっちゃうこくり家です。
畑は真っ暗ですが、スタッフは皆夜目が効きますし、トウモロコシの方から裏口まで一番おいしいのを届けに来てくれますから安心です。
そしてこのまさにもぎたてトウモロコシをを皮付きのままレンジでチン!
ええっ⁉ 天下のこくり家が電子レンジつかうの?
ええ、そうなんです。水を使わず内部から加熱できる電子レンジは非常に優秀な調理器具。
トウモロコシをお湯で茹でると甘みの元である糖分が溶けだしてしまいます。しかしレンジならばその心配はありません。その上短時間で過熱が済むので実がへにゃんとなることもありません。トウモロコシ美味しく食べるなら断然電子レンジです。
もちろんレンジもかけすぎれば味を損ないますが、最適な茹で加減を秒単位で調節できるのが兵太郎。ただぼへんと電子レンジの中を覗いているように見えますが、実はそうではないのです。
自分の皮の中で自分の水分で蒸しあがるように過熱されていくトウモロコシ。その過程で澱粉が糊化し、更には糖化し、溶けだすことなく粒の中にとどまっています。
だからそれにがぶりとかぶりつくと。
「うわっ、甘い! 砂糖でも入ってんの?」
食べたお客様からは驚きの声が上がりました。ぷりぷりの粒からほとばしる甘み。自分の皮をラップ代わりにしたことで香りも濃厚に。トウモロコシってこんなにおいしいの? 明日から見る目が変わっちゃいそう。
えっ、本当? そんなに違うなら食べてみようかな。
隣のお客様がそわそわしだしているようですが、少々お待ち下さいませ。レンチンとれたてトウモロコシは確かに絶品ですが、決めてしまうのはまだ早い。本日「焼き」もご用意しています。
レンジ過熱状態から皮を剥き、お醤油ダレをつけて炭火で炙ります。粒の間にしみこんだお醤油が、じゅわじゅわっと沸騰して絡みついたら出来上がり。
甘さはそのままに、焼くことで香りははさらに増し、焦げたお醤油の味と香りをプラス。こんなん絶対うまいじゃん。甘みを楽しむなら「茹で」ですが、これから始まる夏の終わりを楽しむにはこっちの「焼き」も捨てがたい。
他にも猪や鹿のレバーを含む焼き鳥や、伊達さん鶏のから揚げなどご用意しております。天然水かき氷と各種ソフトドリンクは紙コップでご提供。いずれも「見上げながら」召し上がっていただくには最適なメニューとなっています。
そしてなんとなんと本日は。
アルコール類もご提供いたします!
あ、枝豆追加ですね。あ、こちらは焼き鳥と焼きトウモロコシで。ご注文ありがとうございます。
車で来る方がほとんどで、通常は夕方には店じまいをするこくり家ですのでアルコール類の提供は控えていましたが、本日は夜まで営業ということで特別にご用意させていただきました。ビール、冷酒、各種缶チューハイといった簡単なものではございますが、お楽しみいただければ幸いです。
需要が多いようでしたら今後もアルコールのご提供は続けさせていただくかもしれません。ご要望はホームページから。
尚、ドライバーの方への酒類のご提供は固くお断りさせていただきます。道の神様もすぐ近くにいますからね。若くて美人の奥さんがイベント楽しみにしているのです。大岩の上で空を見上げる二人の手を煩わせることの無いように。
テラス席はご予約でいっぱいですが、広い庭に寝っ転がって見上げるのもオツな物。夜露が気になる方にはエリートやなりたちが夜なべして作った竹皮の敷物を無料でお配りしています。少々目が粗いのはご愛敬。
敷地内でしたらどこでもしっかりバッチリ堪能できますし、何故か蚊にも刺されませんから、皆さま譲り合ってお座りください。
さあいよいよ始まりますよ。
夏休み最後の夜、こくり家が仕掛けますのは二人の奥様が夜空に織りなす夢幻の大輪。
こくり家花火大会でございます!
間が空いてしまい申し訳ございません。奥様達が張り切りすぎて、思った以上に話が長くなってしまいました。まさか現実の八月中に夏編を終わらせられないとは。
続きは明日の夕方17:10に公開いたします。
ぜひお越しくださいませ。




