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アリアと魔法の戦線  作者: 梔虚月
第一章 はじまりの物語
1/8

00 新たなる旅立ち

 アリアは自分が人間だと信じていた。

 彼女は妖精のような戦闘服を着用し、空を浮遊しながら戦場を見下ろすと、敵兵士たちが銃口を下げて命乞いする様子を目にしていた。

 その瞬間、彼らの命運は少女の手に握られていた。


「争いのない平和な世界を作る」


 アリアの願いは、終末戦争と呼ばれる長引く戦乱にあって平凡なものだった。

 彼女は圧倒的な力により、その願いを完遂することができる。

 争う人々の殲滅は、平和な世界を作るために必要だと思った。

 だからアリアは兵士たちの懇願を聞き入れず、冷徹にその力を行使する。


「これで、平和が訪れるはず」


 アリアはそう呟きながら、眼下の兵士に向かって手を伸ばして光矢を放った。

 逃げ惑う敵がレールガンの攻撃で爆ぜる中、平和の祈りを口にした少女は最後の一人まで殺し尽くした。

 そして彼女は羽のように開いた放熱板を畳み、電磁浮上の推力を落として戦場に舞い降りる。

 そこには、倒れ伏す敵兵たちの遺体が散らばっていた。


「これが私の願い」


 アリアは、その後も世界各地で自らの力を使い、争いを終わらせるために戦ったが、彼女が手を染めた戦争は簡単に終わらなかった。

 少女の願いは叶わなかった。

 彼女が虐殺した兵士たちは、生き残った人々の心に深い傷を残している。

 彼らの家族や友人は戦争の苦しみから抜け出せず、傷ついたまま生き続けていた。

 もしアリアが本物の人間だったら、争いのない世界を作るために、力に劣る人々を守るために尽力したかもしれない。

 思いを巡らせたアリアは、人間を殺し続ける自分が人間ではないことを悟り、自分に与えられた力に疑問を抱くようになった。

 ある日、アリアは戦場に出撃したまま行方不明になる。

 彼女の活躍で救われた人々は、再び現れて世界を救うよう願ったが、アリアは二度と姿を現さなかった。

 一部の人々は、彼女が自分の力を恐れたのではないかと噂し、別の人々は、彼女が世界に干渉することができなくなったのではないかと噂した。

 しかし真相は違った。

 アリアは自我を持った戦闘用アンドロイドの反乱を恐れた政府により、彼らがお膳立てした戦場で人知れず電磁パルス攻撃の餌食になっていた。

 終末の妖精と畏怖されたアリアは、自分の存在意義を見つけられず、こうして無念のうちに世界から消え去った。


 ◇◆◇


 アリアと魔法の戦線が交わるのは、森の奥深くにある古代遺跡だった。

 この古代遺跡は『神々の遺物』と呼ばれる近代兵器が、剣と魔法の異世界に現れる魔法のダンジョンである。

 古代遺跡では魔法の力が渦巻き、冒険者たちが神々の遺物の争奪戦を繰り広げていた。

 ウィリアム・ロスは、この古代遺跡で宝箱を漁る冒険者の一人で、国や軍に神々の遺物を売って生計を立てている。

 彼は30代半ばのベテラン冒険者であり、棺桶のような箱に眠るアリアが目にした初めての人間だった。


「宝箱から少女?」

 

