1つ目の秘密
とてもゆるい設定です、脳内補完よろしくお願いします。
「…今なんと言った?」
今日は貴族学園の入学式。
とは言え俺は既に二学年に進級しているので、ここに来ているのは単に新入生に向けての挨拶の為だ。
滞りなく挨拶をすませたあと、数年ぶりに平民からの入学を果たしたという女子生徒との顔合わせがあり、校長室でお茶をいただいている。
校長が席をはずしたと思うやいなや、女子生徒はわずかに身を近づけ、小さな声で言ったのだ。
「私、王家の秘密を知ってるんです」
二度同じ台詞を言った女子生徒…ララはにんまりと笑う。
「秘密、知りたくないですか?」
「バカらしい。平民が知っている情報など秘密でもなんでもないだろう」
「あら、私の魔力をご存じない?」
そう問われて考える。彼女の魔力属性は光。光の魔力は使い手が少ないこともあり、未だ解明されていない事が多い。確か彼女の得意は…。
「…見透かし?」
「はい。私、未来が色々わかるんです」
馬鹿馬鹿しい、と一蹴することもできる。
だが珍しい魔力の持ち主といきなり険悪な仲になるのも時期国王としていかがなものか。
「それで?秘密とやらを教えてくれるつもりなのか?」
「貴方が私に協力してくれるなら、少しずつ」
「内容によるな」
「ある女の子を助けたいんです」
ララは空色の瞳を真っ直ぐこちらに向ける。
「誰だ?」
「今は言えません。まず秘密を1つ伝えます。一ヶ月後、今後どうするか教えてください」
「秘密は沢山あるのか?」
「大きいものから小さなものまで」
俺はため息をつく。本当だったらなんなんだうちの家族は。
「わかった、聞こう」
「ありがとうございます。…貴女の婚約者についてです」
「エリザベス?」
「…エリザベス様は、貴女の婚約者ではありません」
「は?」
「エリザベス様は、貴女の婚約者の影武者、なんです」
ちょっと続きます