花一輪
何もなかった
この部屋に
花が一輪やってきた
ピンク色のそれは
ひらひらした花弁
何だか周囲が
明るく見える
それまで気付かなかったけど
この部屋って
殺風景だったんだな
変わってみて
初めて気付く
本当は分かっている
ただ分かりたくないだけ
変わったのは
部屋だけじゃないのだということ
この花を持ってきた人物に
変わらされた自分
ずっと独りでいて
それで満足だった
今はもう昔のこと
あの子がいないと
落ち着かなくて
家の中に気配を探してしまう
変われば変わるもの
ああ
足音が近付いてくる
そろそろお茶の時間だ