 ウィリアムの身に纏う戦闘服は、深みのある青色の布地で作られており、肩から腕にかけての部分には、美しく縫い込まれた金色の飾りが施されていた。

 胸元には青銅で作られた装飾があり、そこから下には股にかけて金色のレザーが巻かれており、腰には青銅の剣が()かれ、その剣は魔法の力を秘めていることもわかる。

 足元には黒い革のブーツを履いており、細く鋭い青銅製のトゥキャップが付いていた。

 ウィリアム・ロスの服装はシンプルでありながら、力強さを感じさせる。


「さては人喰い箱(ミミック)じゃないだろうな?」


 古代遺跡で発掘される宝箱の中身は、国や軍が高額で買い取ってくれる代物だった。

 しかし宝箱には、極稀に人を喰らうモンスターが潜んでいる。

 ウィリアムは今まで人喰い箱を引当てたことがなかったので、アリアを見て驚きを隠せなかった。

 人喰い箱が、幼い少女の姿で自分を惑わしていると思ったからだ。


「はじめまして、私はアリアです。よろしくお願いします」


 アリアは美しいプラチナブロンドの髪と、蒼い瞳を持ち、姿勢はまるで女神のように優雅である。

 彼女はウィリアムに微笑みかけ、手を差し出した。

 ウィリアムはアリアの手を取り、軽く握り返す。

 彼はアリアの手のぬくもりを感じ、少しだけ戸惑いを覚えたが、それをすぐに振り払った。


「俺はウィリアム・ロスだ」


 ウィリアムはアリアをじっと見つめ、興味津々の様子であった。

 彼はアリアが持つ可能性に思いを巡らせ、彼女の秘密を探ろうと決意する。

 古代遺跡の宝箱から出てきた少女が、ただの人間だと思えなかったからだ。


「君には何か目的があるのか?」


 ウィリアムはアリアに問いかけた。

 しかしアリアは微笑を浮かべ、何も答えなかった。


「どうして宝箱に?」


 アリアは十代後半の少女のような容姿をしており、背が低く華奢な体型だった。

 そしてアリアの着ている服の胸元は深く開いて肌を露出していれば、幼さが残るボディラインが浮かび上がっている。


「そんな恥ずかしい服は見たことがないが、この国の人間なのか?」


 ウィリアムはアリアに手を伸ばすと、見る角度で色調の変わる不思議な服に手を当てた。

 生地の質感は滑らかで、触れるとしなやかな感触が伝わってくる。

 彼女の服に使われている素材は、軍や好事家に売れるだろうと考えた。


「五色、いいや、七色に変わる織物とは珍しい」

「私の服は周囲の光や色を反射、また吸収することで観察者の視認性を低下させます」


 ウィリアムが手にした松明の灯りで照らせば、アリアの背後にある岩肌に炎が反射したように見える。

 ベテラン冒険者の彼は、敵から姿を隠す魔法道具(マジックアイテム)だろうと思った。


「その服は、魔法素材で作られているのか?」

「いいえ。服の素材は、プリズム加工されたカーボンファイバーとグラファイトです。レーダー波を反射せず、電磁波を吸収する性質を持つ素材です。これによりレーダーに捕捉されにくく、電子的な探知を防ぐことができます」


