オンナはこの世の奴隷なのか… ①
※ 暴力の描写があります。
苦手な方はお避け下さい<m(__)m>
“茜” 視点です。
まだパジャマ姿の柾子さんからクリーニングの引換票を貰って、私はカノジョの部屋を出た。
「ついでの用事済ませたら戻るね」
とカノジョには言ったけど、もう戻らない。
きっと、とんでもない迷惑を掛けてしまうから…
好きと思える人のところへは
戻れない。
クリーニングされた“制服”に、多機能トイレの中で大急ぎで着替えて、私は指示されたラブホへ向かった。
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“客”は若いサラリーマン風の男だった。
小ざっぱりとしたスーツに身を包み、靴もピカピカに磨き上げられている。
どちらかと言えば線が細く、シルバーのメタルフレームのメガネは理知的で少し神経質っぽい感じがした。
そいつは恐る恐る言う。
「あの、少しSMっぽいの、大丈夫ですか?」
「えっ??」
「あの、ギャラはお約束の2倍、お支払いします」
私は、頭の中で大急ぎで悩んだ。
お金は欲しい、いや、凄く必要!!
稼ぎの“ノルマ”をまだ達成していないし、“ヤドカリ物件”も押さえていない現状では、ネカフェ代もかさみ、出費が増すばかりだ。
元から条件のよかったギャラの更に“倍”なら…
頷くと、男は腰の財布から札を数えて渡してくれた。
「先にカバンにしまえば。 待っているから」
こんなことまで言ってくれた。
今までの経験からすれば、割と楽なパターンだ。
カバンのジッパーを閉じながらほくそ笑んだ。
「いいかな? じゃあ、まずはそれらしいメイクをしよう」
にこやかに近づいてきた男を見上げたその瞬間、私は顔に物凄い衝撃を受けてすっ飛んだ。
磨き上げられた靴にベッタリと赤い物が付いている。
それは、思わず開けてしまった口にも流れ込んで来た鼻血…
口の中もザックリ切れている。
「あ~あ、さっそく床、汚しやがって」
さっきとはまるで違う声色、 そして、顔が床にくっついた状態だから見えた、隠れていた複数の靴。
はめられた!!
「さて、パキパキ撮影すんぞ!!」
私は飛び起きてドアの方へ走るが、瞬く間に取り押さえられてしまう。
手当たり次第に噛んでやろうと歯を剝き出し威嚇しながら叫んだ。
「未成年にこんな事をしてタダで済むと思うのか!!」
さっきの男が冷たい薄笑いで、手に何か金属の塊を付けながら言う
「もちろん、思ってるよ。お前はどうする事もできない…」
言い終わる前にその金属の塊は
私の顔にめりこんでいた。
「抵抗すると次は歯を折るぞ」
。。。。。
もう後は入れ替わり立ち替わり
ヤられた。
更に男は…
私の上に乗っかりながら耳元に毒を流し込んだ。
「お前が“なにもできないヤツ”だって事、ネットに流されているぞ。 恨むんなら流したヤツを恨みな」
ああ
誰だかわかった
児童養護施設で一緒だったヤツ
私にカネの味を覚えさせた
あのオンナ
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もう、なんの感覚も無いのは
本能から来るシャットダウンなのか
あちこちから
色んな物が流れ出ていて
ボロボロで
床に転がされている私…
剝き出しになって
“ベタベタ”のお腹の上に
「ああ、まずかった。仕事でなきゃ、こんなオンナ食わねえ」
とツバを吐かれた。
それでも床に聞き耳を立てて
ヤツらの足音やガシャガシャする機材の音が聞こえなくなってから
今のあらん限りの力を振り絞って
ホテルを逃げ出た。
誰も信用できない
誰も信用できない
誰も信用できない
それでも、この現状を
何とかしなくてはいけないから
私は辿り着いた柾子さんの部屋のインターホンを押した。
1押しでドアが開いて
私を見た柾子さんは叫び声を上げ
私を抱きしめて狂い泣いた。
私はカノジョの肩越しに
カノジョが廊下に作っていた
毛布の“蓑”の
ぽっかり空いた
這い出し穴を…
ぼんやりと眺めていた…
。。。。。。。。。
イラストです。
柾子さんの1案
柾子さんの2案
2案を彩色しました。
本当にどうしようもない一節ですが、私、泣きながら書いてました(T_T)
言うのもためらってしまいますが…
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