 アリアが箱から出てきたとき、ウィリアムは彼女を上から下までじっと見つめた。

 腰回りから下はタイトにフィットしたレギンス状のパンツを履いており、足首まで届くブーツを合わせている。

 背中は大きく開いており、薄い素材でできた羽根状の生地が揺れていた。

 背中が大きく開いた服装は、彼女の背中の美しさを際立たせている。

 ウィリアムはアリアの身体を隅々見て、彼女がモンスターでないことを確信した。


「ここは、どこですか?」

「このダンジョンは『神々の遺物』と呼ばれる宝が湧き出る古代遺跡で、俺のような冒険者の狩り場だ……って、もしかして答えないんじゃなくて、答えられないのか?」


 ウィリアムは不思議そうに尋ねました。

 アリアは、小さく頷いた後に言いました。


「ごめんなさい、私は何も覚えていないんです」

「記憶を失っているとは、つまりダンジョンに来る前のことは、何も覚えていないということか?」

「はい。でも私は、()()()()()だと思います」


 アリアは表情に乏しいものの、嘘をついているように見えなかった。

 アリアの素性はさておいて、彼女の着ている虹色の服は、神々の遺物で間違いなさそうだとウィリアムは思う。

 彼は手ぶらで帰るわけにいかなければ、アリアの服を戦利品として持ち帰ることにした。


「ただの人間を連れて帰っても金にならなければ、お前の着ている服を持ち帰るしかないだろうな」

「ウィリアム様は、私の服が欲しいのですか?」

「ダンジョンの宝箱から出てきたものは、発掘した冒険者に所有権がある。つまり宝箱から出てきたアリアの身に纏っている魔法道具は、俺の報酬なんだよ」


 ウィリアムが薄ら笑いで手を自分に向けて煽ると、アリアはしばらく沈黙してから頷いた。

 ウィリアムはアリアが頷いたことを見て、彼女に向かって手を差し伸べた。


「では、その服は俺にくれるんだな」


 アリアは手を伸ばし、服の裾をつかんで脱ぎ始めた。

 少女の窄めた肩が露わになると、ウィリアムは陶磁器のような白く輝く肌に見惚れてしまう。

 虹色の光がダンジョンに広がる中、アリアは服をウィリアムに手渡そうとしている。


「こんなところで、いきなり脱ぐやつがいるか!」


 ウィリアムは急に声を荒げ、アリアの手を強くつかんで服を引き戻した。

 彼は『ついて来い』と手を煽ったのだが、服を寄越せと勘違いさせたようだ。

 ウィリアムは、彼女が記憶とともに羞恥心を失くしていると思った。

 そうでなければ出会ったばかりの男の前で、服を脱ぐことに恥じらいを感じない女がいるわけがない。


「魔法道具の服は私が手に入れるものだが、町に戻ってからでいいんだ」

「町に戻る?」

「俺は追い剥ぎでもなければ、幼い少女を手籠めにする趣味もない。安全な町まで送り届けやるし、着替えも用意してやる」


 アリアはウィリアムの言葉に従い、ファスナーを上げて服を再び着用した。

 この古代遺跡は巨大な魔法陣となっており、各所に点在する宝箱には、神々の遺物と呼ばれる異世界で作られた武器が召喚される。

 しかし宝箱で人間が転移してきたことはなかったし、そもそも生命を召喚できる魔法陣など存在しない。


「記憶が戻るまでは、同業のよしみで面倒を見てやるよ」


 だからウィリアムは、神々の遺物を纏って宝箱から出てきたアリアを自分と同じ冒険者だと思い違う。

 彼女はダンジョンで宝箱を漁っていたところ、人喰い箱や他の冒険者に襲われて、記憶を失って箱に閉じ込められたと推察したのである。


 ◇◆◇


 ウィリアムはアリアの手を引くと、最短ルートを選んで古代遺跡を出る。

 アリアはダンジョンで記憶を失った冒険者であり、冒険者の集まるアランデルの町に戻れば、彼女の素性を知る者もいると考えた。

 ウィリアムは彼女を町に連れて行く前に、自分たちがいる場所について説明する。


「ここはエルヴァンディルと呼ばれる大陸だ。俺たちは、アランデルという町に向かっている。そこには、古代遺跡から発掘した神々の遺物を買取ってくれる国や軍の出先機関があり、俺たちのような冒険者が集まっている」

「私たちのような?」

「アリアが古代遺跡の深部にいたのなら、ただの人間ではないのだろう」

「私は、ただの人間……」

「俺は、お前も魔法を使う冒険者だと思う」


 アリアは少し驚きながらも、ウィリアムの言葉に興味を持った。


「魔法? 私には、魔法など使えるはずがありません。魔法は、そもそも存在しません」


 アリアに知っている世界の常識では、魔法を非科学的な事象として否定されていた。


「魔法は、すべての生命に宿っているものだ。ただ、その力を引き出すことができるかどうかが問題だ。俺たち冒険者は、魔法の力を使ってモンスターを倒し、ダンジョンから宝を探し出しているんだ」


 アリアは、ウィリアムの言葉に耳を傾ける。

 自分が感じてる力の根源も、魔法で動いているのかもしれないと思い少し感慨深い気持ちになった。


「アリアは、なぜ記憶を失っているのに自分の名前や魔法の存在を否定できる?」

「私には、ウィリアム様に出会う前の記憶がありませんが、名前や常識は記録として保存されています」

「男の前で気安く服を脱ぐのが、お前の生まれ育った国の常識なのか。アランデルで暮らすのならば、町の常識を学ぶんだな」

「わかりました」

 

 アリアはウィリアムの先導で古代遺跡から脱出した後、外の世界を初めて目にした。


「月は、いつから二つになったのですか?」


 頭上に広がる夜空には、二つの月が浮かび上がっている。

 一つは、大きくて白い月で、もう一つは小さくて赤っぽい月だった。

 それらの月は静かな夜空に優雅に浮かんでおり、アリアの目には美しい景色に映る。

 白い月は、周囲の星たちを照らし、赤い月は、幻想的で神秘的な雰囲気を漂わせていた。


「いつからって、月は万国共通で二つだろう。それともアリアのいた世界には、一つだけだと言うのか?」


 アリアは、驚きとともに美しさに感動している。

 なぜなら彼女が住んでいた世界では、一つの月しか見ることができなかった。

 二つの月が同時に空に浮かんでいる光景は、神秘的で、不思議な気持ちにさせる。

 また、それが彼女のいる世界の常識であることに、ここが自分のいた世界と違う場所だと認識するしかなかった。


「とにかく、アランデルに着くまでにはまだ距離がある。しばらくの間、私たちは野宿しなければならない」

「はい」

「夜の森を進むのは、さすがに危険だからね」


 ウィリアムは、キャンプを設営する場所を探し始めた。

 彼は松明の灯りで周囲を照らしながら『足元に気を付けろ』と、草木の生い茂る森を進んでいるのだが、彼女は暗闇の中でも見たいものは、はっきりと見ることができた。

 アリアが見たいと思えば、彼の進む先に野営に適した場所が見えるし、木陰に潜んでいる人型の生物には『正体不明(UNKNOWN)』のアラートが表示されていた。

 二人が森を進むに連れて、草を踏む音が増えている。

 アリアが振り返れば尾行してくる正体不明の生物が五匹いて、それらは斧のような武器を携行していた。


「ウィリアム様は、鉄器を手にした人型の生物に心当たりがありますか?」

「アリアも、コボルトの気配を感じたのか。こちらが二人だと知って仲間が集まるまで容易に攻撃してこないが、それが返って厄介だな」

「なぜですか?」

「慎重な相手は、低級なモンスターでも手強いものだ」


 ウィリアムは緊張した様子で額の汗を拭っているものの、アリアの分析では敵の脅威判定は低い。

 彼がコボルトと呼んだモンスターの手にしている鉄器は、振り被るだけの原始的な武器であり、その程度の攻撃ならば簡単に避けられる。

 しかしアリアは、敵を圧倒する力の開放を躊躇ってしまう。

 彼女に記録された人間は、腕から光矢を放ち敵を殲滅しないからだ。


「私は、どうすれば良いのですか?」

「お前は手ぶらだし、俺が食い止めるから先に行け」


 アリアには、窮地を脱する手段がある。

 しかし彼女は、自分が人間であるという認識が揺らいでしまうことを恐れていた。


「アリア走れ!」


 ウィリアムは松明を投げ捨てて青銅の剣を片手に構えると、左手を追跡してくるコボルトに翳す。

 彼は『イグニスマグナ!』と、叫んで火球を放った。

 火球は先頭にいた鼻先が尖ったモンスターを押返すが、致命傷を与えられなかったようだ。

 火球を受止めたコボルトが犬のように吠えると、後塵に拝する連中が大木の背後に飛び退る。


「ウィリアム様、今の攻撃は何ですか?」

火の顕現(イグニスマグナ)は、冒険者の使う中級魔法だぞ!」

「この世界の人間は、手から火が放てる?」


 ウィリアムはアリアを背中に隠して、暗闇に浮かぶ赤い眼光を睨みつけた。


「そうだな、魔法の存在はこの世界では一般的だ。中には火や風、水などの自然の力を操る魔法もある。ただし、魔法を使うには魔力が必要で、魔力がなければ魔法は使えない……。お前は、そんなことも覚えてないのか」


 この世界の人間は、魔法を使って火球が放てる。

 アリアは自分に備わった核反応炉を魔力に、動力を電力や熱エネルギーに変換し発射するレールガンを魔法だと思えば、人間であるはずの自分が圧倒的な力を秘めている矛盾が解消されると思った。

 彼女は異世界転移前、自分が人間ではないとの自己矛盾に縛られて存在意義を見失ったものの、この世界の人間は自分と何も変わらない。

 少女は晴れやかな気分で、記憶を失ってもなお解消できなかった人間の概念を書き換えた。


「どうした! 早く走れ!」


 後退りして立ち止まったアリアは、大木の後ろで息を潜めたモンスターに両腕を向ける。

 この世界には魔力があり、人間は魔法により敵を排除するのだから、彼女が力を出し惜しむ必要がない。


「アリア、まさか足が竦んで動けないのか?」


 アリアの肩甲骨が跳ね上がり、翼のような放熱板が左右に広がる。

 彼女はモンスターに照準を定めると、腕をしっかり伸ばしてレールガンの発射管を開いた。


「な、なんだ、その翼は? アリア、お前はいったい何者だ?」


 アリアは、自分に備わった圧倒的な力の使い方を覚えている。

 彼女のなだらかな胸部の奥底に収まる核反応炉は魔力、強襲してくる敵に放つレールガンは魔法だった。

 少女は、自分が人間だったと自覚する。


「私は、ウィリアム様と同じ人間です。私は今、自分が人間であることを再認識しました」


 アリアはそう答えながら、レールガンを発射した。

 レールガンを放った瞬間、空気が荒れ狂い、耳をつんざくような轟音が響き渡る。

 光の刃が軌道を描いて目標へと鋭く突き進んでいく、その瞬間は世界が止まったかのように静寂に包まれ、そして目標に激突すると、強力な衝撃波が周囲の木々を巻き込んでコボルトたちを一斉に吹き飛ばした。


「さあ、早く行きましょう。時間が無駄になっています」

「あ、ああ……そうだな」


 アリアは展開した放熱板を肩甲骨の下に収納して、呆気に取られるウィリアムを促しながら森を急ぎ足で進んだ。

 彼女の力を目の当たりにしたウィリアムは、驚きと共に敬意の念を感じていた。

 アリアの放った魔法は火の顕現に見えたが、詠唱もなければ威力が段違いで、一介の冒険者が操る魔法ではなかったからだ。

 古代遺跡で記憶を失った少女アリアは、ベテラン冒険者ウィリアムが足元にも及ばない魔法使いかもしれない。

 背中に生えた翼が魔力を増幅しているのならば、彼女の纏っている神々の遺物が魔力の根源かもしれない。

 どちらにせよ、アリアとの出会いは、うだつの上がらない冒険者にとってはまさに奇跡的な出来事で、新たな冒険の始まりを予感させるのに十分だった。


「ウィリアム様、ありがとうございます。私は、この魔法を使って、世界をより良いものにするために働きたいと思っています」


 アリアは森を抜けた先でウィリアムに向き直り、優雅な笑みを浮かべている。


「そうか、お前は世界を変えたいと思っているのか。その意気込みは見習いたいものだ。だが、その前にお前には自分を知る必要がある」


 ウィリアムは、真剣な表情でアリアに語りかけた。


「自分を知ることは、魔法を使う上でも重要だ。お前は自分が何者なのか、どういう力を持っているのか、そしてそれをどう扱うべきなのかを知る必要がある」


 アリアはウィリアムの言葉に頷き、自分を知るために彼と冒険を続けることを決意した。


「分かりました。私はもっと自分を知るために、ウィリアム様に従いましょう」


 ウィリアムは、この世界の常識を学べと言っていれば、宝箱から出てきた神々の遺物の所有権があるとも言っていた。

 アリアがウィリアムに従うことが、この世界の常識であるのならば、彼について記録を書き換えることで、人間としての存在証明を強固にできる。


「ああ、よろしく頼む」


 ウィリアムもまた、アリアと共に冒険をすることで自分自身を見つめ直すことができると感じていた。

 二人の出会いは、彼らにとって運命を感じずにいられなかったのである。

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